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『ワールドトリガー』を読んでみた雑文雑記の類

とあるタイミングで
「ワートリ、絶対ハマると思うんで!是非見てください!!」
と言われた。

こういう会話は、映画、音楽、アニメや漫画に限らずエンタメ好きな人なら人生でなんども言われたことがあるだろう。その多くは「ああ、うん。見れたら見ておくよ」という口八丁でごまかすことが多いのだが、ちょうどこのタイミングで自分がある程度ヒマだったということもあり、言葉に乗っかって読んでみようと思った。

ということで、『ワールドトリガー』を読んだ感想、雑記、雑文を書いてみようと思う。ふだんウェブで書いているようなカチっとした文章でなく、穴だらけな語りになると思うが、それは許してほしい。

<で?なんで『ワートリ』を?>

『ワールドトリガー』は、2013年に『週刊少年ジャンプ』にて連載がスタートし、2018年からは『ジャンプスクエア』に移籍し、現在まで連載が続いている作品だ。

2014年10月から2016年4月の1年半近くで第1期アニメが放送され、2021年にはセカンド・サードシーズンが放送されている。全体99話が放映されており、今後も再度の放送がないか?ファンも期待を寄せている作品だ。

『ワールドトリガー』単体でのゲーム作品が2作発表されており、「ジャンプ」系列のなかでももちろん人気作の一つとして数えられる作品だ。とはいえ、月刊誌に移籍したという点やアニメ作品が若干長編になったことや、『鬼滅の刃』『呪術廻戦』『チェンソーマン』といった2020年代以降にブレイクを果たした人気作があまりにも尋常ではない盛り上がり方をしているという点もあり、若干これら作品の陰になってしまっている印象も拭えない。

なぜ自分がいきなり『ワールドトリガー』を読もうとなったか?と言われれば先に書いたとおりだが、より根本的な、過去の話にまで遡る。

「ジャンプを読む人はクラスのヒエラルキーが高く、クラスの中心人物が読むもの」

いやいやそんなわけないやんけ!というツッコミがされることは重々承知なのだが、ヒネくれた子供ー学生時代、自分の心にはこのような印象が巣食っていた。結果、黄金時代ともいわれたジャンプの各作品、その後00年代までつづく作品の一部を読まない学生時代を過ごしていたわけで(とはいえ姉の影響で読んだ作品はいくつもある)、ジャンプ作品とは少し距離感が空いたまま大人となった。

ちなみに、「やっぱ90年代ジャンプは幽遊白書が最高なんですよ!」派である自分。蔵馬・飛影好きだった姉の影響だ

そのあいだ、月刊・週刊少年マガジンを読んだり、上京後はエロゲ、そしてアニメと移っていったので、オタク的素養はこちらのほうで養われていったのだが、全国民的でありながらアングラ~シュールな要素を徐々に獲得していった「ジャンプ作品特有のフィーリング」を大人になるまで失っていたことは、じつは人生の損失ではないか?という感覚を持っていた。

改めて読もう!と思ったのは、先に述べた『鬼滅の刃』『呪術廻戦』『チェンソーマン』のブレイクにより、どこか自分の中での「ジャンプ作品との距離感」を見直そうというアクセルが踏めたのが大きい。ポッドキャストで共にしている卓也との会話や、週刊ヤングジャンプに強力な作品が次々と連載されたこと、なにより「ジャンプ」限らず多くの漫画原作アニメが人気を博したことも追い風だった。

まったく読めていなかった『呪術廻戦』を皮切りに『SAKAMOTO DAYS』『アオのハコ』といった現連載マンガ、『僕のヒーローアカデミア』『ハイキュー!!』『ブラッククローバー』『黒子のバスケ』『約束のネバーランド』と「これは必見だよ!」という作品を、時間が大きく空いたタイミングで少しずつ読むようになった。

そんな流れの中で、今回一声かかったことを受けて『ワールドトリガー』を読んだ、というわけだ。あとは『Dr.STONE』『青の祓魔師』「食戟のソーマ」か。

そういえば米津もアニソン歌ってるとかそういうの一切抜きで当時聞いてたんだよな…

<で?読んでみてどうだったよ?>

『ワールドトリガー』はまだ月刊誌で連載中ということで、ラストがドラマティックに描かれて終劇を迎えたわけではないので、読後感としては「なるほど、こういう感じでいまなのね?」というのが最も心根にハマる言葉だ。

主人公が住む三門市に、異世界からの門が開かれ、あちら側からモンスター(近界民・ネイバー)が来襲し、街を襲うようになった。そのタイミングで防衛機関・ボーダーが登場し、いったんは退ける。その後4年半が経過し、ネイバーの来襲に徐々に慣れているなかで、主人公の三雲修が人形ネイバーであり我々人間ととても有効的な空閑遊真と出会う。

というのが、この物語のド頭にある部分だ。その後、さまざまなトラブルを経つつボーダーに入隊した2人は、ネイバー側へと渡航をしようと試みるボーダー上層部の策にハマりながら、隊員として力をつけていく……というのが最新話までの流れだ。

『ワールドトリガー』のなかで特徴的だと思うのは、隊員たちが練習・訓練・模擬戦として市街地戦をする点で、じつはボーダーvsネイバーという「味方vs敵」の対戦とおなじかそれ以上に、「味方vs味方」の対戦が多い点だ。

