見出し画像

3月の読書記録ダイジェスト


桜が咲きはじめてる。
本を読んで、ふと顔をあげたら4月になっていた。

そういう感覚だ。

読書記録アプリをみると3月は18冊本を読んでいた。
確かに昼休みに読んだ本に夢中になり、晩ごはんの後はずっと読書していたり、休みの日はどこにも出かけず本の虫になっていた。

読んでいるときにこの本の読書感想文を書こうと思いつつ、まぁこの本を読み終わったあとでいっかとしていたら、もう3月が終わってしまっていたのだ。

なので今回はダイジェスト版で読書感想文を書きたいと思う。


1.芦沢央先生にハマった2月末〜3月


2月末に芦沢先生の『火のないところに煙は』を読んだ。
芦沢先生の作品を読むのはこの本が初めてだったけど、私の好きなタイプのホラー小説だったので、この作品で一気にファンになった。 

『火のないところに煙は』は、突然驚かしてきたり、極端にグロかったりとかいうタイプではなく、じわじわと近づいてきて気づいたらもう逃げ場のないところまで追い込んでくるような怖さで(笑)
最後の方、うわぁぁあって本を投げ捨ててしまうほど怖かった。
連作短編の形で、ひとつひとつは、それぞれ怖かったり不気味だったりするけど、読めなくなるほど怖いわけではないのに、それらが繋がった瞬間・・・。

ぞわっとして、もっと芦沢先生の作品を読みたいと思い、
『汚れた手をそこで拭かない』
『バック・ステージ』
『許されようとは思いません』の3作を読んだ。

いずれもホラーではなくミステリーではあるけど、気がついたときにはもう手遅れになっていた絶望感を味わえるので、いや〜な気持ちになりたいときにオススメ。

2.通勤中のお供にどうぞ、鯨井あめ先生の作品

『きらめきを落としても』を読んだ。
表紙が素敵だったので手に取った一冊。
とっても爽やかな本で、きれいな真っ赤なさくらんぼが乗った、しゅわしゅわのメロンクリームソーダのような話だなぁと思う。
通勤のお供や寝る前に読むとリラックスできそうな本。

収録されている話の中でも「ボーイ・ミーツ・ガール・アゲイン」が一番好きだなぁと思った。
どの作品が一番好きか読んだ人と語り合いたくなった。
この本の季節が夏なので、ぜひこれから読んでみてほしい。

3.面白すぎた『高島太一を殺したい五人』


賢い人たちのディベートを一生聞いているような作品(笑)
会話だけでここまでミステリーを展開できるのかと驚いた。
まずタイトル通り、高島太一という人物を殺したいと思っている5人が登場する。 

もしも自分がそのなかの一人だったらと想像してほしい。
高島太一は職場の先輩だ。
とある事情で高島を殺そうと思うきっかけがあり、同期の子と二人で協力して殺害を計画している。
色々とアリバイも用意し高島がいる場所に到着して、さぁ殺そうとしたとき、もしその高島が既に倒れていたら?
そしてその周りには職場の同期が3人いて、皆、高島のことを殺したいと思って集まったと分かったら?
その人達がいうには、私達は手を下しておらず既に倒れていた。まだ息はしているようだがこのまま放っておくと勝手に死ぬかもしれない。

さぁ、どうする?

ということを話し合っていくことで物語が進んでいく。
中盤になると新たな真実が発覚し、ここから読む手が止まらないほど面白くなるのだ。

議論だけで話が進むのだけど、建設的に話し合うのでストレスなく読むことができる。
どなたかの感想文で、演劇で見てみたいというものがあり、激しく同意した。
頭の中の登場人物たちが話し合う様子が、もし現実になったとしたら、表情でこの人は今隠し事をしているのじゃないか?とかを推理できるので、より議論に入りこめるんじゃないかなぁとワクワクする。

一風変わったミステリーをぜひ読んでみてほしい。

4.タイトルに惹かれた『五色の殺人者』

なんで5色?とまず惹かれたこちらの作品。

とある場所で殺人事件が発生した。
犯人の着ていた服がどんなだったか目撃者に尋ねてみると、
「赤よ」
「いや、青」
「白だったわ」
「黒に決まっている!」
「緑だよ」とみんなバラバラの答えが返ってきた。
なぜこんなに食い違うかというと、この事件の舞台は介護施設だったため。
もちろん皆お年を召された方だし、認知症を患っている方もいる。
どの証言が正しいのか、そして消えた凶器の行方は?

という感じで、まず現場の設定が興味深かった。
介護施設だからこそこういうトリックが生まれるのかと感心した。
主人公は刑事ではなく、そこで働く職員であり、同期の片思いの相手が犯人と見られているため、真犯人を見つけてほしいと同期から頼まれて、警察とは別に真犯人を暴こうと奮闘するミステリーだ。
この主人公が現場の職員だからこそ、一緒に追いかけてる気持ちになれて、話に入りこむことができ、ハラハラできて良かった。
謎解きゲームが好きだったら、この一緒に追いかける感じは楽しいと思うのでオススメだ。

5.前向きな気持ちになれる『たそがれ大食堂』

百貨店の大食堂のマネージャーに異動した主人公。
今までの料理長やマネージャーが引退し、新たに自分が引っ張っていかないといけない立場で、伝統の味を守って今日も古き良き百貨店の大食堂として奮闘していた。
そこに現れたのが新しい料理長。
この新しい料理長、華やかなキャリアで料理の腕は確かだが、歯に衣を着せない物言いで、伝統を破壊し改革を行おうとするのでトラブルが絶えない。
そんななか、大食堂の閉鎖の噂が流れてきて…!?

というようなストーリー。
主人公を応援したくなるし、登場人物それぞれ個性的で愛おしくなる人たちばかりだ。
最初はバラバラだったスタッフたちと一致団結していく姿に勇気をもらえる。

そして何より

料理の描写がすごく美味しそう!

とろりとした卵のオムライス!
ぷりっぷりの海老フライ!
何といってもお子様ランチ!

私は百貨店の大食堂を物語上でしか分からないけど、
行ったことある方には懐かしい気持ちになれていいのではないだろうか。

レトロブームの今、私も行ってみたくなった。

このなかで絶対読んでほしいと思う本を1冊だけ選ぶとしたら

今回は、石持浅海先生の『高島太一を殺したい五人』を推したい。
議論だけで進んでいくのにだれないし、面白い。
そのままにするか、自分たちで手を下すかの結論が出たと思った途端、新たに生まれた謎。
ここからの展開がもうめちゃくちゃ面白い!

会話から登場人物たちの表情を想像してみる。
焦っている顔、隠し事をしている顔、平然としてる顔。
映画よりも、舞台で生で観てみたいような作品だ。
それくらいハマる一冊だった。

このnoteが少しでも本選びの手助けになれば嬉しい。

この記事が参加している募集

#読書感想文

188,766件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?