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習慣について

今日は「習慣」について、『弓と禅』という本から学んだことを活かして、その重要性と効果を話したい。

まずこの記事を書く元となったツイートがあるので見て欲しいと思う。


これはステフェン・カリーというNBA選手が約5分間に渡って3ポイントシュートを103本決め続ける動画である。決して編集されているわけではない。(笑)

みていただければ分かるようにこの正確無比なシュートはどのように放たれているのか。人間の所業ではない。

さて、ここからステフェン・カリー選手はどのようにして103本スリーポイントを連続して決めることができたのか、「弓と禅」を参考にしつつ考察していきたいと思う。



弓と禅について

「弓と禅」は簡潔に言うと、弓道の精神的極意について筆者の長年に渡る稽古を基に書かれた本である。この本において筆者の師匠である阿波研造師範(あわけんぞう)は何度も「無意識」について言及し、無意識であること、つまり自分が弓を射ていないような感覚が弓道において精神面に置いての究極系だと言う。この精神の状態を「正しい精神の現在」、もしくは「精神現在」と本書では呼んでいる。

この「正しい精神の現在」に没入するためには、形式的活動に没頭することが必要だと師範は述べる。形式的活動とは現代でいう習慣やルーティンである。そして「正しい精神の現在」を現代風に言えば「ゾーン」や「極限の集中状態」といったところになるだろう。

つまり、習慣は極限の集中状態を生み出し、精神を整える効果があるのだ。

これが分かった上でステフェン・カリーの習慣を見ていこうと思う。

ステフェン・カリー

調べてみるとステフェン・カリーは習慣の鬼であることがわかった。いくつもの習慣を彼は持っており、その全ては、「バスケの試合で最高をパフォーマンスをすること」という核に集約される。

例えば、彼は毎練習後シュートを300本打つ。そしてその300本はスポットアップシュート(定位置でパスを受けてシュートを打つ)、ドリブルオフ(ドリブルからシュートを打つ)、フローター(大きいディフェンダーを躱すために高くボールを上げ、弧を描くように打つシュート)に分類される。

また、彼は毎日必ず8時間は睡眠を取るようにしており、さらに寝る前はブルーライトに触れないようにしているという。

さらにさらに、彼の試合前のウォームアップも習慣化されている。これはかなり有名でバスケファンであれば一回は動画を見たことがあるだろう。

このように、彼は試合で毎回ベストのパフォーマンスができるように様々なことを習慣にしているのである。

習慣と無意識

さて、ここからは習慣と無意識の関係について深く見て行き、彼の103連続のスリーポイントについて考察を深めて行こうと思う。

習慣とは形式的活動だと上で述べたが、これをさらに細かく砕いてみよう。形式的活動とは決まった工程を狂わすことなく行うことであると言える。

例えばそれは、朝起きる→顔を洗う→歯を磨くという行為を、順序を崩すことなく行うようなものである。

これが習慣化するというのは、意識することなく全く同じ順序で全く同じ行為をするということだ。

そう習慣化とは、ある工程を自分の中にプログラミングするということだ。一度プログラムされると、それは無意識に、オートマチックに行われる。この無意識に行われるというのがポイントだ。

心理学者によると人間は無意識が99 %、意識が1 %だという。つまり無意識とはicloudのようなもので一旦移してしまえば、容量を一切必要としなくなるのだ

弓道はそれを芸術として表現するものであると筆者は述べる。弓道には礼法というものが存在し、弓を打つまでの動作が決められている。これは習慣である。そのために礼法の間は何一つ雑念が入ってはいけない。雑念を無くすために阿波研造師範は呼吸に集中しろと指導する。呼気、吸気それぞれを別々のものとし、意識をそれらに向けよと。そしてその精神状態で弓を放てた時、人が弓を射たのではなく、その精神によって弓が射られたと師範は表現する。

バスケではどうか

バスケにおいても同じことが当てはまる。

シュートというのは

キャッチする→ボールとお尻を下げる→リリースポイントに上昇される(シュートが手から離れる地点)→打つ

という動作に細分化できる。

つまり弓道における礼法のように、このシュートも一つの習慣と言えるだろう。だからシュートを打つ時に雑念が入ることは一切許されないのだ。シュートにおける全ての動作はプログラミングされていけなければならず、無意識下で実行することにより全ての筋肉がスムーズに連結し、結果的にシュートは入る、いや、「シュートは入れられる」のである。

前段落で述べたように人が一度に意識できることは限られている。だからシュートを打つ際に意識なんてしようとすれば、筋肉の連結が全くうまくいかず、ただただぎこちないものになってしまう。

結論

以上のことから考えるに、ステフェン・カリーのこのシュート動画はただの「すごい」や「才能」という言葉で片付けてはダメである。このシュートは芸術の域に達していると言っていいだろう。そのシュートには、おびただしいほどの反復練習、またそれによって得られたシュート動作のプログラム化が見て取れる。またさらに、私生活においても様々なことに対して習慣化を行ったことによる副次的効果もそこにはあるのだろうと思う。「弓と禅」では、師範が暗闇の何も見えない状態で的を射るという技を筆者に見せるが、彼も同じことができるだろう。それほどに私の中では阿波研造師範とステフェン・カリーは重なってみえた。

最後に

読んでくださり、ありがとうございました。

「弓と禅」は弓道を通して禅について深く考察されている本です。難解な言葉が多いですが、非常に読み応えがありました。リンク貼っておくのでよかったらみてみてください。






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読んでいただきありがとうございました。