見出し画像

#9. フィリピンの航空券

申込書によくあるような、いわゆる「フォーム」が好きだ。
項目ごとに罫線で仕切られていて、ボールペンで書き込むようになっている、あれ

Helvetica Condensedの小さな文字が詰まった英語のフォームに書き込む機会があったりすると、ちょっとワクワクしてしまう。

印刷物名:棚卸票(inventory tag)
サイズ:80 × 158 mm
採取場所:日本(楽天市場)
採取年:不明
詳細情報:1-Part Stub Style Inventory Tags - Plain, #0000 - 0999

これは10年前に楽天の輸入文具ショップで買った、アメリカの棚卸票(inventory tag

私には在庫管理が必要なものなど何ひとつないが、ネットで見ているうちに欲しくなってしまった。
今でも本を読むときに栞(しおり)として使っている。

もし日本人が同じようなタグをデザインしたら、外側を罫線で囲ってみたり、太罫と細罫を使い分けてみたりするのかもしれない。
「気配り」は日本人の美点ではあるが、よけいな気配りをしない美しさというものもあると、これを見ているとあらためて思う。

フォームに手書きの文字が書き込んであるものも好きだ。
これは台湾で入手した、宝飾品店の広告

印刷物名:カード広告(宝飾品店)
サイズ:150 × 103 mm
採取場所:台北(台湾)
採取年:2000年
詳細情報:justgold/鎮金店股份有限公司

この手法は「アイドル歌手のプロフィール」などでよく見かける、デザインのネタとしてはありがちなものだ。
とはいえ、このようにフォームに手書きで記入されていると、やはり思わず内容を読みたくなる。

近年は「手書きの手紙のガチャガチャ(カプセルトイ)」というものがあるらしい。
誰かが書いた手書きの文字というのは、デジタル化が進んだ時代には特に心惹かれるものなのだろう。

フィリピン航空のオフィスに航空券を買いに行ったとき、手書きのチケットを渡されて驚いたことがある。
30年近く前とはいえ、航空券は機械で印字されているのがあたりまえだったので、ほんとうにこれで乗せてくれるのかと少し不安になった。

印刷物名:手書きの航空券
サイズ:82 × 200 mm
採取場所:バギオ(フィリピン)
採取年:1995年
詳細情報:Philippine Airlines

宿泊していたバギオの民宿にゴキブリが100匹ぐらい出たり親切そうな人に騙されたり風邪をひいたりしたことが理由で、フィリピンからの帰国の予定日を早めた
この手書きのチケットを見ると、今すぐ日本に帰りたかった日のことを思い出す。

いいなと思ったら応援しよう!