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【清水由起のデータから読み解くギフト事情 vol.6】フォーマル感を払拭した提案力を強め、ギフトのカジュアル化に注力する百貨店


百貨店の優位性は存在するも、ダウントレンド続く

百貨店では、中元・歳暮をはじめ、冠婚葬祭のフォーマルギフト、母の日や誕生日などのカジュアルギフトまで、幅広い高品質商品を扱っている。
百貨店で購入することそのものにブランド価値を見出す消費者も根強く存在しており、特に、しきたりを重んじる贈答品を購入する際には百貨店を選ぶ人も多い。
百貨店の包装紙で包まれたギフトに対して信頼感や特別感を感じる人も少なくなく、ギフトを購入する先として百貨店の存在は大きい。

なかでも老舗百貨店の基幹店舗はギフト依存率が高く、全館で扱う商品がすべてギフトであると位置付けている店舗もある。
また、地方店でも老舗百貨店の包装紙効果は絶大で、売上で地域3番店でもギフトだけで見れば1番店となるなど、老舗百貨店とギフトの親和性は非常に高い。

しかしながら、百貨店が強みとするフォーマルギフト需要の減少で、百貨店におけるギフト市場規模は低迷が続いている。
特にコロナ禍ではブライダルや仏事のギフト需要は顕著に縮小し、各社ともにギフトサロンは軒並み苦戦。よって、フォーマル感を払拭した商品展開や提案力を強め、カジュアルギフト(プレゼント需要)に注力している百貨店は多い。

注:2023年は見込値、2024年は予測値
(株)矢野経済研究所調べ

1:自社ECの強化でコロナ禍には一部特需も

ここ数年の百貨店各社の最注力ポイントは、自社ECの強化にある。百貨店自社ECにおけるギフト比率は5~6割と高く、百貨店ECのメイン商材となっている。

コロナ禍の特需として、ダウントレンドだった中元・歳暮の売り上げを維持できたのは、こうしたギフトのWEB強化策が奏功し、既に受け皿が整っていたことが大きい。
かねてより中元・歳暮顧客のWEBへの移行を強化していたため、混乱することなくオペレーションができ、むしろ、コロナ禍が、これまで進めてきたWEB強化策を後押ししてくれた様相ともなった。
同じく、出産内祝いの需要では、出産後すぐに外出できない母親が購買主体となるためWEBとの親和性が高く、百貨店ECの人気は根強い。

2:儀礼ギフト以外の販促強化が引き続き課題

今後も、高齢化や人口減、人付き合いの希薄化と直結するフォーマルギフト市場の縮小は避けられないため、オンライン店舗や異業種と連携するなど新たな販路を拡充して新規顧客層の獲得や、通年ギフトや法人ギフトなどのプロモーションの強化など、儀礼ではないギフト需要拡大を図る百貨店が増えていくものとみられる。

ギフトが百貨店にとって重要な位置づけであることは間違いなく、消費者は百貨店だからこその安心・安全性、高品質に惹かれていることも間違いない。
しきたりや慣習を重んじるといった百貨店ギフトの在り方に対し、それだけに固執せずにいかに柔軟に対応できるか、いま求められていることに百貨店の優位性を加味した上でギフト需要の拡大を図ることができるか、が各社で模索されている。


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