コーポレート・ガバナンス関連ニュース(2019/11/19)
【ゴーン逮捕1年】企業統治強化も…遅れた新体制移行
【注目ポイント】カルロス・ゴーン氏が逮捕されてから1年、日産の業績悪化は歯止めがかからず、株価は約3割下落している。コーポレートガバナンスの強化には進展が見られたもののゴーン氏に続き、9月には西川広人氏がCEOを辞任するなど未だ経営の要は揺らいでいる。昨年12月、社外取締役や外部有識者らでつくる「ガバナンス改善特別委員会」の設置から1年後の来月1日には、佐藤新CEO体制への移行を予定している。経営の立て直しだけでなく、ルノーとの関係の再構築、FCAとルノーとの統合交渉など、今後の日産経営陣が抱える課題は依然山積している。
【コメント】日産は従来のゴーン氏支配を脱し、意思決定の透明化と監督機能の強化を目的に、今年6月には指名委員会等設置会社に移行している。9月に起きた西川氏のCEO解任騒動など、依然同社を巡る状況は予断を許さないが、今後恐らくは取締役会のメンバー選定をもう一度行い、ルノー側でも日産側でもなく、独立性の高い役員の選任が必要となるだろう。
アクティビストって何?狙い・戦略・対策を「超入門3分解説」
【注目ポイント】アクティビスト(物言う株主)をタイプ別に分類した上で、その行動原理について解説している。アクティビストは利益水準の低さや株価の低迷、コーポレートガバナンスの不備など、上場企業としての経営の改善余地と株価の割安さに注目してくるため、企業側としては、自社の株価を常日頃から高めることが最大の防衛策となる。
【コメント】この記事で取り上げている内容自体は事実であるが、まず記事のトーンがアクティビストを「招かれざる客」として企業にとって敵対する相手として捉えていることがややミスリードな気がする。もちろん、中には敵対的にならざるをえないアクティビストも存在はするが、オリンパスのようにアクティビストを有力な経営の支援役とみなして、取締役に迎え入れる例は、日本だけでなく世界中で起きていることである。アクティビストにどのように対処するかではなく、アクティビストが活発に関与してくる市場環境の中で、アクティビストを含めた株主への価値を最大限高めることと、そのために企業としてどのような取組みが必要になるか、を真剣に考えるべきである。
日本上陸「アクティビスト10傑」初公開!こわもて系から紳士風まで
【注目ポイント】近年、日本で活動するアクティビスト(物言う株主)は日系・外資系を問わず増えている。その中でも特に日本企業に対するアクティビズムを通して存在感を発揮している10社を紹介する。
【コメント】一昔前までは、村上ファンドやスティールパートナーズが代表的なアクティビストファンドとして有名であったが、近年は、ソニーへの経営改善を要求するサードポイントや新生銀行への取締役選任や役員報酬に反対するダルトン・インベストメンツなど、特に外資系アクティビストが続々と日本株への投資を増やしている。企業にとっては厄介な存在が増えているという状況だろうが、こうしたアクティビストが存在できる環境というのは、それだけ投資環境が正常化してきた証拠とみることもできる。一時のように、アクティビストを乱用的買収者として市場から締め出すような判断を裁判所が下す状況が当然視されていた時代とは違い、コーポレートガバナンスコードの5大原則の第1の原則「株主平等原則」が浸透してきたからこそ、アクティビストは存在感を発揮しだしているのである。
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