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【舞台感想】「ハリー・ポッターと呪いの子」
『ハリー・ポッターと賢者の石』を初めて読んだのは、10歳のときだったか。年に1冊邦訳が出ていたころ、ハリーと一緒に年を重ねている感覚があり、ハリー・ポッターに夢中になったことがある子どもがたいていそうであるように、自分のもとにホグワーツ魔法魔術学校の入学許可証が届かなくて落胆したものだった。
物語をすべて見届け、映画も完結した後に出た舞台の脚本『ハリー・ポッターと呪いの子』は刊行直後に読んだきりでしたが、今年2023年5月にようやく舞台を観に行けた記録を書いていきます。記事の前半は、観劇に付随して立ち寄ったハリポタ関連スポットを紹介しているので、これから観に行く人は参考になればいいな(ただし情報は掲載時点であることにご留意ください)。後半の観劇感想はネタバレを含みます。
なお、シリーズの本と映画(ファンタスティック・ビーストを含む)はほぼ履修済みです。
1.計画
観劇チケット購入
今回の観劇は親族の結婚式で東京に行くついでに計画しました。予定がたたずにノロノロしてたら、1か月半前でわりと埋まってきていました。GWの飛び石の平日でしたが、M列の右側の席をゲット。さまざまな特典のついた「9と4分の3番線シート」(https://horipro-stage.jp/tickets/)は一番先の予約まですべて埋まっていました。
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双眼鏡・オペラグラス購入
事前の調べだと、会場のTBS赤坂ACTシアターはそこまで大きな劇場ではなく、M列でも全体は問題なく見られるとのこと。初回だし、全体を俯瞰するように楽しむのもありかなと思っていたのですが、念のため購入して持って行ったところ、マジで持って行ってよかったです。想像以上に役者さんの演技に没入しました。
倍率は5、6倍でよかったのですが、ネットで探しても高倍率のものが多くて、なかなか選択肢が少なくて迷った結果、最終的にちょっといいやつを買うことに。大満足です。これでバードウォッチングとかにも行きたい。
Harry Potter Cafe予約
TBS赤坂ACTシアターの周辺にはハリポタ関連のカフェやショップが集まっていて、この機会にすべて堪能するつもりで予定を立てました。一番予約の難易度が高いと思われるのがHarry Potter Cafe(https://hpcafe.jp/)。外装・内装はもちろん、ハリー・ポッター・ワールドにインスパイアされたメニューとグッズを扱っていて、観劇の前後に食事をするならここと決めていました。
オープンからしばらく経ちますが、まだ完全予約制で、会員登録にはクレジットカードの登録が必須で、500円のデポジットが発生します。心の底から行きたい人が、予約解禁の12時に待機して初めて、希望の日時を予約できるようなイメージです。特にわたしの場合は観劇前日のディナー狙いだったので、予約が取れるまで気が気じゃありませんでした。会員登録とクレジットカードの登録は事前に済ませておいたほうがいいと思います。
マホウドコロ 赤坂 Wizarding World Street店入店予約
マホウドコロはハリポタグッズのオフィシャルショップで、ポップアップストアや期間限定ショップが商業施設に出たりしているみたいですが、関西にはあんまり来てくれませんし、やはり憧れの実店舗。こちらはLINEで気軽に入店予約できました。
スケジュール
〈前日〉
18:00 Harry Potter Cafeでディナー(100分制)
※周辺のフォトスポットは夜のほうが人が少なくて撮りやすかったです。
→このあと東京ソラマチのマホウドコロが21時まで空いていたので、グッズの下見(?)に行きました。
(夜は赤坂見附にホテルを取りました。)
〈当日〉
~10:45 タリーズ赤坂店でモーニング
11:00 マホウドコロ赤坂オープン
11:45 TBS赤坂ACTシアター開場
12:15 開演(途中休憩20分)
15:55 終演予定
2.Harry Potter Cafeでディナー
早めに到着して外装を堪能し、入店したら内装にもうっとり。
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一人だったのでコースが頼めず、「ドラゴンの吐息 ローストビーフ」、「大釜で煮込んだスープ」をいただきました。ドリンクは「ウィンガーディアム・レヴィオーサ」と「エクスペスト・パトローナム」。おなかいっぱいでスイーツまで到達できず、無念。
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世界観のメニューへの落とし込みがよすぎて、ファンなら全部食べてみたいところ。何人かで連れ添って行って頼むのが理想的かもしれません。見栄えも素晴らしいですが、味も普通に美味しかったです! 大釜で煮込んだスープは見た目からして草感が強いのでセロリとか苦手な人にはちょっときついかも。豆中心で具だくさんなので、これだけでもわりとおなか一杯に。ドリンクはノンアルコールだけでしたが、カクテルのレベルもかなり高いと思います。
