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文明崩壊 保存食

保存食

文明崩壊後の世界では、食料をどのように管理するかが命を左右する。たとえ多くの野菜や肉を一度に手に入れたとしても、人が一度に食べられる量には限界がある。長期に渡って食料を維持し生き延びることが、当面の目標となる。

定住化を始めたヒトは保存する方法を見出した。保存とは富である事は以前に書いた。富になるのだが、食料供給が安定するまでは命がけで食料探しをする事になるだろう。

今回は保存食の話だ。保存食とは腐敗を抑制する加工や処理がされた食品とここには書いてある。キーワードは腐敗である。まずは腐敗のことを学び、そしてどのような加工や処理が腐敗を抑制するのかをみていく。その仕組みと基本的な考え方を見ていく事で、文明崩壊後に必要になるモノや必要な知識を手に入れることとしよう。

腐敗

腐敗とは何だろうか。食べ物が腐るというと言うのはどういうことだろうか。多くのサイトでは人に対して害を及ぼす細菌が増えること腐敗、一般的に腐っていると表現されると書いてある。

細菌とは微生物である。微生物とは顕微鏡を使わないと見えないような、極小の生物のことを言う。微生物と言う事で、細菌は生物であるということだ。空気中にも、水の中にも、私たちの手にも存在し、生きている。

生物にはいくつかの特長があるが、分かりやすく定義するなら代謝をする事と自分の複製を作る事。この事については、人間を生物的に見れば分かりやすいだろう。口からモノを摂取し、排泄物となって出ていく代謝。アメーバや三葉虫の時代からDNAは色々な方法で受け継がれてきた。現在のヒトも交配をする事で自分の複製を作っている。

ここでいう腐敗とは人間に害のある細菌が食料に付き、それを糧に増殖し、食料が分解されている過程のことだ。

細菌が増幅するのに酸素、ちょうど良い湿気とちょうど良い気温が必要となる。その環境は人が快適に過ごす環境とかなり似ているため、人は常に腐敗と共存してきた。

ではどのようにして、食料を腐敗させずに食料を保存するのか。私たちが普段行くであろうスーパーにそのヒントはある。缶詰、乾き物、発酵食品など、保存食品は私たちの周りに溢れている。ではこれらの食品はどうして保存食品と呼ばれていて、どのような方法が使われているのか。

高温殺菌

ヒトが発明したモノ中で度々話されるのは、火である。火を扱いだしたヒトはお肉を焼くことでヒトに害のある微生物を焼き殺し、消毒する術を得た。ヒトは今でもほぼ毎日、火を通した食品を食べているのではないだろうか。

低温

低温にしても微生物は死滅したりすることはないが、活動を著しく抑える事が出来る。冷凍庫が出来る前は、寒い地域の湖に出来た氷を船で運んでいる時期があった。今では家庭に一台冷蔵庫、冷凍庫があるのは食品を家庭内で長持ちさせるためである。

酸素

缶詰がブロックしているのは酸素である。カビなどの微生物は酸素を使って増殖する。酸素をブロックする代表格が缶詰である。200年も前に開発されたこの保存方法は、現代のテクノロジーを持ってしても変える必要のないくらい、かなり完成された形なのである。

水分

食品に含まれる水には大きく分けて、自由水と結合水という2種類の水分がある。そのうち微生物が利用するのは自由水である。自由水を結合水にするには塩漬けだったり、燻製だったりという方法がある。自由水の数を減らすだけ、腐敗しにくくなる。乾燥物はこの水分の絶対量を減らす事で、微生物が使える水分を減らしている。

発酵

腐敗と発酵は両方とも微生物の化学反応である。人に対して害があるか、ないかの違いである。その化学反応後、最悪食べれる状態であれば発酵と呼べるのかもしれない。

なぜ発酵すると保存性が上がるのだろうか。麹菌を上手く繁殖した食品には、腐敗を促す微生物が育つ余裕が無くなり、次第に死滅していくということらしい。良い菌で食品が満たされれば、悪い菌がいなくなるということだ。

人に安全な食用微生物には、納豆菌、麹菌、発酵性酵母、乳酸菌などがある。これらの菌を多く繁殖する事で保存性を上げることができるということだ。

文明崩壊後の食料保存

文明崩壊後の初期には、食料の供給を求め農業を始めることになるだろう。農業を始めると、食料を保存する方法が必要となる。ここに書いた中で使えなくなるものもあるかもしれない。たとえば、冷蔵庫や冷凍庫だ。電気が供給されていない状況では、電気消費量の多い冷凍庫や冷蔵庫を使うのは困難かもしれない。食品を冷やす以外の方法での保存方法にを考えておく必要があるだろう。

その中でも一番簡単に出来そうなのは燻製ではないだろうか。いくつかの木材を組み合わせて、火の上に被せるものを作ればいい。火を付けるものライターなどがあれば比較的簡単に出来るだろう。もちろん日干ししたり、塩につけたりという加工工程は存在するものの、麹菌や納豆菌、缶詰を作ることに比べたら非常に簡単な気がする。

特に収穫期の終わりの頃には大量の食料が一気に手に入る。それを一家族で食べ切るのは意外に難しい。その収穫した食料をいかに安全に長持ちさせるかが、文明崩壊後には命を繋ぐ技術となる。生活が安定するまでは、燻製や日干しで食を繋ぐしかない。生活が安定して色々な事に挑戦する余裕があれば、納豆、醤油、味噌などを作ってみるのはいかがだろうか。文明崩壊後に味噌汁を飲むために味噌の作り方も学びたいと思いました。


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