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今更ながら見てきた映画感想 JOKER

はじめましてこんにちは、ノートはできるだけ映画の感想に使いたいと思い、去年見てきた映画の感想を書こうと思います。

誓って言いますが批評ではありません、なのでこの感想違うだろとか、こういう解釈じゃない?っていうのはご容赦を


というわけでJOKER見てきました

まず最初にJOKERとは
wikiにも項目はありますが、同じものをそのまま持ってくるのは芸がないので個人的にかみ砕いて紹介を


JOKER

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バットマンに出現するスーパーヴィラン(悪役)です。
本来アメコミにおけるヴィランは通常の悪役と信じられないぐらいとてつもない力(星を食べるのが主食、世界を気軽に変えてくる)などの存在です。
一方でジョーカーに関しては、研ぎ澄まされた知能と完全に正気を失っておりまったくもって理解不明な行動をするというこの2点においてスーパーヴィランといわれています。
腕っぷしに関してはまともに殴り合えばバットマンに容赦なく殴られ程度です。

オリジナルのアメコミでの悪行には暇がなく
バットマンの二代目相棒のロビンを殺害する
バットガールを半身不随にする
バットマンの理解者のゴードン本部長の妻を殺害する
公園でボーイスカウトの子供たちに毒入りあめを渡し殺戮を行う
正気に戻ったと見せかけて公演を行いそこにやってきた聴衆者を毒殺する
などなど
一方で
魚の顔を自分の顔に買える薬品を巻き魚に特許をつけようとする
バットマンが別のヴィランに殺されそうになった時に別のヴィランも自分ごと殺害しようとする
自分の名前を使ったアミューズメント施設を作った経営者を洗脳してバカみたいな恰好でその場で暴れさせる
犯罪が笑えなくなった時点でその時点で犯罪を放棄する
などの行動をしています

キリングジョークなどでは正気を失うようなつらい現実を受けたなお正気を保ち続けるバットマンなどに対する強い羨望もみられました。

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「このような狂った世界を正気で生きるなど狂気の沙汰でしょう」byジョーカー

一方でアーカムアサイラムというアメコミにおいてこのジョーカーは現代の目まぐるしい変化に対する対応、つねに人格が切り替わり続ける多重人格を超えた超正気なのではと考察もされています。

ちなみにこのアーカムアサイラム(バットマンシリーズに登場する精神病院)の中では犯罪者たちはみな弱弱しく書かれています。ジョーカーが案内役に精神病院を進んでいくこのアメコミの中でジョーカーは精神病院こそが彼らにとっての生きる世界で、外の世界のことを彼らにとってのだだっぴろい精神病院だと評しています。

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ちょっと高いですけどコミックとは思えないできなので購入お勧めします。



さて今回のジョーカーはーホアキンフェニックスによる、新しいジョーカーのオリジン(アメコミ的表現で起源)です。

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「どんな時でも笑顔で人々を楽しませなさい」という母の言葉を胸に、大都会で大道芸人として生きるアーサー。しかし、コメディアンとして世界に笑顔を届けようとしていたはずのひとりの男は、やがて狂気あふれる悪へと変貌していく。by映画ウォッチ

突然笑ってしまうという障害を持ち、母の介護を行いながら大道芸人として働くアーサー。
一方でゴッサムは貧富の格差による暴動の火種が撒かれていく。
子供たちにすら舐められるアーサーは同僚に護身用の拳銃をもらう、そしてその護身用の拳銃で酔って自分に執拗に暴行をふるう証券マンたちを発作的に射殺したところで少しずつ世界もアーサーも歯車が狂い始める。

あらすじに関しては方々に書かれているために、あえてここでは書きません。
印象に残ったシーンと、考察にもならない考察を記入していきます

・笑うアーサー

アーサーは脳に受けたある傷から突発的に笑ってしまう障害を負ってしまっています。

とはいえ道を歩いていて笑いだすといったシーンはほぼなく、証券マンに女性無理に誘われているシーンや子供を笑わせようとして母親に冷たい目で見られた時など、ある一定の線引きから笑うシーンがありました。

ジョーカーは自分が考え付いたジョークとして

I hope my death makes more cents (sense) than my life.
この人生以上に硬貨(高価)な死を

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というものがあります。これは勿論ゴッサムシティそのものを揶揄している、そしてゴッサムシティと自身を対比するジョークでもあるのですが・・・
悲劇しかなかったアーサーにとって自身の人生が誰かにとって意味のあるものであることを願うという意味です。
さてここで翻って、アーサーの笑いとは何だったのでしょう。
個人的には、自分自身を白眼視する、自分に対する笑いだったのではないでしょうか。悲劇の連続からなる人生、しかしその集大成はすべてがジョークの塊の喜劇だった。アーサーも最後でそのことを気づき直接口に出しています。

