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ホテル花小宿の貸切風呂について

2000年に花小宿をオープンしました。20余年が経過しています。
コンセプトは昨今の古民家再生や空き店舗再生につながっており、古さを感じさせないと思います。

花小宿のコンセプト

1995年に起こった阪神淡路大震災。温泉の恵みを甘受していましたが、地球環境を考えるきっかけになりました。

そこで地球環境に配慮し、高齢者や障害のある人にも使いやすいようにバリアフリーにも取り組みました。

またスタッフが働きやすいように、オープンキッチンの食事処を併設しました。寝具をベットにしたのもその理由です。

当初は歯ブラシなどアメニティーを置かないようにしていましたが、そこは時代が早かったのか挫折して多少のご用意はしています。

今となってはSDGsが叫ばれる世の中。
改めて整理し、原点に返るのもよいかと考えています。

花小宿の詳細は上記のnoteをご覧ください。

貸切風呂考

もともと男性用と女性用の浴室がありました。
ここを貸切風呂にしようと考えました。
なぜならば介助が必要な方と、介助する人が異性の場合は貸切風呂でないとダメだからです。
当時は考えなかったのですが、現代ではジェンダーの人にも良いと思っています。

蔦葉子(つたばす)
明治時代有馬に来た外国人は、五右衛門風呂をぬるめに温めて入ったと言います。当時は現在の金の湯の所に本温泉がありましたが、外国人が日本人と同様に真っ裸になって入浴することは少なかったと思います。

そして彼らの有馬に来る目的は温泉ではなく避暑地としての利用でした。
だから五右衛門風呂を使って、現在のジャグジーバスのような使い方をしたのでしょう。
そこで五右衛門風呂を導入しました。

給食用の大型鍋を使用しました。

楓風呂(かえでろ)
もともと女性用の浴場で人魚のタイル画がありました。
この浴場を可能な限り車椅子の人でも使えるようにしたいと考えました。

それも“さりげなく”です。

いかにもバリアフリーに取り組んでいます!というのはダサいと思っていました。病院だと別に問題ではないのですが、障碍者用の機器を目にすると萎えてしまうというか、想像したくない自分の未来を見てしまうような気になるのだはないかと思います。

実際、花小宿のバリアフリーの部屋のトイレに便座を昇降させる装置を付けていましたが、健常者のお客様からのクレームが多くて取り外した事があります。

だから“さりげなく”が重要だと思っています。

脱衣場から浴場までは無理をしてスロープを設けました。お風呂用の車いすを用意しています。介助の方がおられたら問題はないと思います。
もちろんスタッフがお手伝いすることもあります。

しかし浴槽内に入って頂くには、手すりをご利用頂くしかありません。
病院にあるようにリフトみたいのもので釣り上げて入って頂くことはできません。

ご利用方法

花小宿は9室です。そして貸切風呂が2つ。チェックインの15時からアウトの12時まで21時間。8時間お休みとして13時間。1組30分としても26枠。
だいたい3回ご利用いただけるという事になります。

そこで予約制などを設けず、他のお客様に配慮してご利用下さいという形にしています。
チェックインから夕食までの時間は混雑が予想されますので、御所坊の温泉をご利用頂けるようにしています。

しかし中には「入れなかった!」とお叱りのお客様もおられます。
スタッフが何度も利用状況を確認しにいって対応する事もあるのですが、問題で妙案が浮かばなかったのが現状です。

湯河原 上野屋

縁があって湯河原の上野屋さんに泊めてもらった事があります。

湯河原 上野屋

御所坊と同じ登録有形文化財の木造旅館で、同じように段差のある所に建っている為に階段が多くて迷路のような宿です。

御主人がアイデアマンであちこち面白い設えが施されています。

一番おすすめは最上階にある足湯。

足湯の規模、足湯に併設されている部屋。すべてが良いバランスで絶妙だと思いました。

大きすぎず、小さすぎず ちょうど良い大きさ
足湯の湯上りどころ

そして複数の貸切風呂があります。

脱衣場の電気のスイッチを入れる所に、使用中のランプのスイッチが設けられています。お客様は入浴時にスイッチを入れ、使用後は消す。という事をしなければいけません。

でも消し忘れをする人がいたら、いつまでたっても使用中となり、他のお客様はランプを見て部屋に引き返します。

反対に朝は明るいのでスイッチを入れない人がいれば、使用中のランプがともらない。階段を上って行ったけど使用中だった。という事が起こります。

でもこれを見た時に、使用中のランプをつくろうと思いました。
1階の廊下の突き当りと2階の廊下の真ん中ぐらいに付ければよいと考えました。

使用中のランプ制作

花小宿の浴場の鍵は単純明快。古典的。
つまり扉に棒を差し込む事でロックされる。

もし緊急の場合外から開けるのには、細い針金を差し込んだら棒が外れるようにしています。
このシステムを活かして棒を差仕組みとスイッチが入るようにしたい。

困った時のY さん頼み。
Yさんは元大手家電の修理のエクスパート。何しろ回路も書ける。

御所坊の特別な浴場“偲豊庵”の水琴窟に自動的に水を供給するシステムもYさんが回路を書いて制作したもの。

御所坊のあちこちにYさんに頼んだものがたくさんある。
しかし今は引退の身だが、御登板願った。

Yさん

(1)リードスイッチ
リードスイッチというものがある。細いガラス管に鉄の線が2本入っている。磁石を近づけると鉄の線がくっついて電気が流れるというものだ。
これを扉の受け側に設けて、差し込む棒に磁石を埋め込んだらよい。
単純な話だが細かいはんだ付けが必要だ。

(2)LEDライト
3VのLEDライトだったら結構明るい。これを利用する。やはり細かいはんだ付け作業が必要。

このLEDでじゅうぶん明るい。小さいでしょう?

問題は電源。
携帯電話の充電器を利用する。
携帯電話の充電器は交流100Vから5Vの直流を取り出している。充電器にUSBを差し込んで線を裸にして+と-を取り出した。
これに抵抗を加えて3Vにする。
この辺のものはYさんに作ってもらった。

(3)赤いライト
LEDライトに半球のカバーを付け、赤い色に塗ろうと考えた。
しかし半球がなかなか手に入らない。スタッフがネットで見つけてくれたので購入した透明の半球のモノをプラモデルの塗料を使って赤く着色した。

ライトは2つ。左と右にして左側の浴場が使用中の時は左のライトが点灯する。2つ点灯していれば両方使用中という事になる。

板を購入して取り付けたがどうも気に入らない。
何か良いものはないだろうか?

(4)風呂の番人
何度も取付現場を見に行った。
長方形の板に丸いランプを2つ付けるだけでは能がない。

何が良いかな?
と思いながら有馬玩具博物館に行った。

何かおもちゃを使って作るかと考えた。
・・・でもピンとくるものがない。

何となく森の賢人だったか守り神ではないがフクロウを思いついた。
フクロウだったら廊下の高い所に居てもおかしくない。
板をフクロウの形状にしたら良いのだ。

博物館によねちゃんという子がいる。彼女は独特の絵を描く。
そこで彼女にフクロウを描いてもらった。

よねちゃんが描いてくれた型紙でベニヤ板をくりぬく
こんな感じかな?

こんな感じを風呂の見守りフクロウをつくって貸切浴場の使用状況を表示しようとしています。



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