見出し画像

怪獣と生きてたあの季節 RIJF.08 3日目 GREEN STAGE  #RIJFベストアクト

※注意

【RIJF特集】あなたのベストアクトも募集!Festival Lifeスタッフが選ぶロッキンジャパンベストアクト8選 | Festival Life http://www.festival-life.com/artist/31725.html

上の記事に感化されて書いたら1000字以上になってしまったので、なんかエモすぎるしnoteにあげようと思ったのであげます。

もう一回言います、エモいです。エモいのが苦手な方はお戻りください!(注意喚起)

__________________________________


怪獣の叫び声が聞こえる

その声が6弦のハリガネの音だとわかっていてもなお、そんなバカみたいなことを思えたのは彼らが初めてだった。

会場中の人が彼らを見ていた、警備スタッフの休憩場にベランダがあって、そこから多くの人が彼らを見つめていた、止めに入った人すらも聞き惚れるほどに。湘南の砂浜の近く、浜風と陽気な太陽のその下で、彼らは明らかにおかしな存在だった。でも当たり前か、怪獣なんだから。人間じゃない何かがそこにあったら凝視する、喩え話が喩えじゃなくなる、ああこれが音楽の力なんだと気づくのには時間はかからなかった

2008年におけるELLEGARDENは特別な存在だった、いまでも僕はそう思っている。

この怪獣に出会ったのは、2007年の初め頃にホルモン好きの友人が「お前に聴いて欲しいんだけど」と言われて『ELEVEN FIRE CRACKERS』を聴いた時だ。腰が抜けた、聴いた後に友人に言った言葉を未だに覚えている、「日本人じゃねぇよこんな音!洋楽じゃねぇか!」とかなんとか。日本人もアメリカ人もイギリス人も地球人なんだし音楽なんだから差なんてほとんどない、今ではそう思えるが、当時の感覚ではやはり「海外>>日本」な雰囲気はまだまだ残っていた。日本と海外のロックバンドを偏愛していた当時の自分の立場に巻き戻してみれば、「なんで俺こいつらを早く聞かなかったんだろう」なんて後悔もした。

いまなら「そんなことはない!」「好きだと思えた時が始まり!遅いなんてことはない」なんて言ってくれる人もいるだろうけど、この場合はこの文言は絶対に当てはまらない。<世界と日本の壁とかギャップをぶっ潰し/縮めてくれる>というエキサイティングな瞬間をリアルタイムで楽しめる機会はそう多くは訪れない、加えてこの年の9月に活動を止めることがアナウンスされていたからだ。

RIJF.08に出演すると決まったのはその直後だったように覚えている、その知らせを見て5分後くらいにチケットを取ったから。

パンクとハードロック、2010年代にまで連なって来ている日本独自のギターロックの文脈とを掛けあわせ、その身に怪しさを宿していた獣であったELLEGARADENはこの日、自身の身に取り付いた特別で怪しすぎる在り方を完璧に示してくれた。X JAPANは時に「破滅に向かって」という言葉を掲げる時こともあるが、活動休止という終わりに向かって加速度的に熱が強まっていく、そんな展開がこの日の彼らのアクトに熱を加えていたのだろう。

この年の彼らのライブ場所を思い出してみる、ARABAKI ROCK FEST/京都大作戦/NANO-MUGEN FES/FUJI ROCK FESTIVAL、海外に足を運んだ仁川ペンタポート・ロックフェスティバルと、全てが万人単位で入れるステージであり、その全てのアクトで4人だけで作り出す音をぶつけてきた。確かこの年のアクトでは、バックやサイドで流れる映像に炎をよく出していた覚えがある。怪獣の吐く炎のようだ、なんてというといいすぎか。

「Make a Wish」の時、本来は大合唱するサビのパートで観客の声が小さいとみると「聞こえねぇぞ!!」と煽って歌わせていた細美武士の姿を忘れることは出来ない。「この夜が終わるころ、僕らも消えていく」と切なく歌った「金星」から、「湿っぽく終わるのは俺ららしくねぇよな??」といって始まった「Surfrider Association」までの流れと、周りの人の顔を忘れることが出来ない。

あの時、みんな笑いながらも泣いていた。6万人があなた達をみて、「ロックバンドは、音楽はここまで化けることができるのか」「そしていなくなってしまうのか」と

この時からもう8年の時を過ごし、多くのライブを見てきた、大小もジャンルも時間帯も様々に色々と見てきた。でもハッキリといえるのは、あんな怪獣の叫び声みたいなギターをぶつけてきたロックバンドは今のところ彼らしかいないこと、6万人収容できるGREEN STAGEのようなフィールドで、パンクロックでありながらもアリーナロック然とした振る舞いでロックをカマシてくれた日本人バンドは、彼らしか見当たらないということ。

後にも先にも、ライブを終わって「ありがとう!」と叫んだのはこの時だけだ。もう二度と見れない。この怪獣にもう2度と会えない。THE HIATUSやNothing's Carved In StoneやMEANINGを追いかけるELLEGARDENファンの気持ちを、僕は断罪できない。あれだけの化物を見てしまったら、もう一度その姿が見てみたい、もう一度魅了されたい、あたりまえじゃないですかそんなこと。

今年はゴジラが戻ってくる、昭和の怪物だった。生きていれば何度でもよみがえることができる。僕も待っている、あの日の怪物を。


こんにちは!!最後まで読んでもらってありがとうございます! 面白いな!!と思っていただけたらうれしいです。 気が向いたら、少額でもチャリンとサポートや投げ銭していただければうれしいです!