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悲劇が繰り返し、繰り返し、ひたすら繰り返し起こり、短い目で見れば悲しい人生、しかしその人生全てを見た時に確かにそれは誰かを笑わせるコメディとなることに、それは最初に行ったこの人生以上に高価な死を望む生き方だったと理解したのかなと。

ちょっとだけ話はずれますが、個人的には人生はバトン渡しのようなものだと思っています。
人の寿命は本来おおよそ何も治療をしなければ30歳程度、そこで楽しいと感じたことを次の世代に託せればそれで満足じゃないかなって思っています。感じたことや考えたことを次の世代にバトンとして託せれば、それでいいと、自分は思います

・踊るジョーカー

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最初に踊りだすのは、証券マンを殺害しその場から逃亡してトイレに身を隠したシーン。
インタビューでは本来は拳銃を隠すシーンのはずだったのですが、踊りだしたのはホアキンフェニックスのアドリブだったそうです。
得も言われぬ恍惚感で少しずつ踊りだすジョーカー、今まで抑圧だけされてきたジョーカーですがこの瞬間社会からのすべての抑圧、社会的ルールだったり倫理的規範を通り越して悪でも正義でもない”自分がしたいことを衝動のまま”にした自分の解放感から少しずつ踊りだすシーンは強く印象に残りました。

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そしてラスト付近のダンスシーン。
自分を抑圧し、自分に障害を負わせた母親を殺害し、自身のルーツを知り、さらに自分に拳銃をおしつけた知り合いを殺害し、任意聴取にきた警官を振り切り一人自分を笑いものにするショーに向かうシーンでのダンス。

とても楽しそうに笑いながら、水たまりを踏みしめ開放的に階段を下りてくるジョーカー。
自身の精神の解放と、一方で現実としては徐々に徐々に降りていくということなのかもしれません。
階段は現実世界、ジョーカーの正気などを表しているのかなと。
降りていくのなら下っていくのでは?という風にもとらえられますが
ジョーカーの精神の解放は、正気でも狂気でもとらえられない抑圧されていた本能の解放なのでそこに善悪はなく、かっこいい言い方をするならば善悪の彼岸の先にあるのでしょう。

・現実かそれとも幻か
本編開始からたびたびジョーカーの視点は、現実と幻の区別はされていませんでした。
ただ明確に現実と区別がされていないが違和感のあるシーンは複数あり
具体的には精神病院に入っているシーン
そしてカウンセリングを受けているシーン

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どちらのシーンも時計の時間がぴったり11時11分を指示しています。監督曰く偶然だよと言っていますが、真相は・・・。

ちなみに少し脱線しますが、この1111というのはキリスト圏ではエンジェルナンバーと呼ばれている、比較的縁起のいい数字なのですが、一方で個人的にはこれは旧約聖書のエレミヤ書11:11だと考えています。(ちなみに聖書好きというわけではなく同年に見たアスでこれがメインテーマだったから知ってるだけです)

具体的なエレミヤ書11:11の内容は


Therefore this is what the LORD says: I will bring on them a disaster they cannot escape.
Although they cry out to me, I will not listen to them.

だからこそ神はこう言った:彼らが逃げることのできない災害を起こそう。たとえ彼らが泣き叫ぼうと私は彼らに耳を貸すことはないだろう。

誰からも拒まれ、助けや声も届かないジョーカー、そのジョーカーの未来を暗喩するような言葉だ。

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またこの物語は完全にジョーカーの1人称で、ジョーカーが見ていないシーンは一か所を除き描写されていません。
ジョーカーの知りえないはずだった一か所、

つまり後の世では誰もが知っているトーマスゴードン夫妻がチンピラに殺されるという事件でした。
この事件がもとで息子のブルースウェインがバットマンになろうと決意し、行動を始めるわけですがそれはまた別の話です。

・最後に
この映画の最後はジョーカーがカウンセリング中にジョークを思いついたが、それはただ今話をしているあんた(カウンセラー)には理解できないといって終わるものですが、

私は個人的にはこの映画そのものが全てジョーカーの考え付いたジョークなのだと判断しました。だからこそ誰もが知っているゴードン夫妻の事件だけが、客観視点になり、現実すら曖昧なジョーカーの主観の視点が本筋になったのだと。
そしてこのジョークを理解できるのは、ただ目の前で話を聞いていたカウンセラーではなく

この映画を見ていた視聴者なのだと。ここまできてこの映画自体がジョーカーのしかける、・・・映画を見ること自体がジョーカーの思惑として終わるということなのだと。

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