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2019年、僕を変えてくれた本

昔の写真を見るとこんなに幼かったっけ?こんなに肌きれいだったんだ。うわあ、太ってたなあこの頃。と驚いてしまうことがある。

自分の姿は毎日のように見ているから、じわじわと変わっていることに実感がなくなってしまう。


2019年もあと2日となった。

外見もそうだけれど心の変化も自分では気がつきにくいものだ。でも今年は自分で分かるぐらい心が変化した実感がある。身体でいうと「1ヶ月で5kg痩せた!」みたいな分かりやすいターニングポイントがいくつかあったのだ。

そしてそれは精神論ではなく「思考の仕方」が変わったことが大きい。僕がどうしようもない、変えられないと思っていたことはほとんど勉強でどうにかなるのだと学んだ。

今年を振り返る記事の1つめにそのことを、気づきを与えてくれた本とともに書いていくことにする。


1.「メモの魔力」 前田裕二 著

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まずSHOWROOMの前田裕二さんのメモの魔力。この本に書かれている「抽象化」を知らなければ僕の変化は訪れなかった。全てのきっかけになった本である。

ものの見方には大きく分けて「具体」と「抽象」がある。

具体:①トマト ②人参 ③赤玉ねぎ がある
抽象:赤い野菜がある

そこから

→赤い野菜の共通点はなんだろう?
→すべて「カロテノイド」という色素を持っている
→赤い野菜はカロテノイドを持っている
→パプリカにもカロテノイドがあるから赤い

という風に1つ1つを確かめなくても答えや仮説を見つけることができるようになる。

説明の時の例え話や歌詞の比喩表現もこの具体と抽象を行き来することでわかりやすくなったり面白くなったりする。


歌詞の上では無意識に使っていたのだけれど日常生活の中で僕はずっと物事を具体でしか見てこず、いちいちそれに振り回されていた。

嫌なことがあるとそのことの一点について延々と悩み続けやっと答えを出すものの、他の似たような出来事があるとまたそれに嫌な思いをして悩む。というようなことを繰り返していた。

だけどこの本で抽象化という考え方を知ってから「あ、これとあの時のあれは同じ出来事なんだ!」と考えられるようになって解決の糸口を見つけられるようになったのだ。

さらに他の本を読む時にも「この考え方あの本にも書いてあったぞ?」と分かるようになった。それを何度も同じ情報としてインプットすることで理解できる確率が大幅にアップした。複数の本に書いてあるということはそれだけ普遍的であったり大切なことだということだ。


メモの魔力のおかげでいちいち目の前のことに振り回されることが減り、その後、読んでいく本を今までより理解できるようになった。

この本がなければ僕はここから紹介する本も無駄にしていたかもしれないし、そもそもその本が欲しいというマインドまでたどり着けていなかったかもしれない。

前田さんには本当に感謝をしている。音楽活動を軌道に乗せていつか一緒に仕事をさせていただいて、直接お礼を言うのが目標の一つになっているぐらいに。


2.FACTFULNESS ハンス・ロスリング 著

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人間の脳には10個の思い込みがある。その思い込みをデータをもとに乗り越え世界を正しく見ようという本だ。

たとえば「分断本能」について。

人は物事を大きく2つに分けようとする。「白と黒」のように。しかしそれは思い込みで白と黒の間には「白に近いグレー」や」ほとんど黒の灰色」だって存在する。

何かを見た時に真っ二つに分けてしまわずにその間のグラデーションをちゃんと見ることが大切だ。

というような脳のクセが10個に分けられて書いてある。

この本自体には世界の貧困や環境問題を例に取り上げられているのだけど、さっきの具体と抽象を使って「白と黒」の話に置き換えて短く説明した。


本能の話自体も学びになるのだけれど、そもそもこの本を読み進めるにあたって根本となる「人はドラマチックな世界の見方をして事実を間違えて解釈している」という考え方そのものに僕は救われた。

ああそうか、僕は目の前の物事を客観的な事実として見ずに実際の出来事よりも大きく考えたり、極端に思い込んだりしていたんだな。

と気づいたことで苦しい出来事があっても「実はそんなに状況は悪くはないんじゃないか?」と事実を見ようとする意識ができるようになった。

10年以上悩まされていた生きづらさが自分の思い込みだったと分かって恥ずかしさもあったけれど、この本が解決してくれた。

1つのことに深く悩んでしまう人は是非読んで欲しい。


3.イシューからはじめよ 安宅和人 著

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新しい仕事をはじめたときに死ぬほど怒られて、精神的にかなり追い詰められていた。でもここで逃げたら一生変わらない気がすると思い、怒られないように勉強しようと思った時に読んだ本。

