コラボ記事2

短編リレー小説 『菌』

文芸(小説・詩・随筆 etc. )を中心に集まる部活型オンラインサロン『青い傘』のメンバーでリレー小説をやることになりました!

今回Mizutanariさん、かのこさんとリレー小説をやらせていただいてます。

これは、2編目。

1編目はこちら。

では、その続きから、僕の書く番。

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『菌』2/3

 ・・・そうだとするなら、「わたし」と「あなた」を病気にしたのは誰だろう。「菌」の発生源はどこだろう。コウモリは、誰なんだろう。
 布団の中から、自分を照らすテレビをボゥっとみながら、考えを脳裏に走らせる。
『知ってる、人が肺炎にかかって死んだって』
大きすぎるマスクをした子供がリポーターのマイクに訴えた。
『余計なことを言うな』
子供の手を握りながらインタビューに答えていた父親が、急に子供の口を塞ぐ。
『感染者死亡の話になると、子供の口を塞ぐ父親。そして・・・』
アナウンサーの無機質、しかし深刻さを含んだ訴えが、テロップと共に流れた。
 また新たな自分が増えていく感覚がした。
 ズゥッ。
 しかし、その感覚が実感になる前に、画面に一瞬だけ「オフタイマー30分」の文字が現れ、テレビが消えた。
 真っ暗なテレビをみて、そういえばザ・リングもそんな話だったな、と思い出した。貞子の恨みと、増殖したいウイルスの遺伝子が組み合わさって、ダビングしないと死ぬビデオが生まれる。
 だったら、「わたし」は何と何でできているんだろう。その明確な何かがわからない。ガラクタと、なんだろう。
 ここじゃないどこかにいる、わたしじゃないだれかが、この体を動かしている。そして、みんなも同じようにそうなんだ。
だから、新聞の、テレビの、「あなた」のどこかに「わたし」が見えるんだ。
 もしかしたら、それは人間よりも、むしろ神さまに近い、大きな存在なんじゃないかと思った。

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そして、パート3はかのこさんに続きます。

感想

100人いれば、100の性格があり、
100の書く文章にも、色がある。

リレー小説を書くためには、前の人のストーリーを読み込んで、完璧に理解して、さらにそこに自分の解釈と色を入れて事前に繋げなくてはいけない。

太宰が確か『人間失格』の中で、悲劇か喜劇かの言葉遊びのシーンで、「悲劇を書くときには悲劇の言葉を使う」と言っていたように、Mizutanariさんのストーリーの続きにはMizutanariさんの言葉を使うようにしました。

ごめん、それは嘘?です。笑
正確には「似てる雰囲気」の言葉を使うようにして、そこに「自分の雰囲気」も足すようにした。

Mizutanariさんの文章は、『密度』が特徴だと思う。

難しい言葉はほとんどないけれど、一文に込めた背景と意味が重い。
流し読みをすると、はて?となる可能性すらあるが、
一文一文をしっかりと考えながら読むと、文字数以上のものが見えてくる。

Mizutanariさんのストーリー展開は、ストーリーが軸なのではない。
哲学でストーリーが進む。

そこに、僕はあえて、時間軸と空間を与えました。

次のかのこさんがどうなるか、楽しみです。




拙作ではありますが、また書きたいと思います。 サポートしてくれたらヤる気を出すゲンキンな奴ですので、何卒。