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まめまめふれふれ
同志Aからのお題:ベストセラー
サザエさんちの隣りに住む、作家の伊佐坂先生は(意外にも)恋愛小説が専門という。わが家では、小学生の娘が妻の古いMacBookを借りて小説を書いている。ローマ字変換でWordに縦書き。まさにデジタルネイティブ。詳しい内容は「秘密!」と教えてくれないが、本人曰く「ファンタジーじゃなくて現実的なお話」とか。もうすぐ1万字に達するようだ。父はnoteを書くのに四苦八苦しているというのに。
書くのはもちろん読むのも好き。彼女のお気に入りは講談社の児童向け叢書「青い鳥文庫」だ。本棚には40冊近く並び、安倍派並みの最大勢力になっている。
2020年、手書きの絵物語「ぼくアムコン」は未完の大作に終わったが、今回は青い鳥文庫の「作家になりたい!」シリーズに刺激を受け、執筆を始めた。時間を見つけては、歌うようにパチパチとキーボードを打つ。
私「講談社を目指すのだ!」と歴史ある出版大手への就職を刷り込もうとするが、
妻「講談社からベストセラーを出す作家になるのよ!」と上を行く。孟母なり。
講談社といえば、藤子不二雄ファンの脳裏に焼き付いているのは、威風堂々たる本館ビルの姿であろう。1933年に竣工した、音羽にそびえる白亜の城。藤子A先生の「まんが道」に登場し、主人公の満賀道雄・才野茂をドーンと圧倒する。実際に本館ビルの前に立つと、その場面を思い出し、私もシビレるのである。
隣接して建つ新館ビルは、吹き抜けのロビーが緑したたる森になっていて、出版業界を長年リードしてきた同社の余裕を感じる(間違っても、木を切る改革なんてありませんように)。
大通りを挟んで店を構えているのが、和菓子の「群林堂」。早々に売り切れる名物は、ずっしり重い「豆大福」だ。にゅーっと柔らかな餅の中に、硬めの赤えんどう豆がごろごろ。東京の三大大福の一つとされ、編集者が作家先生への手土産にすることも多いと聞く。
娘よ、新しい物語を世に送り出しておくれ。印税でわが家の暮らしを楽にしておくれ。豆大福の雨を降らせておくれ。
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