コラム 問答有用 ~新型コロナウイルスの検査はバンバンやれば良いのか?~
要旨
ほとんどの人は軽症で済むうえ、治療法が存在しない(治療が必要無いとも言える)ので、新型コロナウイルスの検査が必要な場合は限られている
新型コロナウイルスの検査を
受けたくても受けられない人達がたくさん居る。
検査体制を速やかに拡充することが必要であり
それは国民の総意でもある。
というような報道が、急速にテレビでも紙面でもなされるようになってきている。
が、これは、
マスコミのとんでもないミスリード
ではないだろうか?
医療従事者の私には、検査体制の拡充が必要とはどうにも思えない。
新型コロナウイルス感染の同定は
ほとんどの場合必要無いからだ。
新型コロナウイルスによる感染症は、現在までの報告をもとにして判断すれば、
80%は軽症で済むうえ、
重症化しても特異的な治療は存在していない。
肺炎にまで至ったような、入院対応が必要となる場合には、他の細菌性、自己免疫性などの肺炎との鑑別のために行うことは理に適っているが、
逆に言えば、そのくらいしか検査の適応は無い。
軽症で治療の必要も無い状態で検査をしても、
誰にも何のメリットも無いでしょう?
風邪を引いたので
絶対検査して、
風邪か風邪じゃないのか確かめろ!!
と言っているのと、大差無い話だろう。
軽症なら放っておけば治るし、重症なら入院するしかない。
最近流行りの?『安心』にすらならない。
検査の精度は100%ではないからだ。
検査のための検体(咽頭ぬぐい液など)の質や、検査のタイミング(感染初期でウイルス量が非常に微量であった場合など)いかんでは、偽陰性となる(検査をすり抜けてしまう)ことは容易に起こりえる。
また、医療従事者でない方は、事務さん、検査技師さん、看護師、医師などの
医療スタッフへの感染リスクに無頓着
に見える。我々も人間なので、患者さんと接した場合、当然感染する可能性がある。
冷静に考えて欲しいのだが、これは極めてマズい状況だ。仲間が減るだけではなく、
仲間が減ったうえで敵になる
からだ!
つまりは、必要の無い検査を行って、医療従事者が感染することは、
2倍のダメージとなって返ってくる
ということである。
検査はほとんど必要無いと繰り返しているが、
『これ以上感染者を増やさないためにも、しっかりと診断をつけた方が良いだろう!!』
という意見の人も居るかもしれない。
が、
なんで診断にこだわるの?
と、個人的には思う。
体調が優れず自分で
『怪しいな・・・』『不安だな・・・』
と思うのであれば
『自分はもう感染している』
と考えて行動すれば良いだけの話
ではないだろうか。
感染症対応の原則は
『疑わしきは罰する』
‖
『疑わしきはクロとして扱え』
のはずだ。
感染したかも、と不安ならば、感染したものとして振る舞い、仕事は休むなどして人との接点を極力減らし、外出時はマスク着用、咳エチケットの順守、頻回の手洗いなど、基本的な感染予防策を徹底しながら、自分の免疫力で新型コロナウイルスに打ち勝つしかない。
80%の人はそれで問題無いのだから。
(特に、持病のない、60歳未満の人の場合は、さらに安全だ。)
不幸にして重症化してしまった場合は、入院して存分に検査してもらえば良いだろう。
それ以外に、やりようがあるのだろうか?
検査体制の拡充を声高に叫んでいる(自称)一流紙や(自称)コメンテーター陣や(自称)アンカーパーソンには、
是非とも理論的な対案を示してもらいたい
ものだ。
以上、私の結論は
・80%の人は軽症で済むうえ、治療法が存在しないので、検査が必要な場合は限られている。
・疑わしいなら、そう思って行動するしかない
ので、
検査体制の拡充は必要性に乏しく、
(そんなことに血道をあげるくらいなら)
普段の行動を見直して、
これ以上感染者を増やさないようにする
ことの方がよほど重要
ということである。
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