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3.タリーズ赤坂店
モーニングしようと思っていた店が開いていなかったので、早めに赤坂に着いてみたら、タリーズ赤坂店の外装がハリポタ仕様になっているのを発見したのでここで朝食~昼食までのつなぎとしました。メニューはとくにハリポタではなかったので、気持ちだけイングリッシュマフィンとドーナツ。関連メニューなどはなく、外装・内装だけということもあり、2階はけっこう空いていました。去年の秋頃のハリポタコラボのグッズが少し置いてありました。
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4.マホウドコロでショッピング
前日の夜は東京ソラマチで、当日の開場時間までに赤坂 Wizarding World Street店でお買いもの。品ぞろえはもちろん赤坂のほうが充実していましたが、当日だと開場時間までに必ず会計を済まさないといけなかったので、下見しておいてよかったです(?)。バタービール・チョコレートバーだけ、東京ソラマチのほうでラスイチをゲットしました。
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店内は学生ファンから古参の年代まで使いやすそうなグッズが目白押し。学生時分にこんなグッズに出会ってしまったら、お小遣いを全部つぎ込んじゃいそう。着飾ってUSJとかスタジオツアーとか行けたら楽しいだろうなあ。いい大人でもハンカチとかポーチでさりげなく気分に乗れるのがありがたいですよね。
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5.周辺フォトスポット
赤坂サカス周辺や赤坂Bizタワーの街並みもついカメラを向けたくなるスポットがあちこちに。時間帯によっては撮影のための長い行列ができることも。夜の雰囲気も素敵です。
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6.TBS赤坂ACTシアターにて、開場~開演までと20分の休憩時間の過ごし方)
入り口は2階で、開場時間前から人だかりができていました。時間に余裕のある人はできるだけ早いうちから並んだほうがいいです。というのも、休憩時間が20分しかないため、開演までの30分の過ごし方がけっこう重要かなと思いました。
わたしの場合は開演までに劇場カフェのフードとドリンクを購入しておき、休憩時間の20分で食事とトイレを済ませました。合間の時間でフォトスポットを押さえましたが、これでグッズ売り場に並ぶのは大変かもしれません。カフェなどは終演後もやっていたので、このあとに予定がなければゆっくり過ごせると思います。
ロッカーやクロークが一切ありませんが、そんなに大きなものでなければリュックも座席の下に収まりました。
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7.観劇感想(ネタバレあり)
本当に、想像以上によかったです。開始直後は感激のあまりちょっぴり泣きましたが、そのあとなぜかストーリー進行で7回くらい泣かされました。脚本刊行時読んでいるのでだいたいの流れは覚えているはずなのですが、それくらい俳優さんの演技がよかったのです。
『呪いの子』未読の方でも『炎のゴブレット』を覚えていればだいたいわかるかもしれませんが、俳優さんがすばらしい滑舌を披露してくれる……というより結構早口なので、やっぱり事前に読んでおいたほうがいいかもしれません。本編終了後の話なので、『死の秘宝』まで読んで(観て)おいたほうがいいのは言うまでもありません。
舞台装置等について
さすが専用劇場だけあって、魔法の演出がすごかったです。6倍の双眼鏡で見つめていましたが、光の加減か、仕掛けもほとんどわからないものもありました。そういった特殊な装置による仕掛け以外にも、トランクを持った動きなどは華やかなダンスの演技だけで魔法っぽく見せているのもすごいし、暗転すらも、見せる暗転というのか、魔法使いのローブを着た黒子たちの演出に終始視線を奪われました。人物による会話がメインになってくると双眼鏡を覗きましたが、俯瞰でも見逃せないシーンがいっぱいあったと思います。
特に上手かったのがホグワーツの動く階段の演出。映画化されたことで読者のなかに構築されてしまったイメージがあると思うのですが、単純でありながらも精密な動きで、ごく自然に再現されていて、とても見ごたえがありました。
