#創作大賞2024
#002 突然に下半身不随宣告された息子。すところどっこい疾風記〜息子とともに駆け抜けた23年間の記憶〜
2021年6月。
突然下半身が動かなくなる。
シンが脊髄にある腫瘍が悪性化し、急速に大きくなり
手術での摘出が困難となった。
この間。わずか1ヶ月。
「悪性末梢神経鞘種」との診断だった。
元々数ヶ月に一度、MRIで進行の経過をモニタしていた。
2年ほど前、シン共々お世話になった小学校時代の校長先生と教頭先生の
ご尽力により、専門医が在職する大学病院へ通院することができた。
身体の数十カ所にでき
#001 突然に下半身不随宣告された息子。すところどっこい疾風記〜息子とともに駆け抜けた23年間の記憶〜
序章2024年4月
暗闇の中…。
小さな椅子に腰掛け、足を組み、背中を少し丸めて、前屈みのまま、
一心不乱に爪をかじる…。
いつものシンの仕草だ。
声をかけようとするが声が出ない。
シンに向かって大きく手を振っていると、こちらの気配にやっと気づく。
ハッと顔を上げ、無表情だった顔が急に崩れ、こちらに走り出す。
ボクの目の前に着くなりきつく抱きつき、大きな声を上げて泣き出した。
「ゴメンな。