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[制作のお話] あくる I wish your happiness

大阪のソロアイドル、あくる(https://twitter.com/akurun_0715)さんに提供させていただいた「I  wish your happiness」のお話です。

「アイドル卒業に向けてのラストオリジナル曲をつくりたい」とお話をいただき、制作をすることになりました。

この曲は、「自分が作曲家としてどうありたいか」を明確にする大きなきっかけになりました。いや、作曲家としてだけではなく「後藤大という人間として」と言ってもいいかもしれません。が、それは最後に話すとしてまずは本題から。


あくるさんは「ひまわり」をテーマに活動されています。ひまわりはよく「太陽そのもの」のような見られ方をするけれど、「太陽に向かって咲く花」なのです。

いつも明るく見られるけど本当は弱い。だからこそ誰かを照らせる理想でありたい。真っ直ぐな目でそう話すあくるさんは、まさにひまわりでした。


レコーディング前日の深夜に、歌詞が出来ていないとヘルプの連絡が来て、朝方まで一緒に考えたのもいい思い出です。(その後、気絶するように寝た)

「ファンへの感謝を込めた曲にしたい」というのは、はじめに決まっていました。

相談をもらった時すでに「花」という言葉が書かれていたので、まず「ひまわり」は絶対に入れたいと思ったのです。そして、いつもあくるさんのステージを見ている(向かい合っている)ファンは、まさしく「太陽」なんじゃないかと閃き、全体の流れを改めて組み立てていきました。


好きだと言ってくれて 青空が見えた
雨雲が出て 辛い時にはいつも 僕が照らし返すよ

この言葉は、ひまわりと太陽どちらが欠けても出てきませんでした。

僕もステージに立つのですが、雨雲が立ち込めて音楽活動をやめたいと折れかけた時、いつも好きだと言ってくれる人がいてギリギリで乗り切れてきました。

そうやってファンに照らされている表現者は少なくないと思います。少なくとも、僕とあくるさんはそうです。だけど、ファンのみなさんからも「ありがとう」と言ってもらえます。それは、こちらからも照らし返せてる証拠なのかなと思うのです。

ひまわりが太陽を照らし返す。素敵だと思いませんか。

もしかすると、ファンから見た僕たちは太陽のように見えているかもしれません。I wish your happinessは、あくるさんからファンへの感謝の歌ですが、逆の立ち位置で聴く方もいたりするのかな、なんて思いました。それもまた素敵です。


コロナウイルスの影響で、卒業ライブは延期になってしまったのですが、「お客さんと一緒に歌いたい」と作ったフレーズがあります。CDは完成しましたが、いつか来るその瞬間が、この曲が本当に完成するときだと思っています。

寂しさも伴う日だけど、想いに関わった身としてその日を楽しみにしています。


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[余談]

2021年現在、女性に曲を書かせていただく機会が多く、「本当は会って打ち合わせをしたいけど、不審に思われないかな」という不安がありました。なのでそれまでは「打ち合わせしたい」と言い出せずに依頼を受けてきました。(もちろんZOOMでもOK)

そこに、あくるさんの方から「打ち合わせしましょう!」と言っていただき、年に数回行くか行かないかのおしゃれなカフェ(スタバ)でお話することになりました。

打ち合わせでは、活動の理由、ファンへの想い、卒業を決めるきっかけになったお母さんの言葉、一つ一つの大切な気持ちを受け取りました。すると帰った後すぐに曲が作りたくなったのです。音作りで悩むところも、なんとか乗り切ろうと思うことが出来ました。

ああ、その人の表現したいものから「自分ごと」になるものが見つかった時に情熱を持てるんだ。
僕が想いを引き出すことで、その人の熱も上がっていくんだ。

この打ち合わせを経てそう気づくことができ、それをきっかけに「想いに本気で関わる仕事をしよう」という今の基盤ができたのです。それからは勇気を出して「想いを引き出すための打ち合わせ」をするようになりました。

そういう点でも、この曲は僕にとって大切な曲になりました。ぜひ、聴いてみてください。

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