【IR分析】ROBOT PAYMENT(ロボペイ) FY2023 2Q
2023年8月14日 ROBOT PAYMENT(ロボペイ)の2Q決算発表がありました。今回は上方修正も出されていますね。
この記事は主にIR担当者やCFO向けに書かれています。
決算説明資料の過去と最新を見比べて、担当者の悩みに思いを馳せたり、仮に自分だったらどう工夫するのかという妄想をすることで、自らのIR能力向上と、この記事を見てくださった方々の何らかのヒントになること目的としています。
またこの記事は、ロボペイに許可なく勝手に私が書いているものです。
とてもマニアックな記事で、投資の判断になはなりませんが、投資家の方で
「もっとこういう情報が欲しいんだ」
という方がいらっしゃれば是非ご意見いただければ幸いです。
また、IR関係者の皆様からのフィードバックも大歓迎しております。
※繰り返しになりますが、あくまで私の研究を目的にしており、ロボペイさんにフィードバックが伝わるかはお約束できません。
エグゼクティブサマリはカットされた
先回の1Qでは掲載されていた「エグゼクティブサマリ」は今回の2Qでは省略されていました。
なぜエグゼクティブサマリをカットしたのかは分かりませんが、比較的シンプルで分かりやすい構成になっていることから不要と感じたのかもしれません。真意については、今度会ったら聞いてみたいと思います。
業績サマリーのページは変更なし(改善の妄想あり)
業績サマリーのページはフォーマットに変更はありませんでした。
ちなみに、もし僕が決算説明資料を作成するとしたら、このページのキーメッセージは
という感じに書くかなーと想像しました。
このページで一番伝えたいのは、会社の当初シナリオと比較してビハインドしているのか、リードしているのか、想定の範囲内なのかという”評価”です。
前年比などのデータは表を見ればわかりますので、メッセージで伝えなくても良いかな、と。
敢えて強調するのであれば、表の中に直接ハイライトを入れるという感じでしょうか。
その上で、このパートのキーメッセージで使う表現は、
○○○○○により、計画に対してビハインド
概ね会社計画の範囲内の推移
○○○○○により、想定を上回る。
という感じの使い分けがわかりやすい気がします。
業績予想に対する進捗率は、企業ごとにシーズナブルな要因があったり、下期にかけて伸びるシナリオだったりとそれぞれ異なります。単純に25%ずつの進捗にはならないことの方が多いため、まずは会社として当初計画に対してどう評価しているかを伝えたいですね。
PLハイライトというページが新たに追加
今回新たに加わったのが「PLハイライト」というページです。
このページは非常に分かりやすく、文句なしの完璧な資料ですね。
きっと、いろいろ悩みながら今回から追加されたのかな、と想像しました。
KPIハイライトは改善され掲載位置も格上げ
そして、KPIハイライトが7ページ目に格上げされて、ビジュアルもシンプルになりました。
先回のスライドをみてください。
全ての要素が並列に記載されていますが、見比べて分かる通り、今回からはARRを構成する要素として、アカウント数、顧客単価、リカーリング収益比率、解約率という構成に変更されました。
そして、売上高成長率については、主要KPIページからは省略されました。これは1ページ前ですでに大きく掲載されているので、ここへの掲載は重複になると考えたのでしょう。
とても良い改善だったと思います。
営業利益の四半期推移は変更点なし(改善点の妄想あり)
営業利益の推移に関しては、変更点はありませんでしたが、個人的にはキーメッセージがやや気になりました。
今回繰り返し使われている「効率性を重視した費用投下の結果」という表現ですが、おそらく正確には
「効率性を重視する方針により、使わなかった予算が発生した結果」
という感じでしょうか。
ここは想像でしかないのですが、今回の利益の出かたを見ると、何となく使わなかった予算があったんじゃないかと推察しました。そしてそれは、広告宣伝費と採用および増員に伴う人件費増ということではないかと想像します。
使わなかったということと、効率性を重視した費用投下を行ったということでは、ニュアンスが大きく異なるので、ミスリードなく伝えたいところだなと感じました。
BSのスライドは変更点なし(改善点の妄想あり)
BSに関するスライドも特に変更点はなかったのですが、個人的にはBSマネジメントに関する方針を記載されると良いのかな、と感じました。
仮に僕がCFOだとしたら、ROEを意識しつつも、事業規模拡大のために一定程度純資産額の拡大による財務基盤強化を方針として掲げる気がします。純資産が10億未満ではやはり心許ないです。
100億くらいまでは純資産を積み上げつつ、資本コストに負けない利益率と事業ポートフォリオの構築を目指すことになるかなと思います。M&Aや事業提携、事業買収などなど様々な拡大戦略のオプションを増やす上で、BS規模の一定程度の拡大は必要だと考えます。
中小型株と呼ばれる企業の決算説明資料を見ていてもあまりBSマネジメントに関する方針を説明しているケースを見たことがないので、今後もっと増えたら良いなと思います。
請求管理ロボのスライドは大きな変更点なし(改善の妄想あり)
請求管理ロボの業績を伝えるスライドは変更点がありませんでした。
ここはビジネスモデルの特性上、しばらくは変わらなそうだなと思うのですが、毎回同じになってしまうので、伸びている要因を簡潔に記載したいですね。
今期の事業方針に「大手顧客獲得」を掲げているため、方針通り顧客規模が大きいクライアントが増えているのか、業界別パッケージなどの効果なのか、など簡単で良いので背景情報を伝えたいなと感じました。
以上です。
皆様の感想やフィードバックをいただけると嬉しいです。
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