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自らの経験がドラマに。地域おこしを通して気づいた「自然体でいることの価値」

2019年2月6日にNHK BSプレミアムで放送される、貫地谷しほりさん主演の長崎発地域ドラマ「かんざらしに恋して」。そのモデルとなったのが、就労移行支援事業「シゴトライ・リンクビー大阪」で働く杉山佳恵です。島原での地域おこしの話から、どんな思いをもってGPに入社したのか、語ります。


「地域おこし協力隊」で島原へ。頼まれたのは甘味処の再建

杉山

▲ 2016年3月、夫とともに島原へ移住した頃



株式会社ゼネラルパートナーズが運営する就労移行支援事業「シゴトライ・リンクビー大阪」(※)で働く杉山佳恵です。就労移行支援事業所では、就職を目指す障がい者の方向けに、就職のためのスキルアップ研修や職場で自己管理するためのストレスマネジメント研修、そして実際に就職活動を行う際のサポートを行っています。

※シゴトライ・リンクビー大阪」は、うつ症状専門の就労移行ブランド「シゴトライ」と発達障害専門の就労移行ブランド「リンクビー」が併設された事業所です。


私は2018年11月に株式会社ゼネラルパートナーズ(以下、GP)に入社しました。まだ働きはじめて2カ月経っていないくらいですね。新卒では学習塾を運営する会社に入社しました。集団授業を担当したり、先生のマネジメントをしたりというようなことをしていました。

その頃は滋賀県に住んでいたのですが、2013年頃から夫が「田舎暮らしをしてみたい」と言い出して。私も興味があったので、2人で“地域おこし協力隊”に参加することにしました。

“地域おこし協力隊”とは、地方自治体が募集をおこない、町おこしや地方の暮らしに興味のある方を受け入れ、町おこしに協力しながら移住・定着を図る、という制度です。全国各地のいろいろな地方自治体が募集を出しているため、自分たちでどこで暮らすかを決められます。


私たちの希望は、まず、海と山と両方あるところ。そして田舎暮らしには興味があったものの、あまりにも生活の想像ができない離島などは自分たちには厳しいかも、ということで、長崎県島原市を選びました。

本格的に移住する前年に、観光として行ってみたのですが、島原は本当に素敵なところでした。雲仙岳と有明海に囲まれた、水がとても豊かなところで、町中に水路があり「水の都」と呼ばれています。

田舎とはいえ、病院やコンビニもあるので、生活もしやすかったです(笑)。

そんな島原ですが、人口減少という課題を抱えていて、観光もそこまで盛んではありません。そこで私達が市からお願いされたのは、甘味処の再建でした。

※「シゴトライ・リンクビー大阪」と同ブランドの「リンクビー秋葉原」施設長・鈴木の記事はこちら


開店まであと5か月!?まったく知らないスイーツの味をゼロから再現

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▲ 島原名物「かんざらし」


その甘味処は「銀水」という、島原市民の皆さんが大切にしてきた思い出の場所で、名物は「かんざらし」という、島原ではよく食べられるご当地スイーツです。

白玉団子に蜂蜜や砂糖等で作った特製のシロップをかけたシンプルな冷菓なのですが、島原の豊かな湧き水でつくられているから絶品なんですよ。地元では、お盆に帰ってきたときにはおばあちゃんがつくってくれるようななじみの深いもので、暑い時期にぴったりのおやつです。


さて、そんな甘味処の再建をお願いされたものの、なんと当時のレシピは残っておらず……。それを島原に縁もゆかりもない、「かんざらし」をまったく知らない私たちが、ゼロベースから味を再現することになりました。

町には他にも「かんざらし」を提供しているお店がいくつかあったので食べ歩きをしたり、地元の人にどうやってつくっているかインタビューをしたりして試作を続け、味を再現するだけで半年かかりました。島原で生まれ育った市長から、「おいしい、昔の味だ」と言ってもらえたときにはホッとしましたね。

そもそも、私たちが島原に2016年3月に行った時点で、8月頭のオープンは決まっていたのにお店の準備も何もできていなかったんです(笑)。

店舗の掃除から内装、食器の買い付け、食材の卸先の交渉、原価率計算までその半年間に急ピッチで進めました。地元の人に「こうしないといかんばい」と教えてもらいながら、なんとか工事が終わったのは7月28日、オープンの1週間前のことでした。


同じように情熱があるからこそ、対立は起きる

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▲ ドラマ「かんざらしに恋して」のポスターと



そういった時間的な制約もありますしたが、もっと苦労したのはやはり「地域おこし協力隊」としてどのように町おこしに関わっていくか、ですね。

私たちは言ってみれば“外部の人間”です。自分にルーツがない場所で地域に根付いていかなくてはいけないなかで、方言や言い方ひとつで溝をつくってしまうので、気をつけていました。

