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造花とクッキー|エチオピア

エチオピアで仕事をしていた頃のことです。

仕事場へ通う道端で、小学生くらいの女の子達4~5人がままごとをしているのを時々見かけました。

何度か見かけるうちに、その子達が1本のバラの造花だけでずっと遊んでいることに気が付きました。
おそらく気軽におもちゃやお人形を買えないのだろうと想像していました。

そしてある祝日に私が通りかかると、細かく粉々になった1個のクッキーを皆で大事そうにちょっとずつ指先でつまめるくらいの量で食べていました。

祝日だったからだと思いますが、通りがかった私を見て、食べてみてと言わんばかりに粉々のクッキーを差し出してきたのです。

断っても申し訳ないかなと思って、私も礼を言いながら、その粉々になったクッキーを指先でちょっとだけもらいました。

その近くに住んでいた私は、帰宅してから、買い置きのクッキー1袋があったことを思い出して、それを持って再び女の子達のところに行き、それを渡すことにしました。

女の子達はとても喜んでくれたのですが、そのお礼という意味なのか、いつも遊んでいる1本しかない造花を私にもらってくれと言わんばかりに渡してきました。

皆でままごとをしている1本しかない大事な造花だと知っていたので、何度も断ったのですが、どうしてももらってくれと何度も渡してきたので、最後には私が折れて、ありがたくもらいました。

私は現地の言葉は話せないし、女の子達も英語や日本語が話せるわけでもないので、お互いに言葉は通じないのですが、その子達の気持ちや誠意は十分に伝わってきた出来事でした。

エチオピアの地方での大事な思い出の一つです。

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