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顧客にフォーカスする

 ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークは、組織のパフォーマンスを向上するための最も重要な質問集です。質問に答えることで自ら気づき、改善を繰り返していくことで、現在と未来の成功を確実なものにしていきます。
 カテゴリー3.顧客(Customers)では、顧客の声に耳を傾け、顧客の期待に応え、それを超え、顧客関係を構築する方法など、長期的な市場での成功のために顧客との関わり合いをどのように深めるかを尋ねます。

 これをさらに「顧客の期待」と「顧客エンゲージメント」の2つに分けて尋ねます。

3.1顧客の期待:どのように顧客の声に耳を傾け、顧客のニーズを満たす製品やサービスを決定していますか?
3.2顧客エンゲージメント:どのようにして顧客との関係を構築し、満足度とエンゲージメントを決定していますか? 

 これらの質問の背景にあるのは、ボルドリッジの核となる価値観と概念にある「顧客に焦点を当てた卓越性」です。

顧客に焦点を当てた卓越性
顧客は、組織のパフォーマンスおよび製品とサービスの品質の究極の判断者です。したがって、組織は、顧客に価値をもたらす、①すべての製品およびサービスの機能と特性、②あらゆる形態の顧客接点やサポート、および、③組織としての全ての価値観とふるまいを考慮に入れる必要があります。
Baldrige Core Values and Conceptsより。翻訳及び①~③付与は筆者)

 付記しておきたいのは、2021-2022年版での変更点です。

 ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークでは、2021-2022年版の改訂で、これまでの「多様性」という概念が「多様性、公平性、包括性」に拡張され、「公平性と包括性」が重要な概念として、フレームワークに組み込まれました。

公平性と包括性(Equity and Inclusion)
成功する組織が人々の多様な背景と特性、知識、スキル、創造性、および動機付けを利用するという概念を拡張して、Baldrigeフレームワークのこの改訂には、公平性と包括性により強く焦点が当てられています。「顧客に焦点を当てたエクセレンス」、「人を大切にする」、および、「社会貢献」と題された核となる価値観には、このより強力な焦点が含まれるようになり、公正さと包括性は、組織文化、顧客と働き手のエンゲージメント、および審査基準全体の注記の考慮事項になりました。
Baldrige Excellence Framework 2021-2022, 44p, ”Changes from the 2019-2020 Baldrige Excellence Framework"より引用。翻訳筆者)

 これによって、この顧客のカテゴリーでは、質問に、顧客に対する「公平な扱い(fair treatment)」に関する質問が追加されました。
 Baldrige Excellence Builder 2021-2022では、3.2の質問の数が6つから7つに増えています。
 増えた質問を含め、それぞれの質問については、改めて紹介いたします。

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 筆者らGQFが翻訳した「ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダー【日本語版】」は、米国NISTのウェブサイトからダウンロードできます。ページ下方の Non-English Versions / Japanese を参照ください。


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