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特許研究

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2021年10月の記事一覧

1971年のニコンのランタンガラス

1971年のニコンのランタンガラス

半世紀前の1971年に日本工学工業株式会社(ニコン)が出願した光学ガラスの発明です。ニコンとはかのカメラメーカーのニコンですが、ニコンは自社製品で使用するために光学ガラス部門を持ち、社内でガラスの開発・生産を行っていました。現在ではガラス事業は光ガラス株式会社に分離したうえで同社がニコングループの傘下に入る形になっています。

ランタンを主な高屈折率化成分とした高屈折率低分散ガラスについての発明で

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【特許研究】ショットの光学ガラスLaK22の1976年の特許

ドイツの光学ガラスメーカーのショット(Schott)が1975年に出願した光学ガラスの特許光学ガラスの特許は光学定数(屈折率とアッベ数)や物理・化学・熱的性質とそれを実現するための組成を、複数のガラス品種をカバーできるように広い数値範囲として特許請求するパターンが多いのですが、この出願では、光学定数・組成を狭い数値範囲でほぼピンポイントで請求しています。
屈折率1.650
アッベ数55.5±1.0

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【特許研究】1971年HOYAのランタン・亜鉛高屈折率低分散ガラス

1971年にHOYA株式会社が出願した高屈折率低分散光学ガラスの特許に関する記事です半世紀前の1971年に出願され審査の末に1978年に拒絶査定された発明です。

光学ガラスは、ガラスネットワーク構成酸化物(SiO2やB2O3が代表的)が構成する乱雑な分子ネットワークに高屈折率化や高分散化などの効果を持つ修飾酸化物が割り込んだ構造となっている。ネットワーク構成酸化物は種類が限られ、酸化ケイ素(Si

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【特許研究】シグマ35mmF2

出願者株式会社シグマ・出願2020年4月8日・公開2021年10月14日

「正・負・正」タイプのインナーフォーカスレンズ、一枚の非球面レンズのみからなる第2群がフォーカスを担う

実施例
・33.81mm F2.07,画角33.47度→公称35mm F2.0の範囲内
・像高21.6mm→フルサイズ用
・バックフォーカスが短い→ミラーレス専用
・インナーフォーカス式
・「正・負・正」で中央の負の第

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【特許研究】ガラス瓶メーカーが開発した光学ガラス

特許を検索していると、日本山村硝子という(自分にとっては)見慣れない企業が光学ガラスの特許を出願していました。この企業は名前の通りガラスメーカーなのですが、主力事業はガラス瓶でその市場では日本トップシェアだそうです。実際に、企業名で特許を検索するとガラス製品のほかにプラスチックキャップの発明なども多く出願されており、各種容器に用いられるガラス瓶が主力事業であることが伺われます。

そのような企業が

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