新商品開発3~飛び魚すりみ~
1.結論
いつもの孫子の兵法「百戦百勝は善の善なる者に非ず」
百回戦って、百回勝つより、戦わずに敵に勝つ事が最善。
マーケティングで言う「差別化戦略」です。
近所のスーパーさんが取り扱っていない、しかもお客様がお求めになる物です。
今回は「飛び魚すりみ」です。
ちなみに「飛び魚」を九州では「あご」と呼びます。
2.「飛び魚すりみ」とは
A.外観
手のひらサイズぐらいです。
厚さは2~3センチほどです。
B.容量
250gです。
C.材料
飛び魚、食塩、酒、砂糖、卵です。
大阪のお客様から「魚料理に砂糖を入れるの?」と何度も言われました。
砂糖を入れないと本物ではないので、そのままにしております。
関西風にするより、五島、九州のお客様に「これ、これ」と言ってほしいためです。
D.料理方法
●油で揚げるとふくらんで「さつま揚げ」になります。九州では「天ぷら」とも呼びます。大阪のお客様に「天ぷら」と言うと混乱されました。
●蒸し器で蒸すと「かまぼこ」になります。長崎、五島では「かんぼこ」とも呼びます。
●一口サイズに丸めて、お団子にして「つみれ」になるので、お吸い物、鍋の具材になります。
●焼いて頂くと「魚ハンバーグ」になります。
実はこれらが弱点で火を使う料理ですので、夏場は売上が落ちます・・・
3.商品開発のきっかけ
2018年、長崎県五島市吉久木町の(有)テル鮮魚さんより、当初「あじすりみ」を仕入れて販売しておりました。
すでに競合のスーパーなどで販売されていましたので、「あじすりみ」では売上をさらに伸ばすのは難しいと感じていました。
特に五島の珍しさだけでお買い上げ頂けるお客様は次回のご来店はないと想定しておりました。
そこで、(有)テル鮮魚さんに相談して、魚だけ変えて、「飛び魚すりみ」を作ってほしいとお願いしました。
当然、「飛び魚すりみ」はインターネット販売もありますが冷凍送料が高いので、1個、2個だけ買うお客様が敬遠する理由の一つです。
五島つばき商店が実店舗でやっているのは、できるだけ多く仕入れができれば、送料が薄まるためでもあります。
(有)テル鮮魚さんより、年間販売量を聞かれましたので、いつもの臆病経営で、想定年間販売量の8割程度でお願いし、販売が始まりました。
1日、1個売れたら良いなぐらいの感覚です・・・
4.結果
2018年:「あじすりみ」557個、「飛び魚すりみ」264個
開店して珍しく、出張販売もあり、売上が伸びた年です。
珍しさは九州物産展など、今買わないと当分ないと言う心理がお客様に働くと考えております。
2019年:「あじすりみ」150個、「飛び魚すりみ」143個
これが平時の売上と考えております。
2020年:「あじすりみ」3個、「飛び魚すりみ」201個
「あじすりみ」はあじの値段が上がりましたので、「価格競争力」の低下を考え、予約販売と切り替えました。
その分、「飛び魚すりみ」の販売量を伸ばそうとしましたが、3月に「第1回緊急事態宣言」が発令されました。
予想できない、苦しい事が多いですが「飛び魚すりみ」は作ってもらって良かったと思います。
コロナ禍でも、「飛び魚すりみ」をお買い求めのお客様が今でも、ご来店頂けております。
2021年はどこまで販売量を落とさないかが勝負になります。
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