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コーポレート・ガバナンス関連ニュース(2019/11/14)

「戦う会計士」は団結を ESG指標乱立が足かせに

【注目ポイント】「サステナビリティ(持続可能性)」や「社会や環境に与えるインパクト(影響)投資」に対する共通の基準作りを求める意見が高まっている。ここ数年で企業の財務指標に「サステナビリティ(成長の持続可能性)」の概念を組み込ませる試みは急速に広まっているが、指標が乱立していることで、企業が行うESG情報の開示や調査への対応には限界がみられる。こうした状況を変えるため、米ハーバード・ビジネス・スクールが欧州のベンチャーキャピタリストのロナルド・コーエン氏と協力して、乱立する指標をすべて網羅した新しい基準「インパクト・ウェイテエッド・アカウンツ・イニシアチブ(IWAI)」を作るプロジェクトを進めるなど、ESG指標の統一化に向けた動きが出つつある。

【コメント】企業のESG担当は、今様々な評価機関から、独自に定められた指標に一つひとつ回答することに必死になっているという例が散見される。そのため、記事にあるように共通の指標を策定するというのは企業側からは間違いなく歓迎されるだろう。一方で、評価機関側からすると、独自に設定している指標は差別化のために必要という姿勢を崩しづらいため、なかなか連携を進めるのは容易ではない。ビデオテープのVHSとベータマックスの規格争いではないが、統一までにはまだまだ時間は掛かりそうだ。


東芝、再建へ基礎固め 中期計画1年目の通信簿

【注目ポイント】東芝が13日に発表した2019年4~9月期連結決算では、営業利益は3期ぶりの水準を回復するなど、同社の再建がゆっくりではあるが、進みつつあることを示している。18年11月の中期経営計画発表から1年。インフラやエネルギーなど主要部門で調達や営業の改革を進めるなど、一定の成果は出つつある。また、12名の取締役のうち10名を社外取締役にするなど、15年に発覚した不適切会計で指摘されたコーポレートガバナンス改革も進みつつある。一方で、今後の成長戦略としては、インフラやエネルギーなどの既存事業とデジタル技術の融合を掲げるが、難易度が高く競争が激しい分野であり、まだ成長のエンジンとみるには程遠い現状がうかがえる。

【コメント】記事に書いてあるようにコスト削減での利益創出や形式上のコーポレートガバナンス改革は進んでいるが、肝心の今後の成長戦略の道筋は未だに全く見えない状況だ。これは以前から指摘されていたが、東芝メモリ(現キオクシア)を売却したところから、東芝の中では中心となる事業が事実上なくなってしまったので、新たな成長の軸となる事業をどのように育てるかが喫緊の課題である。普通に考えるとゼロからそうした事業を創るのは難しいのでM&Aをするしかないのだが、これまで保守的な経営スタイルが目立つ車谷CEOがどこまで思い切った施策を実施できるかは疑問である。

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