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図書館 "生きる"を感じる場所

私は図書館が大好きです。


これ言うと、だいたいポカンとされます。

図書館なんて、暇を持て余したご老人が行くような場所なんでは?と。

確かに、利用者は高齢の方が多いです。

もしくは、受験勉強中の学生たちか。

私はそのなかに混じりながら、北から南まで全国47館の図書館を訪ね歩いてきました。

 

なぜ、25歳のワカモノ女子が、図書館に魅了されているのか。

それは、私自身、図書館に何度も救われた経験があるからです。


図書館とは?

まず、公共図書館と呼ばれるものには、都道府県立市区町村立の、大きく2分類あります。

都道府県立図書館は、市区町村立図書館ではカバーしきれない専門図書を所有していたり、都道府県内の図書館をつなぐハブ的な役割を持っていたりします。

より私たち市民に近い存在なのは、市区町村立図書館です。

大都市の中央図書館なんかは、専用の建物をしつらえていたり、県立図書館以上に大規模なところもあります。

一方、町村立図書館は小さな図書室レベルだったりしますが、街のネットワークづくりに大きく貢献しているところもあります。


どんな規模の図書館にも共通しているのは、ただ"本の貸借"をしている所ではない、ということです。

”無料貸本屋”なんて言われ方もしますが、全くそんなことはありません。

実は、図書館にいる"司書"さん達が、その街の人たちに必要とされる情報は何なのかを一生懸命考えて、誰のどんな悩み事も解決できるように、席を温めて待ってくれている場所なんです。


図書館学に出会う

ずっと図書館が好きだったかというと、そうではなくて、私が図書館通いを始めたのは大学生になってからです。


子どもの頃はしょっちゅう通っていて、本がお友達みたいなごり真面目ちゃんでしたが、中高生時代になると、勉強に部活に忙しくなり、ぱったりと行かなくなってしまいました。


転機は大学入学後でした。

無事に2年生に進学した春のこと、専攻選択の説明会がありました。

そのとき偶然目に付いたのが、「図書館学」だったのです。


社会学だの、心理学だの、いろいろな専攻の説明があった中で、なぜか図書館学にすっと心が吸い寄せられました。

図書館学?司書資格?図書館経営?

そう聞いても、最初は何を学ぶのかよく分かりませんでしたが、記憶の中の懐かしい図書館の思い出がよみがえり、自分の居場所はここなのでは・・・と、なんとなく直感したのです。

入学当初は無難に社会学かなあと漠然と思っていたわけですが、それからというもの、私の頭の中は図書館一色になりました。


図書館の自由

大学ではそんなこんなで、図書館学を専攻し、司書資格の講義を受けながら、図書館の魅力にどんどんはまっていきます。


まず、図書館のその空間に居るだけで、自分という存在を認められているような気持ちになれるんです。

図書館は、誰にでも平等に開かれています。

それは、図書館法で定められた、図書館の自由としての決まりなのです。


考えてみれば、こんなにオープンで、誰でも平等に利用できる施設って、他になくありませんか?

博物館・美術館はどうしても料金がかかるし。

図書館は、0歳の赤ちゃんから、100歳のおじいおばあまで、誰でも利用できます。(最近はちゃんと授乳室を設けている図書館も多いです。)


図書館を利用することは、私(たち)が自由に生きる権利の一つです。


自由、平等、自分という存在、なにかふわっとしたそれらを確かめるような気持ちで、私の図書館巡りの旅が始まりました。


ふらっと図書館に寄ってみる

旅先で図書館に立ち寄るような人はまずいないと思いますが・・・

私は、サークルの遠征ついでや、旅行のついでに、その街の「図書館に寄ってみる」ことを始めました。

 

図書館には、地域によっていろんな特色があります。

例えば、外国人向けのサービスが充実していたり、スポーツ振興、就職・起業支援、異文化やLGBTQへの理解推進などなど・・・

図書館によって非常に多様なテーマを掲げて、工夫を凝らした本の展示をしている風景に出会いました。


一般的に、図書館の使い方としては、目当ての本を探しに行くのが、普通でしょう。

しかし、ふらっと立ち寄ってみると、館内にはこうしたテーマ展示や本の紹介がたくさんあるので、思いがけない本との出会いが必ずあります。


この偶然の出会いは、書店ではできません。

(新刊本・ベストセラーしか並んでいませんから)


全ての人・本に平等である図書館だからこそ、本当に人に必要とされている本を紹介できるのです。


図書館は、人の思いの塊

先ほど、”存在を認められているような気持ちになれる”と言いましたが、同様に、図書館にいると、人の"パワー”や"思い"を、ずっしりと感じるような気持ちになります。


想像してみてください。

今、目の前にある何万冊もの本を書いた作者達が、その考えや思いを、言葉に載せて伝えようとしています。

図書館に入るや否や、そのパワーが私に向かって一直線にのしかかってくるのです。


自分が必要としている情報は、そのうちの1冊かも知れませんが、この世にいる(いた)人がどれほどの力を注いで、言葉を綴ったか・・・想像するとものすごいパワーを感じませんか?


ちょっとオタクっぽくなってしまいましたが・・・

蔵書数の多い大規模図書館に行けば、きっとあなたも圧倒されますよ。


生きる道を示してくれる図書館

冒頭で、私は図書館に助けられたと言いました。


超個人的な話になりますが、私は、幼い頃から大人の顔色をうかがい、仮面をかぶって生きてきました。

仮面をかぶって本心を隠すうちに、心すらどこかへ飛んでいってしまいました。


いつも誰かのいいなりで、自分の気持ちと向き合うことをしてこなかったしわ寄せが、ついに就活の時にやってきました。

自分は一体ナニモノなのか、何を成し遂げたいのか、どう生きたいのか・・・考えれば考えるほど、今まで空虚に生きてきた自分が情けなくなりました。


そんなときに、助けてくれたのが、図書館だったんです。


いつものようにふらっと立ち寄り、本棚を眺め、偶然手に取った一冊が、この本です。


これは、図書館の闘病記コーナーに置いてありました。

見覚えのある表紙が、目にとまったんです。

記憶が定かではありませんが、昔に学校の図書室で読んだのかもしれません。


私の弟は、幼い頃から難病を患い、皆と同じ命を保証されていませんでした。

手術を乗り越え、今では元気に生活できていますが、一つ線を超えられなかったら、ここに詩をのせている病院の子ども達と同様に、朦朧とした意識の中で電池が切れるまでの短い時間を全うするしかなかったかもしれません。


この世界は平等なんかじゃない。


病気の兄弟を持ち、そんなふうに卑屈に思っていた自分が、

図書館という世界で最も平等な空間に心引かれたのは、

もしかしたら必然だったのかもしれません。


私は・・・私は・・・

やろうと思えば何でも挑戦できる!時間も、体力も気力もある!

何をくよくよしているんだあああ!!!!!!

そっと本を戻して、心臓をバクバクさせながら図書館を出ました。


そんな出会いのおかげで、就活では"挑戦すること"を決意しました。

今は、人が平等に情報や技術を利用できる社会をつくること目指して、システムエンジニアの道を進んでいます。​

(司書にはならなかったんかい!)


自分の存在や、生きることに疑問を感じたり、パワー不足だなと思っている方はぜひ、ふらっと図書館に立ち寄ってみて下さい。

あなたに必要な何かが、きっと見つかるはずです。



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