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サステナブル・ツーリズムは、新型コロナ終息後の観光トレンドになり得るか?

新型コロナウイルスにより、海外旅行は約1年半にわたりストップしています。新型コロナ蔓延前は、海外旅行や海外出張に頻繁に出かけていた私も、安全安心な状況の旅行先で旅行を楽しみたいと思っています。見たことのない風景、知らない文化に触れる体験は刺激的ですし、心がリセットして明日への活力につながる、そんな気がします。

一方で、新型コロナの一件で「密な場所は避けたい」という気持ちは強く、その国でマストで訪れたい有名観光地の他は、現地の人と交流できる田舎や自然豊かな場所で、ならではの文化を楽しみつつ、のんびりとした時間を過ごしたいと思っています。

旅行に対する価値観は人ぞれぞれですから、「都市観光を楽しみたい」「ショッピングを楽しみたい」「有名観光地を多く回りたい」という人もいると思います。日本人と外国人でも考えが違う場合もあります。価値観は生まれ育った環境で変わりますから。

Booking.comによるサステナブルに関する消費者調査

ではでは、海外の消費者がサステナブルツーリズムについてどのように考えているか、世界有数のOnline Travel AgencyであるBooking.comが今年発表したサステナブルツーリズムに関するレポートを見つけたので、調査結果を見てみましょう。

※Google Chromeで翻訳機能を使用すれば日本語で読めます。

今回の調査は、Booking.comが、2021年4月に30か国の29,000人以上の旅行者に対してアンケートを行ったものです。下記に調査結果をざっとまとめてみました。

●84%が、異文化理解の促進、文化遺産の保護が重要と考えている
●83%が、持続可能な旅行が不可欠と考えている
●81%が、来年は持続可能な対応を取る宿泊先に滞在したいと考えている
●79%が、よる環境に優しい交通手段を利用したいと考えている
●76%が、業界の経済的影響が全てのレベルに等しく広がることを望む
●72%が、将来の世代のために今行動しなければならないと考えている
●69%が、人気のある観光地やアトラクションを避けることを考えている
●61%は、新型コロナ蔓延により、持続可能な旅行を望んでいる
●53%が、リサイクル設備を提供しない観光地に対して、イライラした

「異文化理解」「持続可能」「環境に優しい」「平等」「将来の世代」等「=サステナブル」な旅行要素に共感する消費者が多いと、今回の調査から見て取れますね。もちろん、社会的に「サステナブル=よい」と捉えられていることから、本心や日頃の行動とは異なる回答をしている人もいるでしょうが、そうは言っても「サステナブル=よい」と認識している時点で、人間心理として、このアンケート以降、サステナブルツーリズムを意識をすることにはなるでしょう。

新型コロナの影響で、オーバーツーリズムへの警戒、人と人との交流を渇望、異文化理解など旅行に対する考え方、旅行の目的が変わった方もいると思います。また、パンデミックにより海外渡航が不自由になったことで、向かうところ敵なしだった訪日旅行ブームも一旦リセット、海外旅行ブームもリセット、それまで日本を訪れていた観光客層もリセットされた可能性があります。となると、新たに市場に参入するチャンスである一方で、これまで常識だった観光地経営もリセットされ、新常識に対応する必要が出て来るのかなと思っています。

もしその新常識がサステナブルツーリズムへの対応であり、旅行業界の国際基準、必要条件になった場合、日本の観光地は、Booking.comの回答者を満足させられる観光地経営ができているでしょうか。ただ、訪日旅行客の中でもサステナビリティを気にする層と気にしない層はいると思います。日本人もそうでしょうしね。新常識(と考えられる新常識)に対応していなくても、観光客は戻ってくるでしょう。観光地経営において、短期的に観光客の確保は重要ですが、並行して長期的な視点で、自分たちの子孫のことまで考えた場合、サステナブルを気にする旅行者層と気にしない層、皆さんが住む観光地、経営する観光地に来てほしい観光客は果たしてどちらでしょうか。

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