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苦手なこと

小さい頃から、新しいことをするのが苦手だ。
苦手というより拒否反応が凄いと言った方がいいかもしれない。

物心つく前。幼稚園の入園式では慣れない環境が嫌すぎて抱っこしてくれた園長先生をキックしていたらしい。
幼稚園に行くのが嫌で毎朝行きたくないと親に言うと、親は休みますって言いに行こうと私を幼稚園に連れ出していたという。その話を聞くと、幼稚園の頃からたくさんの大人に心配をかけていたんだなと申し訳ない気持ちになる。

小学校では何かで泣いた後に校長先生と2人で鯉に餌をやった記憶ある。普段は餌をあげられなかったから覚えている。泣いた理由ははっきり覚えていないが、新しいことや慣れないこと、集団生活が嫌で仕方なかった感覚がずっと残っている。
小学6年生のときは初めて担任が男の先生になり、顔が強ばっていたと後の懇談で指摘された。初対面の人の前では緊張と不安でいつもの自分が出せないため、仲良くなるとイメージが違ったと言われることが多々ある。

中学校では入学してすぐ、最初の宿泊行事のバスのくじで揺れやすい補助席になった。酷い乗り物酔いがあることは伝えていたが、後ろの方で先生も近くにいないのが不安すぎて寝たふりをしながら泣いた。しばらく経って私が寝たと思い込んだ同級生が泣いてたよねと話してたの聞こえたから普通にバレていた。
中学では泣くとあまりいい印象がなかったので、できるだけ陰で泣くようにしていた。自分でも泣きたくないのだが、怖さや不安といった強い感情が出たときはどうしても泣いてしまう。それは今でも変わらない。心配されないように人目のない場所で泣くようにしている。


高校1年のときは楽しかった記憶が本当にない。中学のときは小学校が一緒だった人が結構いたが、高校には双子の妹くらいしかいなかった。妹は私と違って普通の生活を送れる人間なので、友達もできていた。私はその妹の友達と友達になるパターンがほとんどだった。
現在妹は就職して社会人生活を送っている。休みの日には下宿先から帰ってきて、家事を手伝ってくれたり、お菓子をくれたりする。なんで家に帰ってきてくれるのかよくわからないくらい本当にいい人だ。いつか私に構ってくれなくなるときが来ると思うと、とても怖い。

高校時代に話を戻す。
高校2年からは進学コースに入ったので、私と似たような落ち着いた人がたくさんいて、1年の頃よりかなり居心地が良くなった。
朝から夜まで勉強詰めで不登校になる人も多かったが、私にとっては早起き以外そこまで苦しいと思わなかった。人には人の苦手な環境があるのだと学んだ。

大学時代も1年の頃は楽しかった記憶がない。
入学して最初の頃は、上手く馴染めている気がしなくてご飯があまり食べられなくなり、ファミレスで親に心配されたことを今でも覚えている。
同じ授業でグループを作る中で話せる人は何人かいたが、授業外の絡みは特になく、空きコマは1人で過ごすことが多かった。
唯一授業時間外で遊んでいた友達は、次第に大学に来なくなった。それが一層私を孤独にした。

2年からは、授業が専門的になって少し楽しくなってきた。3年生になると妹の知り合いでゼミが一緒になった子とよく行動するようになり、必修科目が減ると、授業がより楽しくなった。大学生活でいちばん楽しかった記憶がある。

4年生になると就活が本格的に始まる。
3年の秋くらいからセミナーを受けたりしていたがその頃から憂鬱で仕方なく、就活は私にとって苦痛以外の何物でもなかった。
新しい人。新しい場所。新しい環境。新しい服装。新しい選択。新しさが私にとっては不安で苦しくてたまらない。
コロナの蔓延で授業はオンラインになった。
オンライン授業になったおかげで、授業を最後まで受けられたのだと思う。ゼミでは顔や声を出す必要があったが、それ以外の授業では話を聞いているだけでよかったので、とても気楽に受けられた。

夏辺りからは、就活の面談の度に泣いていた気がする。というか1日で何度も涙が止まらなくなり、それまで担当していた家事ができなくなった。ご飯も食べられなくて家族を心配させた。起きている時間がとにかく嫌でずっと寝ていたかった。
8月の綺麗な青空を見て、涙が止まらなくなったことは今でも忘れられない。
就職はできなかったが、幸か不幸かコロナのおかげで同情されることが多く、気持ちは少し楽だった。

卒業して数ヶ月は、ネット関係の仕事をしていた。チャットでも見知らぬ人と話すのは緊張する。
その仕事でやることがなくなり、今の仕事に応募して今に至る。在宅の仕事で人との関わりが少ないので何とか応募できた。今はこの仕事と家事という専業主婦のような生活をしている。

給料は低く、今のままでは自立して生活など程遠い。
だが、新たな環境がとても怖い。物心つく前からこの状態なので、改善策がわからない。
何かを買う前、何かを食べる前、どこかに行く前、新しいことが怖くて、調べ物をしたり、人に聞いたりしないと踏み出せない。それをしてもできないことも多い。親からは石橋を叩いて壊す性格だとよく言われていた。

ピーマンは大人になったら食べられるようになったのに。
昨年やっと一人カラオケに行けるようになったけど。
新しいことだけはずっと怖いままだ。


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