47歳で、起伏しかない駅伝7.2Kmを1年の構想で走った感想
1 本土最西端の長崎県平戸市で行われる起伏しかない平戸縦断駅伝
*最後まで無料で読めます
2023年1月8日
平戸縦断駅伝という日本本土最西端の長崎県平戸市で行われる起伏しかない「平戸縦断駅伝大会」を無事走り終えました
今回は
そこに至るまでの奮闘
起伏しかない平戸縦断駅伝大会の魅力
駅伝を走った戦記
このあたりを柱に書いてみました
・出走したいという目標を持ち1年間を過ごす
昨年、身体を壊しボロボロ状態にあった私は、プライベートFaceBookでお友達の方々の「起伏しかない平戸縦断駅伝を走ってきました!」の沢山の投稿を見て
「自分も元気になって来年は出走したい!」と一年後チームを組んで出場するという目標をもち、
虎視眈々と淡々と健康度を上げ、9月から走り始めてきました
当初は3分くらいジョグを続けただけで身体が死にそうなまでに動きませんでしたが
12月には高負荷練習(ポイント練習)の位置づけで平地15キロを余裕をもってジョグが出来るようになり
1000mの距離は全力で通せるようになりました
このあたりの経緯は「47歳で1000mTT3分24秒で走った感想」の文章にまとめていますので、詳しくはこちらをご覧ください
(下線部をクリックすると記事にリンクします)
・起伏しかない「平戸縦断駅伝」とは その魅力
日本本土の最西端の長崎県平戸市で毎年1月に行われる駅伝大会で
今回で52回と私の年齢よりいっている大会です
橋でつながった日本本土最西端の宮之浦漁港をスタートし、
起伏しかない7区間42キロを走って、
平戸城城下の文化会館にゴールする駅伝です
レベルは高くありません
参加チームは毎年20チームくらい
区間と距離は以下のような感じです
1区 7.2Km 5回のタフな登りを超える最長のエース区間
2区 2.5Km 一番負担が軽い、女性に走ってもらうには最適
3区 7.1Km ずっと田舎の田畑の中を走る、起伏もあり
4区 6.1km 中間点まで緩やかにのぼり続け、降りて平地
5区 6.4Km 登りしかない、ずっと似た景色の裏のエース区間
6区 6.3Km 登りが少なく2番目に負担が軽いコース
7区 6.4Km ひたすら上って、急激に下って平地を1キロ
なんども強調していますが、全区間起伏まみれで、小さい丘や山を越えてゆくようなコースになっています
再スタートの5区は登りしかないというミニ箱根5区のような感じです
しかし、箱根のように鍛えぬいたエリート選手が走るわけでもないので坂道を地獄の亡者が一列になって死に物狂いであえぎながら登るような凄惨な光景になります
それを、すでに走り終わって呑気な気分でいる1~4区の選手たちが坂の下から「あー自分の走るとこが5区じゃなくてよかった・・・」と、眺めるという光景が風物詩になっているとか、、、
田舎の漁港や海、山々や田畑の中といった自然が超豊かな
最高の景色のなかを走りますが
正直眺めている余裕はあまりないですね
部門は「市内」「一般フリー」「高校」があり男女混合可能で
中高校生と一般人混合の順位(総合、区間ともに)はつかないけど記録は測ってもらえる「オープン」の部門があります
監督会議が前日15時からで、仲間と観光を兼ねて前日泊をして自然の風景と新鮮な海の幸を楽しむのは最高の贅沢です
また移動応援も規則上禁止は明記されておらず、各チーム最大限安全に気を付けておこなっており、仲間が起伏にヘロヘロになったりしている姿をみて楽しんだり元気をもらったりしています
(ただし箱根みたいな車での伴走は規約上禁止です)
参加費も1チーム7000円とかなりやすい
同監督でA/B2チーム申し込める等、冬期に気分転換も兼ねて楽しんで鍛えるには最高の大会だと思っています
選手として走ると起伏しかなくて自分の現状と向き合えます
付き添い応援の方にとっては、観光・気分転換には最高です
長崎近県の佐賀・福岡の高校、チームの皆さん来年は起伏しかない平戸縦断駅伝に出てみませんか?
