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「東京都庁のDX請負人」はクールかと思っていたら、めちゃエモかった件~【第2回GRフロントランナー】

デジタルトランスフォーメーション(以下、DX)。ビジネスパーソンが耳にしない日はないと言っていいくらい、社会に浸透してきている言葉です。しかし、自治体職員にとっては、いったいどこから手をつければいいか、どの民間事業者に頼ればいいのか頭の痛い問題ではないでしょうか。一方、IT系の民間事業者からすると、自治体はもったいないことが多すぎる、でも、誰にどうやって提案すればいいのかわからないという課題もあるのではないでしょうか。もはや、これは日本全国に広がる大きな課題ではないでしょうか。この課題を解決するため、私たちは日本の自治体DXのフロントランナーである東京都の取り組みを聞く第二回GRフロントランナーを2022年11月29日に開催しました。

快く登壇していただいたのは、東京都デジタルサービス局のサービス開発担当部長の荻原さんと、デジタルシフト担当課長の亀山さん、平井さん、藤田さん、田邊さんの計5名。

民間出身者が牽引する東京都DX

皆さん民間出身で、システム設計やAI開発をバリバリされていたそうです。東京都は、元Yahoo!株式会社社長の宮坂学氏が2019年に東京都の副知事に就任し、DXを推進しています。その牽引役として2021年4月に設立されたのが、このデジタルサービス局です。

https://www.digitalservice.metro.tokyo.lg.jp/

主に以下の3つのミッションを推進しているとのこと。

東京都デジタルサービス局作成

たとえば、災害や混雑情報などを表示するサイネージや人の流れや気象を計測するスマートポールを民間事業者と都有地に設置して都市のデジタル化を推進する実証を行ってみたり。

東京都デジタルサービス局作成

都職員が紙とペンで行っていた衛生監視の記録業務を、クラウドとタブレット、タッチペンを活用したものに変えてみたり。

東京都デジタルサービス局作成

現場で判断できない情報はタブレットですぐに調べたり、申し送り事項も掲示板に記入したりすることで、情報共有もスムーズになったそうです。設立当初は180人だったデジタルサービス局の職員は、2022年度は286人に。今後も増える予定だということです。2023年には、東京全体のDXを効果的に進めるための官民の新たなプラットフォーム、「GovTech東京」を構築するとしています。

ここまで読むと、全国の基礎自治体の皆さん、こう思いませんか?

「いや〜、それは東京都だからできることでしょう。うちとは規模が違いすぎるから話を聞いてもちょっと…」

実は東京都が力を入れているのが、区市町村のDX支援です。基礎自治体にはそこまでデジタルに詳しい人材はいませんよね。その区市町村に足繁く通い、「DX、やってみようかな」という気にさせていくのがデジタルサービス局の担当課長達です。具体的にどのようなことをやっているのでしょうか?それは・・・

まずは、「DXに前向きな気持ちになってもらうこと」なんだそうです(笑)。

基礎自治体職員のハートに火をつけろ!

課長たちはとにかく現場に何度も何度も行きます。そして区市町村の職員たちと話し合いながら、「いま何に困っているか」を聞き出します。それをどうやったら解決できるか?もしかしたらAIやRPAを活用したら皆楽になれるんじゃないか、などの会話を通じて、だんだんデジタルに対する警戒心を解いていくのだそうです。具体的には、仕事のプロセスをヒアリングしながら、それぞれにかかる時間を洗い出してみる。例えば、聞き取り調査を紙とペンでやっていたものを録音と自動文字起こしに変えたらどれくらい時間が減らせるかを想定してみる。そうすることによって、「こっちのほうが自分達も楽になる!」と前向きになってくれるそうです。

東京都デジタルサービス局作成

いきなり「BPR(ビジネスプロセスリエンジニアリング)しましょう」と横文字を使いながら乗り組んでいくのでなく、相手の課題を把握し数字で見える化することによって、最初は乗り気でなかった基礎自治体職員もやる気になってくれるそうです。ミーティングもオンラインでやるのが当たり前の時代ですが、あえて訪問して対面で相互理解を深めることに力を入れているそうです。2022年度のデジタルサービス局の区市町村支援の数は大小含めてなんと358件(2022年11月末現在)!主役は基礎自治体で都は支える立場なので、基礎自治体に本気になってもらうために泥臭くやる。ハートに火をつける。これがデジタルサービス局のリアルでした。

デジタルサービス局が消える日がゴール

「自分達の最終的な目標は、デジタルサービス局がなくなること。優秀なデジタル人材が各局や区市町村にまんべんなくいて底上げされることが望ましい」と荻原部長は語ります。ただ、他の道府県ではここまでハイスペックな人材をたくさん揃えるのは難しいのも事実です。

筆者(持留)とデジタルサービス局のみなさん

「地方の自治体はいったいどうやって民間のデジタル人材を活用すればいいの?」
という質問もしましたので、皆さんぜひ配信をご覧ください!

モデレーターは日本GR協会オフィサーで、株式会社GlocalK代表の持留英樹。元ニュース編集長の視点から、デジタルが苦手な方にも理解してもらえるよう、なるべくかみ砕いて話を伺いました。

こんな方々に視聴をお勧めします


- DX分野で自治体の案件獲得を目指す企業の担当者
- DXを担当する自治体職員
- 基礎自治体のDX支援を行う都道府県庁の担当者
- 官民連携に関心のある公務員
- 批判ではなく提案ができる地方議員

GRフロントランナーとは?


社会課題を解決したい!その想いの実現のために官民連携の現場でどのような行動を起こせばよいのか、周囲の巻き込み方など悩まれている方が数多くいらっしゃいます。「GRフロントランナー」は、まさに官民連携の現場を推進されている方、民間のプレイヤーの方などをゲストにお迎えすることで、現場感のある実践的なセミナーを展開していきます。


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