具体的には「わからないことがあるなら聞け」と言われても「わからないことがわからない」ので聞けずにミスをして怒られていた。


この本は「解決しなければいけない問題の中でどれが最も解決すべきものかを見極めることが重要になる。その見極め方を教えます。」という内容だ。

「最も解決しなければならない問題」のことを「イシュー」と呼んでいて、とりあえず手をつけるのではなくてまず問題を見極めることからはじめるといい仕事ができるのだと著者は言っている。


まず参考になったのが「考える」と「悩む」の違いについて。

考える=解決することを前提に建設的に考えを組み立てていくこと。
悩む=解決しないことを前提に考えているふりをすること。

この概念を知って僕は今まで悩んでばかりだったんだなと思い知ったことが「この苦難を考えて乗り切ってみせる」と決意させてくれた重要なポイントになる。


そしてイシューを見極める中での重要なポイントの一つ「仮説を立てる」は猪突猛進タイプの僕には大きな学びになった。。

「新しいホームページについて考えて」と言われてなんとなく自分が想像するホームページ像で考えてしまうのがそれまでの僕だった。

しかし仮説を立てようとすれば「ここにメニュー画面がある方が見やすくなって離脱率が減るのでは?」「例えばA社とB社のページならどちらがイメージに近いのかな?」と疑問が浮かんでくる。

「なぜ」で止まらずに「なに」「どうやって」「どっち」という具体的な答えが出るように物事を組み立てていく。「わからないことがわからない」というのは仮説を立てることで解決ができたのだ。

さらに仮説を突き詰めていくと「この問題はこれを解決すれば一緒になくなるぞ」と効率や質のいい問題選びをできるようになる。

「考える」と「仮説を立てる」を実践してから嘘のように怒られることがなくなった。そしてこれは曲のアレンジをする時や活動を考える時にも大いに役に立っている。


もう一つ「人間は言葉にしないと概念として物事を理解できない」ということを知れたのがよかった。

🍅の絵があったとしてイメージとしては見ればわかる。しかし「トマト」と言葉にすることでやっと「これはトマトというものだ」と意味を理解することができる。イメージと言葉を組み合わせることで僕らは物事を理解している。

理解というのは別々に知識が一つの共通点で繋がることだ。

別々のものが繋がった時に脳が大きなインパクトを受けて記憶に残る。例え話があると難しい話もわかるようになるのはこれが要因だ。具体と抽象を行き来することで理解度深まる。

言語とイメージの両方で理解しようとするようにしてから会話で相手が何を言っているのかが以前よりわかるようになった。会話になると途端に話が理解できなくなる悩みがすこし解決した。僕は言語だけで物事を考えていたから話を理解できなかったし記憶もできなかったのだ。

これも本を読む上で役に立っている。よくわからない時には絵を描いてみるとスッと入ってきたりする。

これは途中で読むのをやめてしまっているけれど前半部分だけでも随分と問題に対する向き合い方を変えてくれた本だ。

「わからないことがわからない」「人の話を理解するのが苦手」「理解してもらえるように話すのが苦手」という人におすすめの本。


4.ハートドリブン 目に見えないものを大切にする力  塩田元規 著

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アカツキという会社の創業者、塩田元規さんのこれまでとともに、

悲しみやつらさといったネガティブな感情を見て見ぬ振りするのではなく、それもあるものとして「感情と丁寧に向き合う」ことが大切だよと書かれている。

本人が実際に経験し感じてきたことが書かれているので、物語としてスッと胸に入ってくる。


この本で僕が一番共感し、救われたのが「人に弱みを見せちゃダメだ。自分が強くないと周りはついてこない」という観念のモンスターにボロボロにされた時、限界が来てポロっと打ち明けたことで逆にひとりではなくなっていくというシーンだ。