繰り返しますが「選手として走ると起伏しかなくて自分の弱さと向き合えます」
連絡先は「平戸市教育委員会」で検索してみてください
例年11月ごろ申し込み開始です
2 出場にむけての取り組み
・この一年間の練習へのとりくみ
私の頭の中では、 半年間6月いっぱいまで歩いたり体の健康状態を取り戻すことに力を注いで7月 から少しずつ走り始める 計画でした
ただ、現実的には 7月1日の時点で走り始めるには 厳しい体の状態であったため8月1日に走り始めを延期することにしました
そして 8月1日の時点でも体の状態がまだまだ万全ではなかったため
走りはじめたのは9月 1日からとなります
目標は駅伝大会 の「出走」「完走」 なので、まず出走するには絶対に故障をしてはいけないわけです
また、故障はしなくても体の健康状態を悪くして走れなくなってもいけない
私が「駅伝を走ろう!」と仲間を集めているのに私自身が走れなくなってはいけませんからね
このことは、とても私にとってプラスに働きまして本当に無理をせずに練習を積み上げることができました
正直言いますと積み上げるというほどの練習はしていません
さらに正直に言いますと、やはり少し無理をしてやばくなりかけたこともあります
私自身今までの人生経験上、大会に出ると決めたら必ず無理をする性格でしたので、 この歳になってようやく必要に迫られて
「無理をせず 」
「最低限の練習で」
「スタートラインに立つ」
そういった練習計画を まともに 遂行することができました
・最低限を見極める難しさ
この
「無理をせず 最低限の練習でスタートラインに立つ」
というのは 競技レベルに関係なく 本当に重要なことになります
最低限と書きますと、一瞬「なんだ大したことない」と思われるかもしれませんが 、これは本当に難しく厳しく重要なことです
最低限と 言葉の表面だけを見ると 大したことないんです
しかし「何のために最低限なのか?」というと「目標達成のため」に「最低限」なことでして
目標が困難であるほど、何に対してどの程度が最低限なのか?を見極めるのは本当難しい問いかけになってきますよね
現代人は不安になればなるほど、最大限に努力すればなんとかなるという幻想をもっています、まず必要なのは最適な努力です。
「沢山やればよいだろうという甘えを排除」「考える力」「自分の 気持ちを抑える」 「過去の成功パターンにとらわれない」そういった高度な様々な能力が必要になってきます
よくよく 考えてみてください
3 出場できそうだ
ワタクシの野望のために、メンバーが集まってくれました
一時はメンバーが集まらず、出場は無理かなとあきらめ
当日は駅伝コース内をジョグでもするかな、、、と考えていましたが
有難いことにメンバーは集まりました
メンバーを集めてくれた地元佐世保のランニングチームMRC松下リーダーと
実際に走ってくれた仲間には本当に感謝してます
4 実際に走ったレポート的
・自分の区間をどう走るか?
駅伝にて自分の区間を「どのように走るか?」を事前に考えておくことは
とても大事です
そのため
・チームの目標
・他チームとの力関係
・自分の当日の実力
・コースの特性
などから様々なプランを立案する必要があります
今回、私の場合は
1 繰り上げにならない先頭通過10分以内に中継しタスキをつなぐ
2 絶対に怪我・アクシデントで途中棄権しない
このふたつを目標にかかげて「どう走るか?」を考えました
先頭のゴール予測は24分くらい
そこから10分以内の34分までにタスキをつなげばよいのです
中間点を17分以内
計算するとキロ4分43秒ペース、、起伏があっても
ある程度の余裕をもっていけそうなペースです
再三書いていますように、あまりにも起伏が厳しいコースなので
前半を速くいくと後半大ダメージを食らった状態で、坂を上り下りすることになります
そうなるとじゅうぶんに鍛えていない現状では、脚を故障・怪我をする危険性が高まります
そのため
・スタートからキロ4.40-50あたりというジョグよりやや速いペースで最後尾を淡々と独走する
・とにかく中間点までは身体に余裕を持たせタイムを確認(17分以内通過なら合格)
・後半は登りはピッチを上げて登り、下りでスピードアップして落ち込みを防ぐ
・ラストの1キロがほぼすべて下りなのでそこを3.20~30ペースくらいまであげられれば確実に繰り上げは回避できる!
そのような計画を立てスタートを待つことにしました
・スタートを切る
いよいよスタートを切りました
シューズは10年間に買ったマラソンソーティーです、もう一度履いて平戸縦断駅伝を走れるとは思っていなかっただけに気持ちも高まります!
