コロナで大打撃を食らった家業のお煎餅工場のオンラインストアをつくるまで
実家の庭にお煎餅工場。当たり前だったお煎餅がある毎日
——家業を教えてください。
千葉県の習志野市で煎餅工場をやっています。卸専門で、60年程続いています。
祖父が創業し、現在は母が引き継いでいます。
実家の庭の中に小さい工場があって、常に工場の音が聞こえる生活をしていました。
——庭の中に工場があるの凄いですね…。小さい頃の家業の印象はありますか?
小さい頃は家業があることが当たり前の生活だったので特別な印象はありませんでした。お煎餅は幼稚園の時に食べ飽きてしまったので好物でもないです(笑)あれば食べるんですけどね。
——てっきり好物なのかと思っていました!家業の思い出はありますか?
小学校の時の社会科見学で、生徒の親御さんで家業をやっている人のところに行ってみようというのがあって、みんながうちのお煎餅工場にも来て焼いてるところを見学しました。でもそれに関しても、特別感はなかったですね。何も思ってなかったです。
——今まで家業は手伝ったりしていましたか?
ほとんどしていなかったのですが、転職期間で休みが続いた時に少し手伝いました。生地屋さんから仕入れた生地をベルトコンベアに置いたり、焼けたお煎餅を醤油につけて乾かしたりしました。母親は毎日これをやっているのかと思うと、大変な仕事だなと実感しました。
コロナの影響で売り上げは7割減になり、家業を手伝うことに
——コロナになってから家業に変化はありましたか?
卸先のお菓子屋さんの売り上げが減ったり、お店を閉めてしまった所もあって、なかなか注文が入らなくなりました。4月が一番ひどかったようで、売り上げは7割減。工場をお休みにしたり、パートさんを少なくしたりしてなんとか耐えたようですが、工場をお休みにしてもパートさんには給料保証をしていたようなので、かなりきつそうでした。
——それを聞いたとき、どういう気持ちでしたか?
表面上では元気なそぶりを見せていた母ですが、やっぱり困っている感じは出ていたので「何かしてあげれないかな」と思いました。親が辛い思いをしているのは悲しいですよね。
——卸先のお菓子屋さんの名義でオンラインストアを開設したと聞きましたが、それはなぜですか?
コロナになる前からネットで売ってみたら?という話はしていたのですが、もともと卸業なのでうちが売り始めるとお菓子屋さんの方で売れなくなってしまうのではないかと、料金の設定で悩んでいたんです。しかし今回お菓子屋さんも売り上げが落ちていると聞いたので、その名義でオンラインストアを出せば、家業も、お菓子屋さんも売り上げが立つのではないかと思って提案しました。
——実際に開設してみてどうでしたか?
正直、お商売を舐めていました。僕が働いている会社の社長はツイッターのフォロワーがすごく多いのでリツイートしてもらえればある程度売れるのでは?と思っていたのですが、実際蓋をあけてみると買ってくれたのは僕の知り合いか、会社の同僚が8割くらい。それ以外の新規でツイッターを見て買ってくれた人は2割くらいだったので、物を作って売るのは大変なんだなと実感しました。
——でも一回のリツイートでそれだけものが売れるのは凄いですよね。オンラインストア開設で印象にのこっているエピソードなどありますか?
開設するまでが大変でした。お菓子屋さん方とやりとりしながら進めたんですけど、パソコンに触れてこなかった方だったので、意思疎通しながら進めていくのが難しくて、LINEと電話を駆使して探り探り進めていきました。
——開設にどれくらいの時間がかかりましたか?
5月末からはじめて、オープンが6月10日なので2週間かからないくらいです。
今回やりとりしながら作って2週間だったので、自分一人で開設するなら1週間あれば開設できると思います。
やっと助けられたのが嬉しかった
——実際に手伝ってみてどうでしたか?
母親が喜んでくれたので、それが良かったです。
お煎餅を作る作業は自分は手伝えないので、そことは違う”売り上げをあげる”という所で協力が出来たのは嬉しかったです。今まで家業も継がずに手伝いもせずに生きてきたので、やっと親孝行ができたかなと、今の仕事をしていて良かったなと思いました。
——これからの家業との関わりをどうしたいですか?
オンラインストアを作ってある程度売り上げがあったので、それはこれからも続けていきたいです。他の卸先でもオンラインストアをつくる事は積極的に手伝っていきたいです。
——これから家業を手伝おうかと思っている人にアドバイスなどありますか?
どんな形でも、子供が手伝おうとすることに対して親は喜んでくれる実感があったので、どんなに小さいことでもいいので、手伝おうとしてみる気持ちが大切だと思います。きっと喜んでくれますよ。
最後までご覧いただきありがとうございます😊
本記事の内容・表現は、取材当時の"瞬間"を『家業エイド』視点で切り取らせていただいた、あくまで家業を通して皆様が紡いでいる物語の過程です。皆様にとっての「家業」そして「家業との関係性」は日々変わりゆくもの。だからこそ、かけがえのない一人一人の物語がそれを必要とする誰かに届くことを切に願っております。
運営チーム一同より
「家業」にまつわる課題・機会に興味がある
当事者の方、支援する方は覗いてみてください:
『家業エイド』詳しくはこちら👇👇
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?