高齢女子、バリキャリ娘の成長に驚く
ある日、普段自炊をしないバリキャリの娘が我が家に立ち寄った。
車で小一時間ほどかかるところに住んでいる娘は、ときどきふらっと我が家にご飯を食べにきます。
「なにか食べるものない?」
いつものように訪れた娘。
おばあさんは、その日は腹痛があり横になって休んでおりました。昨年の春ごろに大腸炎になって以来、時折お腹の調子が悪い日があるのです。
「今日はお腹が痛くて。なんにもないのよ〜」
そんな会話をして、ソファーになだれ込む70代母。
(コンビニでお粥ぐらいは買ってきてくれるかしら……)
ほんのちょっとの淡い期待だけを抱きながら、いつの間にかウトウトと眠りについていました。
はっと目が覚めたころには、一時間ほど経っておりましたでしょうか。
(娘はもう帰ったかしら)
そう思っておりましたら、「食べれば〜?」と娘。
なんとお盆には、お粥と梅干しとお薬が乗っていたのです。
娘は土鍋一杯のお粥を作れるバリキャリに進化していたのでした。
お粥で感じた娘の成長
まさかといったら失礼ですが、娘がお粥を作ってくれるなんて到底思っていませんでしたから、驚きました。
「あら、ありがとう」
「わたしが作らなきゃだれも作らないでしょ」
「べつに作りにきたわけじゃないけどさ」
少しぶっきらぼうに、しかしキリッとした様子で娘は答えました。
そうだ、そういえば昔、わたしの母が亡くなったときにも一度だけ、おかずを作って持ってきてくれたことがある。
娘というのは知らぬ間に成長しているものなのです。
母は娘を実家から送り出すときだって「大丈夫なのかしら」なんて心配していたものですが。
いろんな経験をして、きっとたくさんの苦労もしてきたのでしょう。娘はきちんと大人になっていたのです。
「さあさあ、食べましょ」
ジジさまと一緒に娘が作ってくれたお粥の味を噛み締めながら、心がじーんと震えた出来事でした。
※最後に、この記事は過去のツイートをもとに作成いたしました。
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