私が走る1区は5回急坂を登らないといけないのですが、スタートしてすぐ1回目の急坂をのぼります
体感キロ5分を切るペース(おそらく現実はもっと速いペース)で登っている私は、スタート直後から圧倒的に差を広げられ始めます
正直ここまでスタート直後に差をつけられる選手をみたことがありません
計画に忠実な私を微妙な感じで観察するもう一人の自分は「おいおい、ここまで(遅い走りを)やるの?」って感じで観察してます
最初の500mでおそらく先頭とは1分位差がついたように思います
恐るべしジョグペーススタート・・・・
・後方に気を遣う
スタート直後の1個目の坂を上り切りましたが、すでにキツイ
ジョグペースで上ったはずがキツイ
ただ、このきつさはランナーの皆さんにはよくわかると思いますが
「キツイけど走れる」きつさです
一般人が考えるきつくて止まるようなきつさではありません
これ以上きつくならないように、ペースを考えながらトコトコ走り続けます
スタート2分後には前の走者が見えなくなるという恐ろしい状態になりました
後方には最後尾パトカーが追走しています
「こいつ、、なんという遅さだ、駅伝をなめているのか!」
とか警察の人は考えて追走してるのかな?とか頭をよぎります
余談ですが
私の後ろの最後尾パトカーのそのまた後ろには、1区スタート後に1区走者の荷物を載せたりした他チームの関係者の車が10台くらい連なってノロノロ走っています
で、パトカーが後方の関係者車両に「走者を追い越して前に行って良いよ!」の指示を出さないものだからなかなか私を追い越して先に行けないでいます
関係者車両も早く先を急ぎたいだろうと思って、安全な直線に入るたびに私は後ろを振り向いて「関係者は俺とパトカーを抜いて先に行って!!」と叫ぶ面倒くさい感じになりました
パトカーの方も田舎の警察官なのでその辺の誘導は慣れていないのでしょう
そんな感じで、、
少しづつ後ろの交通渋滞を整理しつつ、
「ジョグよりやや速いペースでこんなにきついのかよ」と思いながら
パトカーと最後尾をペースコントロールしながら走り続けました
登りはペースを押さえて上るので、筋肉のダメージはないものの
呼吸のほうがきつい、乱れに乱れます
最低限の練習は出来ていてゴールまでいける計算はたっているものの
きついものはきつい!!
途中で沿道の人に「前との差はかなりある?」と聞いたら
「やばいくらいあるよ」との返事があり、これは区間最下位だなと覚悟をきめました
・中間点~前が見える!
なんだかんだで中間点まできて時計をみると15分6秒!!
倍にすると30分ちょいちょい
予定より2分ちかくも速い!!だからきついのか!!
(計算するとキロ4分10秒ペース 体感的にはジョグより速いくらいなのに、実際はジョグよりかなり速いペースで走っていました)
きついけど身体の状態から、最低の34分は達成できる!タスキはつながる!!確信しました
確信しつつきついなりにも淡々と走っていると、なんと前に二人の走者がみえます
パッと見で確実に抜けるとわかりました
この二人の方を目標に中間点以降を走り、
後方のパトカーにお世話になりました、と手をふり加速
かなり無理をしましたがラスト1キロ前に抜くことが出来ました
やはり目の前に相手がいて、抜けそうだ!となると力が出てくるようです
もちろん練習不足で昔みたいに得体のしれない何かが乗り移ったような力はでませんが、それなりに今の自分にとっては不思議なくらい力が出ました
この追い抜いた方のうち一人は、どうみても私より年上で
心の底から「よくぞ今まで鍛えて走ってこられたんだな」「本当に強いってこの事だな」と思い
震えのようなものが全身に来ました
同時に
「自分もこの方みたいに、走ることを大切にしたい」
「これからの人生の走りを諦めてはいけない」
そう思うことができました
・ラスト1キロ通過~タスキはつながるのか??
で、ラスト1キロの通過、時計をみると26分44秒
タスキはつながる!!確信!!
本当はここからバシッとあげて終わる予定でしたが、中間点からの追走でエネルギーを消耗しつくしていて、ここはもう身体が動きませんでした
それでも力を振り絞りながら中継点を目指します
大きく傾き
最後のカーブをまがり、
200mくらい先に中継所の人だかりが見える
繰り上げはしていないはずだよな
時計をみる、まだ29分台、繰り上げはないはず
人だかりはあるが2区の選手が見つけきれない
見つけきれない
いた!
