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ワンルームの小宇宙
現代人は接続しすぎている。
このアパートはもはや、雨風をしのぎ、私を囲っているだけのコンクリートにすぎない。
何のために一人暮らしをしているのか。
尊厳もへったくれもあったものではない。
布団の上でじっとしてみる。
私は幼少の頃から、日によって質感が違っているのが面白くて、暇さえあれば、同じ日や出来事に何度も浸ってみたり、思惑してみたりする癖がある。今思うとそれは、雑多な世界で自分だけの何かを実感するためにやっていて、大袈裟ではなくて本当に、生きるために絶対的に必要な呼吸のように日々に組み込まれていた。大人になってからも中々、癖が抜けなくて、文字通り息をするようにしてしまうのだが、そうしているとやがて、周囲から重力が寄せ集まってくるような感覚が襲ってくることがある。例えばこうして寝転んでいると、そのうち床との接着面が耐えきれなくなり、床を突き抜けるほどの行き場を失ったエネルギーが爆散するように身体が四方八方に飛び散ってしまいそうな錯覚に陥る。
しかし、教育や暮らしによる訓練はすごいもので、ギリギリのところで理性が歯止めを利かせて、爆散は間逃れる。が、そのエネルギー自体がなくなるわけではない。時折、行き場を失ったエネルギーが統合失調的に表出されたりもするのだ。
ある日は、身体が部屋中や部屋を超えて外に溶け出していくし、またある日は、まぶたの裏にジワンと模様が描かれ蠢いていた。
だいたい、月に一度それは起こる。
その体験は、大気をさまよう塵のように、ゆらゆらと漂っていた身体に刺激を与えたり、時には癒しをもたらしてくれる。
ワンルームで誕生する小宇宙。
それは、新たな私との出会いだ。
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