映画のテーマ曲が使われていなかったことが意外で、コンテンポラリーな挿入曲でしたが、それでもかなりエモーショナルでした。あとこれも権利関係かもしれませんが、タペストリーのロゴなどもオリジナルなのか、こちらはちょっぴりチープに思われました(映画関係は「ミナリマ」がグラフィックデザインを手がけていますが、そのミナリマとは雰囲気が違うのかな?)。
物語について
〈アルバスとスコーピウス〉
ハリー・ポッターの息子(次男)であるにもかかわらず落ちぶれていくアルバス・セブルス・ポッターと、悪い噂が絶えない一方で、父親のドラコとは性格も真反対のスコーピウス・マルフォイ。クラスで注目されがちだったハリー、ロン、ハーマイオニーとは違って、ちょっぴり地味な(悪く言えば陰キャの)二人が意気投合し、W主人公であることが、この物語の醍醐味だと思います。
ハリーポッター本編では、四つの寮の性格付けによって、ヒーロー気質のグリフィンドール、何かと悪者にされがちなスリザリンというイメージができてしまっていて、どの寮もすぐれた魔女・魔法使いを排出しているにもかかわらず、とくに両者は普段から敵対関係にある。闇の勢力がはびこった時代などの有事の際にはとくに、スリザリンは悪人の温床かのように描かれ、それは物語世界の中でもそのまま、スリザリンを忌み嫌う風潮が顕著です。
ではグリフィンドールが一番優れていて、スリザリンが悪くて、ほかのふたつは劣等感を抱えたまま卒業していくのか? という問題に最初に答えたのが、「ファンタスティック・ビースト」シリーズかと思う。主人公のニュートはハッフルパフ生で、グリフィンドール生がわりと嫌なやつに描かれていたりする。
本編で明かされたとおり、組み分け帽子は生徒の望みと素質を汲む。アルバス・ポッターがスリザリンに組み分けされたことにより、よりいっそう組み分けへの味わいが深まるように思いました。
スコーピウスは、アルバスのかかえる問題よりも、ある意味かなりシリアスなもの。友達という存在に憧れるいじらしさの一方でホグワーツ歴史オタクとしての一面もあり、シーンによってはかなりテンションが振り切れていて、キャラクターとしてかなり魅力的でした。脚本を読んだときには気づかなかったから、やっぱり役者さんの力だと思います。この日はアルバスが藤田悠さん、スコーピウスが門田宗大さんの組み合わせでした。こうなってくるとほかの役者さんとも比べて観てみたくなりますね。
陰キャは陰キャ同士で漫才になるのが楽しい。劣等感がある者同士こその絆というか、ハリーとロンにはないものを感じて新鮮です。
〈36歳のハリー・ポッター〉
舞台を観たことで、ハリーの物語は『呪いの子』で初めて完結したのだと、ようやく理解することができました。脚本の『呪いの子』を読んだときは、なんだこのトンデモ設定は……と思って二回読もうとは思えなかったのですが。
父親に育てられたことのないコンプレックスで見事に毒親に傾きかけている姿はファンからするとショッキングだけれど、ハリーはもともとうじうじと悩むタイプの面倒くさいやつだったことを思い出させるよう。ジニーやドラコのほうがよほど親らしく振舞っているように見えるのは、これはこれでリアルなのかも。
本編を読みながらハリーとともに成長した世代も、今まさに子育て真っ最中の人は多いはず。いろんな世代に読まれる物語としても相応しいように思えました。
ラストに両親の死を見届けた痛ましい姿と、ともに見届けてくれる家族や友人の存在。これだけでも十分、『呪いの子』の意味があると思わされました。
〈救いとしての補完〉
本当に見られてよかったと思えたのが、ジェームズとリリー、そして赤ん坊のハリーの家族三人の最後の日のシーン、それから殺される前のセドリックに、アルバスが思わずといった感じで声をかけたシーン。とくにセドリックのところは涙なしには見られない屈指の名シーンでした。脚本を読んだだけでは本当に気づかなかったなあ。
〈テンションがぶち上ったシーンなど3選〉
・車内販売魔女…セリフが簡略化されているにもかかわらず、こんなに面白いシーンだとは思わなかった……! この人が最強なのかもしれない。
・嘆きのマートル…観客のイメージの中でいちばんごまかしが効かないのが、歳を取らないマートルだったと思います(ダンブルドアもそうだけれど、あれはハリーの記憶としてのダンブルドア先生だから割愛)。ワイヤーを使った演出ではなかったにもかかわらず、動きにゴーストらしさがでていてすごい。美山加恋さんの声も完全に吹き替え版のマートルでした。キャラクターの完成度としては一番すごかったです!
・バチルダ・バグショットの家を見てオタク心が限界を迎えたスコーピウス…この日一番のテンションと笑いをかっさらっていってくれたと思います。スコーピウスが一番笑いを取ってました!
〈最後に〉
終演後のカーテンコールは満場総立ちで永遠に拍手を送り続けました。こういう経験があまりなかったから、これだけでも感極まってしまった。本当に素晴らしい舞台でした。脚本を読んだことがある人はぜひ行ってください!!!
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