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読みたいことを、書けばいい。

本を買うときにレビューが役に立ったことがあまりない。

というのも最近はもっぱらTwitterでこの人好きだなあと思った人や、その人が薦めている本、もしくは本屋で実際にページをめくってしっくりきたものしか買っていないからだ。

買う前からもうしっくりきているのだから他人の意見を参考にしなくてもハズレを引いたと思うことなんてほとんどない。そして好きな人の好きなものは自分も好きな可能性がけっこう高い。

先日買った田中泰延さんの「読みたいことを、書けばいい。」という本もレビューでは賛否両論だったけどいざ読んでみたら大満足の内容だった。

そしてその田中泰延さんの講演会が今日大阪であるというので行ってきた。本当は予定があったのだけど奇跡的に空けることができた。縁のおかげか運のおかげか。とにかくありがとうと言いたい。言いたいなら言おう。ありがとう。

家族や友達にもこれぐらい簡単にありがとうを言えたらいいのに恥ずかしくて全然言えない。だから歌にするという卑怯な技を使っている。照れ隠しなのに普通に言うより感動してもらえるなんてラッキーだと思いつつ結局言葉で言わないといけない場面の方が多いので辛い。

ちなみに泰延と書いて「ひろのぶ」さんと読むのだけど、先入観でずっと「やすのぶ」さんだと思っていて紀伊国屋書店にチケットの予約をする時も「たなか…やすのぶさんの…」と言ってしまった。(予約したの読む前だった)

全国のどこかに絶対同じ間違いをおかした人がいるはずだ。多分これを読んでいる中の一人ぐらい読み間違えた人がいるはずだ。店員さんもツッコミすらしなかったから多分間違われ慣れているか、店員さんもやすのぶだと思っていたに違いない。

…言い訳です。罪悪感から同じ罪人を探して安心しようとしました。僕は弱い生き物ですね。優しくされたいです。とか言ってないで素直にごめんなさい。今はちゃんと覚えました。

でも人の名前って呼ぶときまで実はちゃんと見なくないですか?僕は書店で本を検索するときに初めて「あれ、この人の下の名前わからない…」と気づいてSNSで検索し直したりするなあ。

名前を間違えて「げっ」と思いつつも無事チケットを購入でき、何はともあれ講演会に参加することができた。

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編集者の今野良介さんもご一緒で、漫才のような掛け合いに何度も笑いながらあっという間に2時間が過ぎていた。

そのなかでも特に印象に残ったのはまず冒頭、今野さんの「売れるために、売るために必死で考えて作ったものが7冊連続で重版がかからず苦しくて、開き直って自分が読みたい本を作ったら16万部のヒット。そこからなんと9冊連続で重版がかかるようになった」という話。

まさに「読みたいことを、書けばいい。」を体現していた。

今インディーズミュージシャン界隈も戦略とか生き残るための歪な空気がある。僕もマーケティングの本を読んでみたり打開策を考え出そうとした時期もあった。でもそんなことしなくてもいいんだよと勇気をもらえる話だった。


「心象を書くときは乾いた状態で書く」という話では雷に打たれたような衝撃があった。そして僕はその感覚を知っていた。

ボロボロに失恋したあとすぐに書きなぐった歌詞よりも、少し落ち着いて冷静に書いた歌詞の方が結果的に泣けるし人気のある曲になる。

歌う時も感情に任せて歌うときはエゴが多くてうまく伝わらない。冷静にフラットに歌の中の感情を表現できるときに一番よかったと反応がある。

その部分について改めて言語化してもらえてうわあ〜〜とテンションが上がっていた。

だけど僕はちゃんと乾いた曲が書けたときに自分で感動して泣いてしまったりする。それはウェットになってしまっていないかという矛盾をはらんでいる気がしていた。

その疑問は最後の質問コーナーにあった「本が出来上がった時の感想を教えてください」の答えにあった。田中さんも今野さんも「ああ、面白い本だ!」「面白かったですね!」と言い合ったそうだ。

それは読みたい本を書いたのだから当然の話で、つまり僕も聴きたい曲を書けたのだからできた後に涙が出るのは矛盾なんかじゃなかったのだ。ただライブで歌うときにはその溢れる想いを乾かしておかないといけないということ。

何かを表現する人というのはちゃんとウェットに感動できる加湿器のような心と、それをものすごい早さで乾かせる除湿機のような感覚を同時に作動させていないといけないのかもしれない。

まだまだ書きたいことと読みたいことを書きながら区別するのは難しい。だけど本を読んで、講演会に行って、もっと面白いものが書きたいと、自分で泣いちゃうような歌が書きたいとワクワクしている。

歌を作らない人、文章を書かない人にもぜひこの本を読んでみてほしい。日々の中で実は言ってほしかった言葉、見つけてほしかった感情を自分で見つけてあげられたら、すこし気持ちが軽くなると思うのだ。

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サインもちゃっかり。


読んでくれてありがとうございます:-D

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