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雨の日


朝から生憎のお天気。
雨。
今日は面接に行くのに。
雨ってだけで、生憎、とか
お足元悪い、とか
不憫な呼ばれ方で可哀想だね。
雨、私は嫌いじゃない。
特別好きでもないけれど。

小さい時にお気に入りの長靴があった。
真っ赤な長靴。
それを履いて出掛けたくて、
雨が降るのを待ち望んでた。
水溜まりに入るのが好きだった。
赤い長靴の中まで、たぷたぷに水を入れて遊び、
「お気に入りなら大事にしなさい。」
と、よく母に怒られた。
どうせ雨の日にしか履けないんだし、
スニーカーの頑張りに追いつくなら、
このくらいやんないと、
とは言わず、
「ごめんなさい。」

成長するにつれ、濡れる事が嫌になった。
いや、正確には濡れた後の面倒臭さに気づいた。
着替えたり、お風呂に入ったり、乾かしたり。
あと何と言っても湿気。
癖毛爆発の着火剤ゆえ、
年頃女子はもう全力で避けたかった。

けど雨の日は室内でも楽しい事に気づいた。
雨の音、窓に付く雨粒の動き。
教室の窓から、車窓から、
雨を見る時間が好きだった。
誰かの話し声も、雨音で半減。
現実逃避しやすい、最高の環境。

今日は面接。
1番雨がひどい時間に行った。
こんな土砂降り…何かのお告げか?!
いい方か?悪い方か?!
と向かいながら、ぐるぐる考えている間に到着。

「座ってお待ちください。」
と言われ案内された、
エントランスの窓際の長椅子。
緊張しつつ、一息ついて、
とりあえず話したい事を頭の中で唱えながら、
時々、窓から雨を鑑賞。
雨粒のいく先を追いながら、
言い回しを考えながら、
あれ、いつ呼ばれるんだろ。
なんだかんだ30分雨粒を追っていた。
この時間が良かったのか、
多少はリラックスして話せた。はず。
この待ち時間がもらえたから、きっといい方。

あとは結果が水に流れない事だけを願う。
これは本当、雨降らないでくれ。

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