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<キャリア論>読了メモ amazonのすごい人事戦略


概要(GOTO所感)

アマゾンに15年超在籍した佐藤氏によるアマゾンの人事戦略について。アマゾンの成長は(要は)秀逸な人事制度の企業発明のたまものである、というのが本書で繰り返し主張されている内容となっている。それはアマゾンが掲げる行動規範=OLP (Our Leadership Principles)である。
筆者は物流のアマゾン出身であり、AWS(アマゾンウェブサービス)のクラウドサービスではない、かつ退職が2016年で何年も経っているのにも関わらず、継続して同様の内容の書籍を複数版を出版し続けており、アマゾンの採用面接を受けるときなど、本書を参考にする際には最新の情報をウェブで収集することが必要である、と思う。

印象的だった内容ピックアップ(一部GOTOの解釈あり)

OLP(Our Leadership Principle)はアマゾンの最大のイノベーション。アマゾン黎明期にはなかったが社員数が増えるにしたがって作りあがってきたものであり、企業規模が大きくなるにつれて体系化された。最初からあったものではない。
・人事採用に際しては、バーレイザーという社内資格を持つ人(いわば採用における番人)が必ず面接に加わる。
人事採用はアマゾンにおいて最大の優先事項であり、社員全員が採用や育成の当事者である、という意識が浸透している
OLPに関して詳しくは、アマゾンの公開ページより、14項目(増えている可能性がある)からなる:https://www.aboutamazon.com/about-us/leadership-principles

・LeaderとLeadershipは異なる。Leadershipは全員が持つことのできるものであり、全社員がLeadershipをもって仕事に取り組むことが良い。採用に当たっては、自分より優秀な人を採用することを心掛ける。
・筆者はアマゾンに入る前は、怒ると職場でゴミ箱を蹴っ飛ばしていたらしい。
(→<GOTO所感ではあるが>アマゾンに入ってからはゴミ箱を蹴ることはなくなって良かったと筆者が回顧している部分に関してだが、書籍内でそのようなことを書くのはいかがなものか?社内でゴミ箱を蹴るという衝動的な行動に走るのは論外であるだけでなく、ゴミ箱を蹴るという行為に至らなくても、アマゾンはそのような心理的に喜怒哀楽の激しい人を受け入れているのか、とGOTOは残念ながら思った次第)
・One on One(マネージャーとの1対1の個別ミーティング)はマネジャーの尋問の場ではなく、担当者が困っていることに対しての解決案を一緒に探る場である。
Customer Obsessionから、事業の採算性のメトリックス(KPI)で赤字になっていても、お客さんの満足度を上げるというメトリックス(KPI)が勝って経営上の判断を行ったことがあった、とのこと。
・アマゾンではSimplificationにも心がけており、トヨタのカイゼン文化にも近いといえる。
・目標設定を低くして大幅に達成している場合、目標設定のロジックが不明瞭であったとされ、良しとされない(サンドバッギングと呼ぶ)。
・Still Day 1、「 まだ(常に)私たちは1日目だ」はキーフレーズ。アマゾンでは建物にこの名前が付いていることでとても有名ではあるが、決して完成されることはないという個々人の姿勢がアマゾンの成長を支えている、といえる。

アマゾンの面接について
・面接に際して、OLPでは「Hire and Develop the Best」にあたる取り組みである。
・アマゾンの面接ではSTAR(Situation/Task/ Action/Result)に基づいてインタビューに答えられることが良しとされている
→STARに関しては、GoogleなどGAFA他社でも同様のフレームワークであるので、詳しく知りたい方は、GOTOの以下の記事を参照ください

アマゾンの面接で必ず聞かれる質問としては、「どんな失敗をしてきましたか?」である。これはOLPのVocally Self Criticalにあたる項目であり、自身を客観的に分析し次の行動に繋げられているかどうか、が見られている。
・アマゾンの採用では、個々の面接官からの投票(Voting)により、Strong hire/Inclined to hire/not inclined to hire/ strong no hireを押してハイアリングマネージャーへフィードバックする。全員がStrong hireかInclined to hireの場合には、採用決定だが、票が割れた場合にもハイヤリングマネージャーが採用したいときは、ハイヤリングマネージャーがnot inclined to hireやstrong no hireを選択した面接官を説得して意見を変えさせなければいけない。そして全員がイエスと言わなければ採用しない。ただし、バーレイザーの人(採用のスーパー権限を持つ人)がノーと言えば、ハイアリングマネージャーが説得することは不可で、自動的に不採用になってしまう。

アマゾンの目標設定&評価
・SMART(Specific/Measurable/Achievable/Relevant/Time Sensitive)に設定されていることが良しとされ、目標設定を行う。
・数字の達成度合いは週次の1 on 1で確認する。1年間52週間に分割して目標達成度合いを測るため、細かい単位で軌道修正が可能となっているため、これがアマゾンの驚異的な成長を支えている、と筆者分析。
・評価は360度評価。自己評価と上司の評価、同僚の評価などを織り込む。
・評価結果後は、OLR(Organization Leadership Review)によって、評価結果を受け更に内容の見直しを上司間で行う。上司たちが評価結果の信憑性をさらにレビューする場として設定されている。
・評価はナインブロックと呼ばれるGE(ゼネラルエレクトリック)の人事評価制度を踏襲している(このあたりは筆者退職時のやり方で、古い可能性がかなりあるので注意)。
・パフォーマンスととして、縦軸の定量評価軸:Outstanding/Exceed/Achieved/Not Achieved
・ポテンシャルとして、横軸の定性評価軸:
Role Model/Solid Strength/Development Needed
・上記の縦軸(定量評価)と横軸(定性評価)の2軸により人材をマッピングし、組織全体としての人材の分布状況を確認、ボリュームゾーンなどを確認する。
・この評価が最も高い領域にいる人たち(トップティア)がLeader of Leaders研修(→内容を見ると、呼ばれたら呼ばれたで大変そうである)に呼ばれる。

まとめ(GOTO所感)

アマゾンが毎年20%の驚異的な成長を長期に渡って継続できたのは、OLPを軸とした人事制度、人事戦略のおかげであり、筆者の言う通りアマゾンの最大の発明である、という点には賛同できる。これはアマゾンのコアとなる行動規範であり、アマゾンであれば皆が(程度の差こそあれ)実践していることではあるはずなので、筆者が2016年に退職してから今も尚、受け継がれているであろう(と本書の読者としては思いたい)。その点では、そのOLPのエッセンスを理解するのに本書は良い内容であったと思う。ただ、現在の物価増と景気後退期において、組織としての自己アップデートを驚異的なスピードで行っているAWSを含むアマゾンの事業領域を鑑みると、筆者の書いていることがどこまで現在のアマゾン、もしくはAWS(アマゾンウェブサービス)で実施されているかについては、最新の情報をチェックする必要があるだろう。

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