僕もずっと人に弱さをみせることが怖かった。「素晴らしい自分」でないと見捨てられてひとりぼっちになるという恐怖の感情をずっと持っていた。

だからまずそれを同じように感じている人がいて、言葉にしてくれている事実に救われた。

そしてその感情もなかったことにしなくていい。丁寧に見つけて、受け入れて、大切に扱って、周りの人に素直にシェアすればいい。そういう考え方を教わったことで心がふわっと軽くなった。

これまでの本はロジカルに自分と向き合うものだったけれどこのタイミングで心が大きく取り上げられたハートドリブンに出会えてよかった。

考え方が出来上がっていたから心の本が読める。心が前提にあるから理屈を知った上でも機械にならず情熱で動くことができるのだ。

歌も同じ。技術があるから感情の表現ができる。感情が前提だから技術に溺れずに伝わる歌になる。


自分の感情を丁寧に扱うことを意識し始めてから、少しだけ他人の感情もそうしたいと思うようになった。冷静に考えたら意味のわからない怒り方をしている人がいたとして、その感情もどれだけ意味がわからなくても丁寧に扱われるべきなんだと。

これは分かっていてもまだむずかしいけど、それについては自分が感情に反応しない距離感を取ることが大切だなあと思う。

「まず自分のことを愛することが人を愛することにつながる」の意味をやっと心でも理解できるようになってきたのはこの本のおかげだと思う。

何か大したことをしないと自分の存在価値がないように思える人におすすめ。



5.読みたいことを、書けばいい。 田中泰延 著

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僕にとって2019年出会えてよかった人ランキングがあるとするなら1位は間違いなく田中泰延(たなかひろのぶ)さんだと思う。

そのきっかけになったのが「読みたいことを、書けばいい。」だ。

何度か講演会やトークショーに行ってその度に悩みを相談したりして、ひとりでは抜け出せなかった洞窟の掘り方を教えてもらっていたのもそうなのだけれど、なにより「くだらないことで笑う」と決めているその姿勢に僕は大切な気持ちを思い出させてもらっていた。


今年はライブ活動を2、3ヶ月に1本のペースに減らして、その間 作曲家としての活動に力を入れたり、インターネット上で活動できるスタイルを模索して企画を作っては投げだしたりチャレンジの年だった。

だけどその中で「結果を出さなきゃ」と焦りの大波に飲み込まれて「大勢の人に求められることをやらなきゃ」という思考に入っていくことになる。

その時にツイッターか本屋か忘れてしまったのだけど、ふと目に入って来た言葉が「読みたいことを、書けばいい。」だったのだ。


曲を書きながら涙する時、ニヤニヤしながらライブの内容を考えている時、自分が感動しながら何かをやっている時、お客さんが喜んでくれる瞬間はいつもそれができている時だった。

僕が聴きたい曲を書いて、見たいライブを作って、感動できることをやることが一番誰がにも伝わる。そう、読みたいことを、書けばいい。だ。

「読み手でいる」という考え方。発信する側に立っているけど自分は読み手だという感覚がしっくりきた。

「誰かに反応してもらわなきゃ」と焦って自分の感動をどこかへやってしまっていたことに気づけたことで、作ったり歌ったりすることがまた楽しくなった。


面白いことは自分の外側にある。自分の中に面白いことがあるのなら四畳一間の部屋で一人でニヤニヤしていられるはずだ。

それを言葉にされた時に衝撃を受けた。

ちょうど公園でひなたぼっこをしたり散歩に行くようになって、外って面白いなあと思い始めていた頃だったから特に。

だけど「面白いことを頑張って探そうとしている自分」がいた。脱力が大事だといろんな場面で耳にするように、力を入れて周りを見たら逆に面白いことは見つからないらしい。

その時ちょうど「読みたいことを、書けばいい。」の講演会があり、質問コーナーでそのことを相談すると「素朴でいようとすることですかね」と答えをいただいた。

その時はピンと来ていなかったのは「素朴」という言葉の定義づけが僕の中でできていなかったからだ。

素朴という言葉に「田舎っぽい」というイメージぐらいしか持ったことがなかったのだけれど、本来は「飾りけなく、自然のままであること。」という意味だった。

「飾りけなく、自然のままでいようとすること。」

そう考え直せた時に、深呼吸をして全身の力を抜くみたいに、頑張って面白いことを探そうとしている自分に気づいて感情に身を任せてみよう、それを「やろうとする」ところから始めればいいんだな。と思えた。

