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バームクーヘンと年輪

無性にバームクーヘンを食べたくなるときがあるのです。

バウムクーヘンの始まりは1800年代

バウムクーヘンは、ドイツ語由来。バウム(der Baum)は木、クーヘン(der Kuchen)お菓子という意味で、バームクーヘンは【木のお菓子】とういう意味になります。
1800年代の初めにドイツでバウムクーヘンが生まれ、そのバウムクーヘンが日本に伝わったのは第一次世界大戦の際。バウムクーヘンで有名な製菓会社「ユーハイム」の創始者カール・ユーハイムが、日本に捕虜として連れてこられたときに、広島県物産陳列館でバウムクーヘンを焼いたのがはじまりです。
戦後も日本に留まったカール・ユーハイムは、菓子職人の資格を活かして「明治屋」や東京・銀座の「カフェ・ユーロップ」に勤め、1921年に横浜で「ユーハイム」を創業しました。
バームクーヘンは200年も前からあったお菓子なんですね。どおりで美味しいわけです。※1

年輪

バームクーヘンを見ると、年輪にしか見えないのは私だけでしょうか。
「年輪」とは、木の切り口に見られるシマシマ模様のあれです。1年に1つの輪が作られるので、これを数えると樹齢が分かるんですよね。(学生時代は、年齢をひたすら数えたりもしました。辛かった・・・)
春にたくさん成長をする部分(早材)は濃く、夏から秋にかけてゆっくり成長する部分(晩材)は薄くなり、季節変動があることで年輪が形成されています。※2
ということは・・・季節変動のない(例えば熱帯地域)の年輪はどうなっているのでしょうか?
お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、季節変動がない地域には、年輪がないのです。日本にいると年輪があるのが当たり前なので、知らなかった!という方もいらっしゃるかもしれません。

▼年輪がない丸太(左図)と年輪がある丸太(右図)スクリーンショット 2021-08-21 21.53.05

奥が深い年輪

年輪は木の年齢が分かるだけではないんです。
日本を含むアジアモンスーン地域では、年輪の酸素同位体比から夏期の降水量を高精度で復元できることが分かってきました。※3
酸素の同位体比とは、重い酸素18Oと軽い酸素16Oの存在比のことです。過去の気候を復元するための強力なツールとして使われてきました。

「酸素の同位体比」と聞いて眠たくなった方(私です)、難しいことはさておき、夏期の降水量を高精度で復元できるということをご認識いただければOKです。
過去の気候を記録している自然物は、樹木だけでなく鍾乳石やサンゴ、氷河・氷床、堆積物など色々あるようですが、そもそも年輪から過去の気候まで知ることができるなんて、知らなかったです。

さいごに

これから木を目にしたら、年輪を観察してみてください。年輪があるのか、年輪の太さはどれくらいなのか、どんな環境でどんな成長過程を経てここに辿りついたのか。
樹齢を数えたら、この木はどんな世の中を見てきたのか、調べてみるのも面白いです。この木は戦国時代を生きてきたんだ~って思うとわくわくしませんか?(笑)

過去をひも解くツールとしての「木」。本日はいつもと違う木の側面をお届けしました。少しでも木に興味を持ってもらえたら嬉しいです。

出典:
※1:バウムクーヘンの由来は?発祥の地や広まった歴史など詳しくご紹介!(株式会社恵那川上屋)
※2:木にはどうして年輪があるの?(コカネット 子どもの科学のWebサイト / 誠文堂新光社)
※3:樹木の年輪から昔の気候を復元する― 歴史学と協同して過去から学ぶ ―(WASEDA ONLINE / 早稲田大学)
年輪画像:ウィキメディア・コモンズ (Wikimedia Commons)
■氏名:上野 みさこ
■所属:GFnote編集部ライター
■紹介文:地元京都は山に囲まれた盆地。自然は身近な存在だった。学生時代に始めた登山をきかっけに、日本の美しい自然を守っていきたいと思うようになる。現在はGIS(地理空間情報)に関する仕事をメインでしつつ、いろんなことに挑戦中。

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