甘味処の再建にしても、「なぜ地元の人間じゃなくてよそ者が?」という反発もありました。そして、自分たちと行政の人とのスタンスの違いもありました。お役所の方はやはり現実的な方が多いので、自分たちがやりたい理想とのギャップに疲れてしまうことも……。


でもこういった対立は、同じように情熱があるから起こるんですよね。私たちは島原を選び、わざわざ好きで来たわけなので、絶対にプロジェクトを成功させたい。

そしてもちろん地元の人も行政の方も島原が大好き。だからぶつかってしまう。好きだからこそもめるわけですね。

そういうとき、島原の人はお酒をよく飲む方が多いので、お酒を飲みながらいろいろな話をたくさんしました。地元の方はやっぱり麦焼酎のお湯割り。実は私はお酒が飲めないのですが、「カルピスだったら何杯でも飲みます!」と言って、グイグイ入っていって(笑)。

でもそういう何気ない話のなかでこそお互いの理解が深まったような気がして、大事な時間でした。


そんな私の経験がドラマになると聞いたときには、本当に驚きました。

それまで何度か取材は受けたことがあったので、最初にテレビ番組になると聞いたときは「きっと5分間くらいの番組だろうな」と思っていたのですが、まさかのNHKで、さらにどんどん豪華なキャストが決まっていって。

脚本家の方から「実際に起きたできごとを教えてほしい」と言われ、台本を見せていただきながらお話もさせていただきました。私たちの経験をベースにしながらも話自体は別物になるとは聞いているのですが、まだ試写を見ていないので、私もとても楽しみです!


「ちゃんとしなきゃ」というより、全力で挑戦する自分を大切に

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▲ 2018年11月にGP入社



その後、長崎から関西に戻ってきて転職活動中に、エージェントから「人材はどう?」と紹介されたのがきっかけでGPを知りました。”障がい者専門”というところが分かりやすくて、面白そうだと思って受けました。

でも振り返ると、職場でうつや過呼吸になってしまった同僚がいたり、学習塾にLD(学習障害)の生徒がいたり、精神障がい当事者の方に出会った経験はあって。

また、長崎で町おこしをしていたときも、お店の裏方のお手伝いを知的障がい者の方にしていただいていましたが、「知的障がいの方が丸めた白玉団子は……」という意見が出たことがありました。勤務態度は問題なく、丁寧な仕事をしてくださっているだけに非常に悔しい気持ちになったことを覚えています。

そういった出来事があったときにうまく接することができなかったもやもやを解消できるかも、もっと知りたい!と思ったことが、強い志望動機になりました。


現在GPでは、就労移行支援事業所に通う方を募集する施策の検討とブラッシュアップをしています。実際に見学・体験通所の対応も行い、納得感をもって安心して通所していただけるように努めています。それ以外にも、就職サポートや定着サポートなど、就労移行の全体の流れがわかるように広く関わらせてもらっています。

GP関西支社の雰囲気は分かりやすくいうと「世話好きなおばちゃん」、もとい、「世話好きなお姉さま」が多いです。立ち話を大事にしたり、いい意味で少し古臭い部分もあって、でもそれが支援の現場にもつながっています。業務やプロジェクトの中心ではないけれども、必要な時間。それは私が島原で麦焼酎を酌み交わしながら過ごした時間とも似ています。

また、関西では移行支援事業所と人材紹介事業のオフィスが隣り合わせなので、そこが他の拠点と少し違うかもしれません。簡単なところでいうと利用者さんがカウンセリングを受けやすく、お互いの情報も共有しやすいです。また、違う事業部の人が隣にいることで刺激にもなっています。

そんなGPで2か月弱働いてみての感想は「思ったより余裕があって、楽しい」ですね。失敗してもOK、という組織風土を感じます。ちゃんとしなきゃというより、挑戦をしていこうと思える。


私、島原に行くまでは、「自分の期待に応えたい」という気持ちが強かったんです。大人なキャリアウーマンに憧れていて。でも島原に行ってから好きな自分像が変わりました。

島原にいると電車も1時間に1本で、ブランドの服も買えない。そういった外見で取り繕えない環境になってみると、余暇の時間にやりたいことが思い浮かばない自分に気づいてしまって。自分の内面を磨かないといけないと思い、それからはプライベートにも全力で楽しめる自分を大事にしたいと思うようになりました。そんな今の自分とGPの社風があっているので、安心感があります。

障がいを理由に辛い思いをすることがなくなってほしい、自分らしく生きていけるような社会になってほしい、と考えていますが、自分が何ができるのかまではまだ落とし込めていなくって。

GPにはいろいろな経験やバックグラウンドの方が、いろいろな思いで働いているので、今後は本社や他拠点の方とも交流しながら、「みんなが自分らしく笑顔で生きられる社会」 に向けてのヒントが得られるといいなと思っています。



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