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ことばの調べもの 第3章(算術の基礎 編(9))

地球は46億年前に生まれた。46億年より前には存在していなかった。

---なるほど、では数字「46億年」をどんどん小さくしてみようではないか。

地球は5分前に生まれた。5分より前には存在していなかった。

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われわれは前者を信じ、後者をナンセンスとして排除する。前者の信じ方はたいへん強固で、後者の排除のしかたは断固としている。たとえ地球が「一瞬で」生まれたわけではないにもかかわらず、「46億年前に生まれた」という言い方を受け入れる。

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「46億年」を「30億年」に変化させるのは「学説の違い」だ。だがこれを「5分」にまで短縮すると哲学的懐疑に変貌する。

ここに数字の魔力がある。我々の言語では、数字の連続性に導かれて「46億」から次々と数値を減らし「5」にいたる主張を形成することが可能だ。

しかしその途中で本質的なジャンプが行われていることに気づかない。一見すると「数値の単なるリニアな変化」に見える操作がそれを覆い隠してしまう。

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「46億年前」を否定することと、「5分前」を否定することには、根本的な違いがある。しかしその分岐点はどこにあるのだろうか。

...分岐点はどこにもない。数字が適用されたことで、分岐点は霧散してしまった。

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私はこれを「数字が新たに意味を生み出す現場」と捉えることにしたい。

数字---この悪魔的なツール。

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