端っこにいて手をあげてくれました
タスキはつながる
天にタスキを突き上げ最後の加速をして中継
タイムは30分21秒
キロ平均4分12秒という思いもしないタイムで走破できました
年甲斐もなく叫び声をあげたいところでしたが
倒れこみ
乱れる呼吸を感じながら
静かに晴れた空を見上げました
ラスト1キロは3分37秒、それまでが速すぎて思ったより伸びませんでした
(ちなみに途中で追い抜いた年上の方は、明らかにクタクタでしたが3分46秒で走られています 本当にリスペクトしかない)
5 47歳で、起伏しかない駅伝7.2Kmを4ヶ月の準備期間で走った感想
当初、感想を書こうと簡単な気持ちで文章をつくりはじめたら
意外と書きたいことが多くてようやく本当に書きたかった「感想」にたどり着けました
感想は
若いころと比べると、もはや別人のように気力も体力もない
だけど1年かけて準備したり、レースプランを立てたり、人と競り合ったり
いろんな要因が噛み合うことで
最大限に納得のいくものを手にすることが出来る
ということです
・時間をかける大切さ
もちろん、ただ何も考えずに時間をかければ
納得いくものが手に入るか?というとそんなはずはありません
時には思うようにいかない事をどうにかしたり、時には何かをあきらめ、時には小さな達成をはたしつつ
過程を大事にしつつも大きな目標に向かうわけです
過程を大事にしつつ丁寧に最後に向かい続けると、
最後の直前には
つまりレースの前日や当日朝は、何物にも代えがたい感覚につつまれます
それは質の良い緊張感であったり、立ち向かうための充実した気迫だったりします
レースの苦しさや戦いのなかにある「あの感じ」は、レース後に振り返ると どこか今まで頑張ってきた期間にもとづいたご褒美のように感じます
レース後には結果に対しての感情
今回は目標達成という良い結果にもとづく喜びが身体に染みわたっていくと同時に
今までの用いた時間が、この喜びと複合し噛み合わさってまた自分の中で意味を持ち始めていきます
かけた時間が、やった事柄が
自分のなかで意味をもち始めていきます
「中長距離の練習に期分けなど意味がない」
「練習はその時にやりたいようにやればいい」
そう思っている人も多いと思いますが
時間をかけて、自分と対話しつつ、計画してものごとに取り組むのは
なかなかに良いものですよ
・若いころと比べると、もはや別人のように気力も体力もないんだが
たしかに若いころと比べると、もはや別人のように気力も体力もないということを走っていて嫌になるほどに感じさせられます
そして、鍛えても昔の水準に戻れはしないだろうという事も体感的にわかります
そうなった場合
良い方向性にすすむと「記録を向上し続けないといけない呪縛」から解放されます
(悪い方向性だと年齢を言い訳にするようになります)
そのような方は、きっといろんな分野でどこにでもいらっしゃるはずです
探せばきっと貴方のちかくにも
記録向上や今の自分にとってのベストを目指す取り組みが
どれほど素晴しいものであるか?は私が語るまでもないでしょう
ただ、気力や体力に頼ることを第一にする取り組みではなく
年齢をかさねた上でみつけたもの
経験を重ねた自分が持つ
「第一とするもの」
これをもって競技(もしくは自分の大切にしているものごと)に取り組む
ことが心の底から納得のいく結果を得ることへつながると思います
・なんだかんだ言っても
ま、なんだかんだいっても要するに
時間かけてやるのもいいよ、
じっくりコツコツやったものは味わいがあるよ
気力体力が枯れはてても、人には何かがあるよ
すごくきつかったけど
しぬほどきつかったけど
もう来年は出ないと走りながらおもうけど
もう走り終わった直後から、来年にむけての練習計画とか考え始めてるんだ
ホント、楽しかったよ
という訳で、チームのみんなと大会関係者さんと
起伏しかない平戸縦断駅伝にありがとうです
おわりです
またTwitterなどのSNSでお会いしましょう!!
管理人ごせん/5000mの練習方法(@gosen5555)さん / Twitter
最後の最後に
20代30代の若い選手がこの記事を見ていてくれたらこれだけは伝えたい「絶対に自分に過剰な負荷をかけてはいけない
これは練習面だけではなく仕事面、生活面、すべてです
人生において自分に与えた過剰な負荷はやがて帰ってきて自分を苦しめる
可能性は無限にある、しかし人の心と身体には限界がある
自分を大切にしてほしい」
今後は、自分の過去の反省の上に立ち中長距離走、陸上競技の理論の研鑽を深めていきたいと思います
すべての年代の選手・エリート/非エリート 関係なく、個人の能力を才能の頂点まで発揮できるための理論を追求し情報を発信していきたいと思います
お付き合いいただきありがとうございました
*この記事の内容や管理人ごせんの考えに共感できる!今後も頑張れ!と応援したいと思われる方は記事を購入していただくと嬉しく思います
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