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コーポレート・ガバナンス関連ニュース(2019/11/1)

企業経営の課題、重要度増す「SDGs」 大手企業では第1位に

【記事の注目ポイント】日本能率協会(JMA)が、経営者を対象に毎年実施している経営課題に関する調査(2019年度版)によると、SDGsの認知度は76.9%と前回の61.8%と比べて、認知度が高まっていることが判明した。また、対象企業の4割を超える企業で、SDGs に取り組んでいることも判明した。一方で、これらの企業の中でも半数近くが、一般社員に「まったく認識されていない」と回答しているとのこと。

【コメント】ゴーン氏SDGsやESGは特に投資家の関心が急速に高まっていることもあり、対峙する経営者の認知度は高まっている。ただし、ガバナンスもそうだが、こうした取り組みは、ややもすれば「アリバイ作り」的に形ばかりの取組みになりがちなので、実際にどのように企業価値の向上につなげるかを設計して取り組むことが必要である。


名門企業に社長解任を求めた“令和の村上ファンド”の「素顔」

【記事の注目ポイント】100年以上の歴史を持つ乾汽船が、アクティビストからの攻勢に揺れている。同社の発行済み株式の約28%超を保有するアルファレオHDは、臨時株主総会の開催を求めるとともに、同社に対して、取締役報酬総額の引き下げや乾康之代表取締役の解任等を求めている。

【コメント】タイトルの「令和の村上ファンド」は、読者をミスリードさせるだけでなく、やや煽り気味ではあるが、ほとんど情報のないアルファレオHDの実態を知ることには役立つ記事だ。いわゆる最近の外資系アクティビストの多くが保有比率数%程度ながら他の機関投資家等と連携して対象企業に提案することで中長期的に対象企業の経営改善を実現し、企業価値を上げることを目指すのに対して、アルファレオHDは2000年代のスティールパートナーズなどのように保有比率は高めで、やや対立モードでの提案活動を繰り広げているようにみえる。11月4日の臨時株主総会では、全面対決が予想されるが、他の機関投資家の賛否がどのように分かれるかは予断を許さないだろう。


CEO解任「忖度生じる状況」 LIXILが検証結果

【記事の注目ポイント】LIXILグループは31日、ガバナンスに関わる問題の検証結果を公表。昨秋に瀬戸欣哉氏がCEOを解任された件について、創業家の潮田洋一郎氏に権力が集中し忖度(そんたく)が生じる状況だったと結論づけた。今後の再発防止のため、ガバナンス委員会を常設化し、ガバナンスの強化につなげるとのこと。同委員会は、あずさ監査法人元副理事長の鈴木輝夫・社外取締役を委員長とし、社外取締役4人、社内取締役1人で構成されている。

【コメント】現時点で今年のコーポレートガバナンス上の企業事案で最も注目を集めたのは、このLIXILのCEO選解任問題だろう(次点はYahoo・アスクル事案だろうか)。創業家に対する忖度というのは、一般の事業会社をイメージするとわかりづらいが、確かに存在するものだ。発行済み株式の3%程度しかLIXIL株を保有していないにも関わらず、潮田氏がオーナー然として経営を支配できたのはなぜか、指名委員会等設置会社で社外取締役の権限が効きやすい体制になっており、社外取締役にもイギリスの経営者協会会長であったバーバラ・ジャッジのような優れた見識を持つメンバーが存在しながら、潮田氏の権力をなぜ牽制できなかったのか、非常に根深く学びの多い事案である。


キーエンス、9年ぶり社長交代 新体制は逆風下の船出

【記事の注目ポイント】キーエンスは31日、12月21日付で中田有取締役(45)が社長に昇格すると発表。社長交代は9年ぶり。山本晃則社長(54)は取締役特別顧問に就く。山本氏は中田氏を「全社にまたがる営業部門も統括し、事業運営の知識・経験を十分持ち合わせている」と評したとのこと。

【コメント】いまだに、次期社長の交代を発表する場で、現社長と次期社長が揃って出席するというのは、グローバル企業からすると違和感しか感じないだろう。本来は、次期社長は取締役会が決めるものであり、発表者も取締役会議長や指名委員長、または独立社外取締役が相応しい。キーエンスの取締役会は本当にコーポレートガバナンスコードを理解しているのだろうか?と疑問に感じる(この場にいた記者から、そのような質問は恐らくなかっただろうが、これも海外では考えられないだろう)。

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