コーポレート・ガバナンス関連ニュース(2020/5/19)
モノ言う社外取締役いまこそ 孫正義氏の強すぎる発言力
【注目ポイント(記事一部引用)】ソフトバンクグループ(SBG)は18日、早稲田大大学院教授の川本裕子氏ら2人を新たに社外取締役に選任すると発表した。一方、10年以上にわたり取締役を務めた中国・アリババ集団創業者の馬雲(ジャック・マー)氏は退任する。孫正義会長兼社長のトップダウン経営で知られる同社だが、本業の投資事業は試練の時期を迎えている。孫氏の方針もときには覆す「モノ言う社外取」の必要性は高まっている。
【コメント】今回のジャック・マーと昨年のユニクロ柳井社長の両名の社外取締役退任はSBGのガバナンス上相対的に孫さんの権力強化にしかつながらない。新たに選任される川本氏がガバナンスの専門家であったとしても問題なのは細かいガバナンス論やテクニカルな話ではなく、時価総額日本第2位の企業を裸一貫で立ち上げてきた経営者に物申せるのかということだ(現実には難しいだろう)。
本来はジャックマーや柳井さんの代わりには、同じようにグローバル企業の創業CEOを長年務めてきたような人物の方が良いだろう。例えば、投資事業であればウォーレンバフェット、IT・テクノロジー企業であればラリーペイジとかだろうか(絶対受けてもらえないと思うが)。
ESG投資、日本株対象の指数開発 欧米運用会社、年金などの需要開拓
【注目ポイント(記事一部引用)】欧米の運用会社がESG(環境・社会・企業統治)指数を使ったビジネスを拡充する。英大手などは日本株を対象にしたESG指数を日本の運用会社に提供する事業に乗り出した。日本ではESG投資が今後本格化する見通し。新型コロナウイルス問題を契機に企業の持続可能性への関心が高まっており、機関投資家の需要を開拓する。
【コメント】ESG投資熱の高まりとともに、周辺ビジネスも活発になる。ところで指数的なものでESGのG(ガバナンス)を計るとするとどうしても外形的な取り組みによる評価にしかならない(例えば、社外取締役の人数が一定数を超えている、など)。しかし、外形的にガバナンスを整えていたとしても不祥事を起こす企業、業績不振にあえぐ企業は多数存在する。そのため、単に外形的基準ではなく、企業の実態としてのガバナンスレベルを測定する方法が求められるが、これはどのように測定するつもりなのだろうか?
ドロップボックスやオラクルに投資-米エリオットの1-3月期
【注目ポイント(記事一部引用)】米エリオット・マネジメントは1-3月(第1四半期)にドロップボックスやオラクルに投資し、シトリックス・システムズやQEPリソーシズから投資を引き揚げた。
ニューヨークに本社を置くヘッジファンド運用会社のエリオット・マネジメントはアクティビスト(物言う投資家)として知られる。同社は15日、「エリオット・インベストメント・マネジメント」として当局に保有株を報告した。
【コメント】日本でもSBGをはじめ様々な企業へアクティビスト活動を展開しているエリオットだが、コロナ禍の状況であっても引き続き投資活動は活発に行っているようだ。4-6月期の影響が気になるところだが、大幅な投資抑制には至らないだろうと予測している。
外食業界で役員報酬減額相次ぐ 新型コロナで売り上げ減少
【注目ポイント(記事一部引用)】新型コロナウイルスの感染拡大で売り上げが落ち込んでいる外食業界で、役員報酬を減額する動きが相次いでいます。
牛丼チェーンのすき家などを運営するゼンショーホールディングスは、グループも含めた役員およそ70人の報酬を今月から9月までの5か月間、5%から50%減額することを決めました。
【コメント】外食のように需要そのものが「消滅」してしまった企業では、大幅な人員削減・店舗閉鎖・給与カットなどが避けられず、したがって役員報酬についても当然手を付けざるをえないだろう。現在はまだ様子見の企業もあるだろうが、今後緊急事態宣言が大都市部で解除されたとしても以前のような状態に戻ることは容易ではなく、引き続き苦境が予想される。