そこから面白いことが日常に一気に増えたような気がする。


ここで出て来た「言葉の定義づけ」もこの本に書かれている。

僕らは実はよくわからずに使っている言葉がたくさんあるはずだ。例えばさっきの「素朴」もそうだし、そもそもこの「定義」もどういう意味で使っているのか分かっていなかったりする。

定義とは概念内容・語義や処理手続をはっきりと定めること。

つまりそれをどういう意味で、解釈で使っているのかを言語ではっきりさせることだ。

書くときだけではなくて人に伝えるとき、自分が理解しようとする時に定義が曖昧だとうまくいかないということを、講演会の出来事も含めて教わることができた。


この本は心、言葉、行動、全てにおいて僕の居場所、やっていることの「定義づけ」をしてくれた。そして素敵な出会いをくれた。

内容もくだらないネタが散りばめられていたり文字が大きくて読みやすいので、自分がやっていることが楽しくない、物事を曖昧なまま放置してしまう、という人におすすめだ。


6.WE ARE LONELY,BUT NOT ALONE. ~現代の孤独と持続可能な経済圏としてのコミュニティ~ 佐渡島庸平 著

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現代のコミュニティーづくりについて書かれた本。

2018年の5月に買って一度読んでいたのだけど、音楽活動をしていく上でもう1度読んでおきたいと最近読み返した。


コミュニティーが盛り上がるのは「やりたくてやっている人」が集まっているから。まず確保しないといけないのは「安全と安心」だ。という話を読んで、

今までの僕は「ファンにこうあってほしい」という気持ちが強すぎて自由に応援できる「やりたい」や、「こういうことをやってみようかな」というワクワクを窮屈で不安な空気を作って潰してしまっていたのかなと反省した。

今の僕なら何かあっても違う価値観も攻撃せずに、いい距離感を持って向かいたい方向を伝えることができるはずだし、なにより「こうあってほしい」よりも「楽しく過ごせる場所のひとつになりたい」と僕自身が思うようになっていた。

もっと自由でよかったんだ。


「PRは知らない人に向けてではなくファンに向けてするもの」という話も衝撃だった。

自分のことを知らない大勢の人ではなく、本当に好きでいてくれるファンが活動の8割を支えてくれている。それが会社でも僕みたいな音楽活動でも基本らしい。

AKBグループの握手券もそれにあたる。ファンが握手券付きCDを何枚も買うことでAKBの活動は成り立っている。賛否両論ある方法だけどPRの基本にのっとったやり方だったのだ。

今年は知らない人に向けてアピールするぞと意気込んでいたのだけれど、それがすでに基本から離れていく行為だったと知って「うわあ」と思った。

そしてその間にも後藤大の活動を支えてくれたのはずっと応援してくれているファンのみなさんだった。

期間が空いてもライブにきてくれて、有料noteやpolcaという慣れないシステムにもついてきてくれて、本当にファンのみなさんありきでやれてるんだなあということが身にしみた。


そしてファンが盛り上がっているところを見て「世間」は興味を持ってくれる。口コミとかもそうだ。僕が自分で「こんなのやってます!」と言ったところで見向きもされない。ファンの声はすごいのだ。

そこから「PRはファンに喜んでもらえることをやるぞ!」と考え方が変わった。

新規には必要ないかもしれないライブグッズを作ったりしだしたのもそうだし、ツイキャスも変によそ行きにせずに僕を好きでいてくれる人に向けて話すようにした。もちろん初めての人を置き去りにしないつくりにすることは前提で。


これを読み返したことで2020年の活動の方向性を決めることができた。

そして後藤大のコミュニティーを僕と関わってくれるみんなで楽しく強く育てていくぞと「心で」思えてるのは今年僕の考えを変えて、精神を育ててくれた人や今回初回した本のおかげだ。

本当はもう少し紹介したいものはあるのだけど、特に影響を与えてくれた6冊に限定して書かせていただいた。



12月31日の振り返り記事はまわりの人に感謝を伝えるものにしたい。

そのためにまずは2019年、僕自身の変化について書きたいと思い過去最長の文章を書いた。

長かったと思うけれど読んでくれてありがとうございます。

そして紹介した本、本当に素敵な本なので是非手に取ってみてください:-)


読んでくれてありがとうございます:-D

ここから先は「日記」や「話の元になった本やできごと」などちょっとしたおまけを書いています。


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