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Finally・Juri&Megの振り付けがすごい話

久々のFinally記事です。


ジュリちゃんとメグが天才すぎるなと思ったので書きました。


いきなり何かって話ですが、もちろんそれは彼女たちの超絶ダンス&歌唱スキル……ではなく、今回は別の話。

彼女たちが担当している、楽曲の振り付けについてです。

一部の曲についての記事以外ではあまり触れてこなかったのですが、いろんなグループを見るにつれてつくづく思うのが、Finallyの楽曲の「アイドルソングとしての振り付け」の完成度と作り分けがとんでもないクオリティだな、ということです。



あえてここで「アイドルソングとして」優れていると言ったのには理由があります。

それは、「曲ごとの特徴づけ」「簡単に真似=振りコピができる」の2点です。



では早速一つ目、「曲ごとの特徴づけ」について。

Finally楽曲の、特にサビの振り付けは、一曲ごとに非常に個性的なモーションを採用しています。言い換えれば「この曲といえばこの動き」というのがハッキリと形作られているということであり、それは観客視点では「覚えやすさ」に直結しています。

今思い出せるだけの例を挙げてみましょう。



君エール…サビでの応援団のように両手でエールを送るポーズ、サビ後の拳と両腕を金管楽器に見立てる仕草

WILD BRAVE…サビの6人揃っての拳突き上げ、ラストの腕伸ばし

飽くなきヒーロー…サビの客席に手を伸ばす動き、ラストの二人ずつ向き合っての応酬

Believing…サビ入りのジャンプ

New:ERA…間奏での3人ずつの左右構成シフト

トーキョー・ナイト・イミテーション…猫ダンス

Call my name…ヒーローポーズ



と、新旧交えていくつか紹介してみましたが、挙げていけば本当にキリがありません。というより、ごく一部のバラードを除いてほぼ全曲に「この曲といえばこの動き」というのが設定されています。それでいて、少なくとも既存曲ではそうした特徴的な振りが被ることはほとんどありません。

この作り分けの凄さには、Finallyだけを見ていてはあまり気づかなかったでしょう。

どんなグループであれ、何十曲もリリースしていれば絶対に少しは似たり寄ったりの振り付けにならざるを得ません。

その点、Finallyは、ダンスだけを切り取っても楽曲ひとつひとつの個性を際立たせることに成功しています。

しかもそれでいて、そこには奇抜さだけを狙ったわざとらしさや無理矢理感がありません。あくまで歌詞とメロディとの総合的な馴染み具合を最優先にしてデザインされています。その両立は間違いなく、私のような素人が想像するよりもはるかに困難なことのはずです。



そしてもう一つ、振りコピのしやすさについて。先に挙げたものを含めて、Finallyソングの多くは初見の観客でも簡単に真似ができるようになっています。特に、新規客層へ広くアクセスする契機となったワイブレ以降の作品群ではそれが顕著です。

ステージを見ていて強く感じるのは、Finallyのダンスは振りコピしてほしいポイントとそれ以外で、はっきり異なるデザインがされているということです。

たとえば先述のこるまいやLove me for who I am(ラブミー)では、一部にキャッチーで真似しやすいアクションを取り入れつつ、それ以外はライブアイドル界でも類を見ないほどにハイスピード&スキルフルなダンスで構成されています。ダンス未経験であれば勿論ですが、おそらくは経験者もむしろ解像度が高い分だけ、彼女たちのハイレベルさに舌を巻くことでしょう。

ラブミーの初披露時などは、FinallyのLIVEに慣れたはずの私でも、目の前で何が起きているか分からなかったほどです。自分たち本来のスペックを見せつけるようなその堂々たる姿は、英詞中心の異質なリリック、そこに歌われる「私らしさを愛してよ」というビビッドなメッセージと相まって、劇的な格好良さを生み出していました。


あえて「本来のスペックを見せつける」と書きましたが、端的に言ってFinallyのダンススキルは(ジュリメグのみならず)ライブアイドルとしては異次元と言えるほど高い水準にあります。ワンマンライブでのダンスパートなどで垣間見えた、彼女らの桁外れの地力を持ってすれば、他グループも観客も置き去りにするほどに難易度を上げただけのダンスを披露することも、間違いなく可能でしょう。

しかし、Finallyはその手段を取りませんでした。

あえて明確にレベルデザインをすることで、実力の高さで「魅せる」パートと、フロアの観客に真似をしてもらって共に「遊ぶ」パートを、一曲の中で同時に作り出しているのです。

その試みは、誰にも負けないパフォーマンスを追求しつつも、フロアに集まってくれるファンとの心の交流を何より大切にする彼女たちの姿勢とリンクしています。


そしてここまで挙げた2点は、こと初見の層にアプローチするにあたって、何より強い武器となります。

持ち時間で披露できる曲が限られる対バンでは、偶然見かけただけの他グループのファンにまでインパクトを残せるかが一つの勝負どころですから、どんな曲でもそれぞれの個性を印象づけつつ、思わず自然に身体が動いてしまうような振りコピで初めましてさんもグイグイ巻き込んでいくという効果が、最大限に発揮されるのです。


加えて言えば、これが有効なのはアイドルファンだけにとどまりません。私も1年半で数えきれないほどの知人友人に新しくFinallyのライブを見てもらいましたが、そのほとんどはアイドル文化に馴染みのない人たち。それどころか、バンドなどの音楽ライブに縁もない人も多数でした。

彼ら彼女らの中には、他にパフォーマンスを比較対象とするようなグループはありませんし、楽しみ方のしきたりのようなものも何ら知りません。ですが、そうした層にもFinallyのステージはレベルの高さのみならず「楽しさ」という点で強く訴求できており、確かな満足をもたらしてくれていました。

楽曲の中でも特に好評だったのは、君エール、ロッケン、ワイブレといったあたり。いずれも、まさに本稿で挙げた特徴を色濃く持っています。わかりやすさと盛り上がりを大事にするジュリメグ流の振り付けは、よりグループとしての間口を広くする効果も持っているのだと言えるでしょう。




ここまで書いて、ジュリメグの振り付けのさらに凄いところに気づいてしまいましたが……せっかく綺麗にまとまりそうでしたので、それを語るのはまた別の機会にしたいと思います。


何はともあれ、「超スゴいことをさらっとやる」のが常のFinallyにあっては、自らが手がけるダンス振付もまたその一例であり、その効果は間違いなく大きいものだろう……というお話でした。


それではまた!


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