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コロナウイルス連作短編

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2022年8月の記事一覧

コロナウイルス連作短編その190「これが男のやり方だ」

「お前、何か最近、ニキビよくできてないか?」  鮪の刺身を食べながら同僚の相川周防がそう…

コロナウイルス連作短編その189「サル、リス、そして人間」

 結城真沙美は職場近くの公園で昼食を取ろうとしている。  今週、彼女は職場の科学館ではな…

コロナウイルス連作短編その188「近くに立って、ウルトラチョップ」

 そう歌いながら、彼女の娘である真海佳英が、床に屈みこんでいた阿連川瑠々の首にチョップを…

コロナウイルス連作短編その187「南の猿」

 宮根坂南はファミリーマートでアイスを買おうとする。  いつもとは何か別のアイスを買おう…

コロナウイルス連作短編その186「AIによって描かれる」

 谷藤優夏はソファーに寝転がり、タブレットでYoutube動画を観ようとしている。  最近は頭が…

コロナウイルス連作短編その185「モザンビーク、グラファイト」

ショッピングモールで フラフラしてる、時々 夏休み 私たちだけじゃなくて 建物も浮き足立って…

コロナウイルス連作短編その184「必要十分条件」

 夕方、コンビニへ歩く途中、後神邦彦は車道にセミの死骸が転がっているのに気づいた。哀れだった。  と、いきなり足をバタつかせジジジと粗い断末魔を響かせるので、邦彦は体をビクつかせる。距離は離れているし、今までセミの死を見たことのないわけがない。だがあの不気味さには慣れない。アスファルトと日差しに焼かれながらも、最後まで生きようと足掻くあの様は、ただ惨めだ。  ボタンを押したら、世界中のセミが一瞬で死滅すればいいのに。  そんな言葉が頭に思い浮かんだ。これは友人が言ったのか、そ