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きもちいい

ヒトは、世界があまりにも痛いから

セックスに夢中になった。


やがて、それだけでは飽き足らず

踊り出した。

歌い出し、考え出し、詠みだした。

話し出し、書き出した。


気持ちが良いは正義だ。


野菜が奏でるシャキシャキ、パキパキ。

ジューっと火が通る音。

歌って喋って、喉が鳴る。

お風呂でホッと温まる。

泣く。


笑う。

気持ちが良いから生きてゆける。

でも、油断すると

'気持ちが良い'は'気持ちが悪い'になる。


それを留めておくには

力を借りなければいけない。


なんでもいい。

自然。動物。食べ物。踊り。歌。絵。

言葉。感情。時間。


それでも残る"きもちわるい"は

きっと、大事なものだから

いつしかそれは

"おもしろい"になるかもしれない。


だからそれまで、どうにかこうにか

"きもちいい"を作り出し、日々を紡ぐ。


どうせ、生きてゆくことしかできないのだから。

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