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米国のテスラが4月23日、GPIFの前CIO(最高投資責任者)を務めていた水野弘道氏を社外取締役に招聘することを発表しました。

テスラの取締役に日本の元年金運用責任者…1年半続いた取締役会の混乱に終止符

テスラ(Tesla)は、日本の投資家、水野弘道氏が取締役会に加わることを4月23日の規制当局への提出書類で公表した。同社の取締役会は18カ月に及ぶ騒動に終止符を打てるかもしれない。水野氏は最近まで、日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の最高投資責任者を務めていた。同法人の運用規模は160兆円以上で、約8億7400万ドル(約950億円)相当のテスラ株も保有している。それまで水野氏はニューヨーク、サンフランシスコなどで金融関係の職に就いていた。


別の記事では、長年空売り投資家への敵対心を露わにしてきたテスラのイーロン・マスクCEOが、GPIF時代に持続可能性を重視するESG投資を推進し、空売りなどの慣行に異議を唱えていた水野氏を高く評価していたという指摘もありました。

就任の背景はともかく、テスラのように世界を代表するテクノロジーカンパニーの社外取締役に日本人が就任するというのは、他人ながら誇らしい気持ちです。

ご存知の方の多いですが、コーポレートガバナンスの分野において社外取締役の果たす役割は非常に大きいものがあります。そして、米国のように株主資本主義の権化のような国では、その責任も企業へのコミットメントも段違いです。このことを端的に示しているのが以下のインタビューです(少し古いですが、今読んでも社外取締役の役割やコミットメントの高さについて参考になる点は多いと思います)。

「社外取締役がCEOをボコボコに」 孫氏の企業統治

社外取締役といえども本当に経営者として、経営の意思決定に真剣に関わっているんだよ、めちゃくちゃ真剣に。むしろ社内からの取締役は2人か3人しか入っていない。社外取締役が8人、9人なんだよ。CEOが一生懸命に説明して、CFO(最高財務責任者)も説明して、担当役員がテーマごとに出てきて説明をして、そこで社外取締役から、「ああだここだ」とボコボコに叩かれる。もうね、ジョン・チェンバーズ(シスコCEO)なんかこうやって汗ぬぐいながら、一生懸命に説明、力説する。それで社外取締役の奴らは偉そうに、「うーん、納得いかん」とか言う(笑)。平気で「やり直し」とか言って、3分の1ぐらいの案件は突き返していた。

日本企業では毎月取締役会を開催するケースが多いのに対し、米国では年に5~6回というところが一般的と思います。米国企業の取締役会は実施回数は少ないものの、上記の記事内にもあるように通常1回あたりの実施時間は丸1~2日間(長い場合は3日間なども)と長時間に及びます。また、これ以外に委員会(主には指名・報酬・監査の各委員会)活動が年数回から多い場合には10数回に上ることもあります。

これだけの時間と労力を掛けるのは、それだけ取締役に課せられた義務や使命が重いからです。逆に言えば、株主の代理人としての取締役の役割を全うしようとすると、それ相応のコミットメントが必要になるということでしょう。

今回テスラの社外取締役に就任する水野氏には、是非テスラでの社外取締役の経験を何らかの形で日本社会に還元してもらいたいと思います。かなりの重責と思いますが、今後グローバル企業で活躍する日本人の社外取締役候補や多くの日本企業の取締役会にとってもその知見は役立つはずです。

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