上西郷太

俳優 オフィスクロキ所属  北海道札幌市出身

上西郷太

俳優 オフィスクロキ所属  北海道札幌市出身

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帰ってきた、上西本屋大賞

7月、無性に本が読みたくなり、本屋やブックオフに走っては、貪るように活字を目で追っていた。 暑さを忘れたかったのか、静かな時間を過ごしたかったのか、どこかに逃げたかったのか、はたまたルーティン化してしまった飲酒習慣の代わりを作ろうとしたのか、それは自分でも分からない。 読んだことのない作家にも手を出した。 多種多様な人が綴る言葉の海に、全身で浸かった。 (飲酒はやめられたが、かっこいい言い回しをして自分に酔っている。) 2年ほど前、読書にハマっていた時に、誰に頼まれたでもな

    • 「山って最高だぁぁぁぁ!!!」

      高尾山の山頂から美しい富士山が見えた。 登り切った達成感も相まって、上西は心底感動した。 高尾山から富士山が綺麗に見える確率はそんなに高くないらしく、何度登ってもこの富士山を拝めない人がいるようだ。 上西は高尾山ファーストテイクにして、絶景を体験できたのだから運が良いみたい。 これからも登り続けなさいと、山の神様が言ってるのかもしれない。知らんけど。 山頂には広大なスペースがあり、建物や食事処が連なっていた。 このような高いところに建物を作るのは、大変だろうな。 いま自分

      • 「癖になってんだよね、靴汚さずに歩くの」

        上西はカレンダーを見て、唖然とした。 7月16日。 今回で第三弾となる登山ブログだが、登ったのが誕生日翌日の5月16日なので、2か月が経っていた。 ブログの進行状況はというと、まだ山を登り始めて10分くらいまでしか書けていない。 2ヶ月間、ブログの中の俺は山に閉じ込められている。 もはや軽い失踪である。 東京はいよいよ夏本番となり、35度を超える日も珍しくなくなってきている。 このままじゃ、ブログの中の俺が熱中症で倒れてしまう。 薄くモヤがかかった記憶を何とか捻り出

        • 「初登山、おニューの靴を泥から守り抜け!」

          『上西物語』登山編 ・前回までのあらすじ(ロングバージョン) 上西は遠くからうっすらと響くその音に耳を澄ました。 山が上西を呼んでいた。 雛の帰りを待つ親鳥のように、どこか寂しそうでそれでいて温かい呼び声が上西には聞こえた。 上西は羽ばたく準備をしていた、その声のするほうへと。 翼を広げ、いざ地面を蹴り上げようとしたその瞬間、灰色の空が大粒の涙を落とし始めた。 ああ神よ、また上西に試練を与えるのですね。 上西は部屋へと引き戻り、翼についた水滴をぬぐった。目の下を流れ落ちた

        帰ってきた、上西本屋大賞

          『上西物語』登山編プロローグ

          2023年5月某日 今日も今日とて、上西は真剣な顔をしながら、ベットの上でダラダラとYouTubeを見ていた。 何本目かで、某YouTuberが山登りしている動画を見つけた。 上西は、その山登り動画にグイグイ惹きつけられていき、見終わる頃には山頂からの圧巻の景色を心に思い浮かべていた。 「山が俺を呼んでいる。」 上西は初登山へ向かう決心を固めたのだった。 話は少し変わり、5月15日は上西の生誕祭がある。 全国各地で催し物が行われて、老若男女問わず沢山の人が上西の生誕を祝う

          『上西物語』登山編プロローグ

          『コーラ』

          短編戯曲 『コーラ』 作 上西郷太

          『コーラ』