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#037 【時事ネタ】長遠寺と石橋湛山と。

長遠寺と石橋湛山。

皆さん、こんにちは。
いつもブログをお読みいただき、本当にありがとうございます。

つい先日、南アルプス市鏡中條の長遠寺をお参りしました。

長遠寺の正面門
長遠寺御本堂

南アルプス市と石橋湛山。

ここ長遠寺は日蓮宗系のお寺であり、南アルプス市にゆかりの深い政治家、石橋湛山と深く関係しています。

石橋湛山は第55代内閣総理大臣も務め、戦前は小日本主義を主張し戦後は自主独立、対米自立を訴えた事で有名です。

そんな石橋湛山はここ長遠寺にて幼少期を過ごしました。

長遠寺で過ごす日々や望月日謙上人の薫陶を受けえた事がその後の湛山の思想に強く影響を与えたそうです。

長遠寺と石橋湛山の記念碑

我が南アルプス市とゆかりの深い政治家は何名かいますが、その中で(というか他の政治家も含めて)私が最も尊敬する人物が石橋湛山です。

その一番の理由は、自身の思想、哲学から立脚した外交的主張、経済的主張が素晴らしいからです。

もう少し具体的言いますと、
・各民族、国家、個人はそれぞれ主権を有し互いに尊重すべきである、
・故に世界各国、各民族は自主独立し、多極化世界を実現するべき、
・そのために各国は経済的に豊かになり相互貿易により互いに軍事的脅威にならないこと。

ざっくり言うとこれが石橋湛山の政治思想です。

そしてその凄い点は、この思想が終始一貫し全くブレない事です。

湛山は戦前から戦中、戦後、冷戦期までの世界の激動の時代を生きた人物ですが、その動乱と激動の時代においても上記の主張は終始一貫しています。

よく湛山の評価で耳にするのは、
・非植民地主義、非拡張主義、非軍事国家主義
・平和主義、リベラリスト
・親共主義

など、いわゆる”一見ただの左翼”と聞き間違えてしまうような評価がありますが実体は異なります。

故に当然私もこの点を尊敬している訳では全くありません。

むしろ満州事変前後の湛山のリベラル的主張は、行き過ぎた楽観主義のように見受けられ、悪辣かつ狡猾で邪悪な世界情勢を若干見誤っているのではと感じてしまう点もあります。

しかし、繰り返しになりますがそのような世界情勢下においても、あくまで湛山の主張は下記の点に根差していました。

・各民族、国家、個人はそれぞれ主権を有し互いに尊重すべきである、
・故に世界各国、各民族は自主独立し、多極化世界を実現するべき、
・そのために各国は経済的に豊かになり相互貿易により互いに軍事的脅威にならないこと。

この辺りが一般的にあまり知られておらず、「単なる平和主義リベラリスト」の枠組みで矮小化されているように感じてしまう点が非常に残念です。

戦後日本の傑物、石橋湛山。

そして驚異的なのは、日本が敗戦後GHQの占領下においても上記の主張を曲げることなく、パージ(公職追放)までされている点です。サンフランシスコ平和条約後、米ソ冷戦下においてもです。

戦後の湛山の「自主独立、対米自立の主張」は要するに、

「日本は戦争で米国さんに負けたけども、このままあんた方に占領され続ける道理はない。日本は完全に独立主権国に戻り、必要があれば軽武装もするし、これから自分たちで経済発展していくので、これからはお互い対等、平等にいきましょうや。」

とはっきり主張しています。そして実際にそれを行動に移しています。

さぞ米国にとっては嫌な相手だったでしょう笑

それに引き換え、吉田、岸の追米、媚米っぷりと言ったら・・・。

それが80年近く続いており、その系譜が今の政権与党のまま、そのまんま全く同じ状況という訳です。(そりゃあ「おじいちゃんの代からCIA~」とどこかの党の代表が歌いたくなる気持ちも分かります笑)

つまり、今の日本がいかに足腰立たない状態になっているか。

私の敬愛する国際政治アナリストに伊藤貫先生がおります。有名ですよね。

伊藤先生も常々、「戦後、本気で対米自立をしようとした政治家は二人だけ。重光葵と石橋湛山。それだけ。」とよくおっしゃってます。

再び世界大激動の時代。

今日2024年7月14日、日本時間のニュースで米国のドナルド・トランプ前大統領が演説中に銃撃される事件が起きました。暗殺未遂です。

3年前の安倍晋三元首相の暗殺は記憶に新しいかもしれませんが、今年に入ってもスロバキア首相の暗殺未遂、イラン大統領ヘリコプター墜落、そしてトランプ前大統領の暗殺未遂。

この状態をもって、一つの一つの個々の事象を見るのではなく、世界全体が動乱の激動期の真っ只中であると認識する事が極めて重要だと思います。

ここで改めて石橋湛山の人物像を見ると、
・宗教に根ざした深い哲学
・全体を俯瞰出来る広い視野
・物事の本質を冷徹に捉える洞察力
・完璧な論理構成
・正直でブレない思想と主張
・豪快で飾らない人柄

そんな湛山のような人物が今の政治にも必要なのだと、そのように思いながらお参りしました。

おわり。


正面門の裏手(トゲトゲがいっぱい、なにこれ)


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