その作劇・描かれ方も、実況・解説役が対戦につき、鳥瞰視点から部隊・1人1人の動きを語るという手合いになっている。大人数が入り乱れてサバイバルな戦いとなるのは「ジャンプ作品」ではかなり定番化しているのだが、キャラ1人1人のモノローグ・予想(想像)が担われていることが多く、毎度毎度第三者視点から説明されていくという流れはすこし新鮮だった。

くわえてこれは連載当時よりもいまだからこそ感じることだろうが、あきらかにFPSゲームの視点・マップ図、そしてそれを見て語る実況・解説という構図は、『Apex Legends』『VALORANT』といったゲームが流行った今だからこそぶっ刺さるし、理解されやすいとも思う

こういったマクロ的な視点での楽しみかたももちろんだが、トリガー(武器)にいくつものスロットがあり、それらを使ってさまざまなバトルを仕掛けていくミクロな部分でのやり合いも、もちろんこの作品の見どころだろう。

連載スタートした2013年から2019年あたりにこういった作画・演出を取り入れていたということは、著者・葦原大介さんが相当なゲーム好きかFPS観戦が好きだったんじゃないか?と思えてくる。

こうしてSF作品・バトルアクション作品として映えるような作品となったのだが、いくつか「ん?」と思える違和感も同時にある。ここから先は多少のネタバレこみで書いていく。

<ん?これどうなん?と思ったところ>

1つめ。これは『呪術廻戦』『鬼滅の刃』『チェンソーマン』といった作品が大ブレイクした影響をモロに自分が受けているせいなのだが、そもそも味方がここまで一切死んでいない点だ。

いや、キャラクターを殺しまくればいいとは思ってない。自分が好きなロックバンド・Mr Childrenの名曲「HERO」で歌われるように、盛り上げるために簡単に命が奪われていくような流れは、感づいてしまうと逆に萎える。

とはいえ、「ジャンプ作品」でバトルアクション作品といえば、少なからず主人公側のキャラクターの数人が死んでしまうことがある。ある種クリシェ化している「仲間の死」が、最新27巻までたどり着いた『ワールドトリガー』には無いのだ。

本当ならば、「仲間の死」を描かずしてよくぞバトル漫画を描き続けてきた!と書きたいところなのだが、実際の読後感に正直に記せば、「死」によって生まれる緊張が薄く、ドラマが描かれていないように感じた

バトルアクション作品にあるはずの「生死をかけた緊迫感」が、ガクっと欠けてしまっている点。同時代の「ジャンプ作品」ではかなりひどく惨たらしい様相で命のやり取りをしているなかで、この違いはかなりギャップを感じた。

2つめ。1つ目とも繋がるが、主人公側と敵側との交戦があまり起こらない点である

これにはストーリー展開が大きく作用している。
先にも書いたが、「味方vs敵」の対戦よりも「味方vs味方」の対戦が多い。「味方vs味方」という模擬戦ということで、もちろんここでキャラクターが死ぬことはない。ボーダーvsネイバーという「味方vs敵」の対戦も起こったのだが、月刊誌での連載ということもあり、巻数で数える以上に、数年以上前まですこし遡らなければいけないほどだ。

ひとつ抑えておきたいのは、筆者・葦原大介さんは、週刊連載時に多忙を極めてしまい、「頚椎症性神経根症」を患ってしまい、約2年の休載を挟み、月刊誌へと移籍して連載を再開したことだ。現在でも様子を見ながら執筆を続けており、ページ数を減らす・そもそも休載をするといった形で連載をつづけている。

じつは自分は、頚椎症性神経根症とは違うが、腰に椎間板ヘルニアを患い、内視鏡手術をした過去がある。手足のしびれが尋常でないことは容易に想像がつく。なので月刊誌に移籍して連載を継続したという判断、体調を第一にした連載はもちろん支持する。

とはいえ、ここまで「味方vs敵」の対戦がすくないとなると、さすがにヤキモキした気持ちが生まれた。「ま、まだ戦わない…のか!?!」「はよう敵さんとドンパチ戦いましょうや!」と言った具合に。1つ目にあげた「生死をかけた緊迫感」があまり感じられないところにも繋がってくる。

味方陣営のキャラクターの深堀りのために話数をかけることはとても重要だ。なぜならその後に起こるであろう敵との対戦を経て、何人かの味方が命を落としたとき、よりエッジな響き方を読者に感じさせるからだ。おそらく今後描かれるであろうバチバチとしたバトルで、どういった描かれ方がなされるかに期待だ。

3つ目。いざバトル!となったタイミングの作画・描かれ方にスピード感がないようにも感じた。今回こうして「読もう!」と読んでスピーディーに読んでしまった(速読した)こともあるだろう。とはいえ、仮に自分が店などで立ち読みをして目を通したら、おそらく「ほへぇー」と読んだっきり、もしかすればその後読まなくなってしまうかもしれない。

バトルアクション作品というには、意外なほどに静かな作画となっている。これが3つ目の違和感。まぁこれも読み直せばまた違った印象になるんじゃない?と思えなくもない。

<で、締めてみるよ>

自分が『ワールドトリガー』を読んだ所感はこんなところだ。
個人的には、可もなく不可もなく、最新刊が出たかな?と思い出したときにはまた改めて最新刊を読みながらでも楽しんで読んでみようとおもう。


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