小野寺郷

僕は、「つくる人」になりたい。 小説「40才のロックンロール」執筆中。

小野寺郷

僕は、「つくる人」になりたい。 小説「40才のロックンロール」執筆中。

マガジン

  • 【小説】40才のロックンロール

    人生はいつも、ままならない。だからこそ、命を燃やせ。

  • もしも僕が家を建てるなら

    もしも僕が家を建てるなら、どんな家にしたいのだろう。さぁ、妄想の始まりだ。

  • 小野寺設計店

    独立までに、僕はどんなことを考えていくのだろう。どんな道のりを歩むのだろう。とりあえず屋号だけ決めて、書き始めてみる。

最近の記事

【小説】40才のロックンロール #7

" あの娘のことが好きなのは、赤いタンバリンを上手に撃つから。流れ星一個盗んで、目の前に差し出した時の顔が見たい " ブランキー・ジェット・シティの「赤いタンバリン」を聴いた回数選手権があったなら、上位に食い込む自信がある。ジャキジャキしたベンジーのギターがたまらない。 8月になった。蝉の声が日常の音になるのが、この時期であろう。この真っ只中にいるときは「うるさい」とか言い、9月には「なんだかさみしい」と思ったりする我々人間のことを、勝手なやつだなと蝉は思っているだろうか

    • 【小説】40才のロックンロール #6

      " こんな儚い世界の中に、信じた歌がある。こんな儚い世界の中に、信じた人がいる。 " 朝の9時7分だと気付いてからの僕は、昨夜のこと、ましてや昔のことなど微塵も思い出さない、猛獣と化していた。そう、獲物を追いかけるチーターのように。獲物とは、無論、タイムカードの「9時30分」の刻印である。 「おはようございます。すみません、遅れました。」 獲物は、逃がしてしまった。9時38分だった。 「おう、おはよう。めずらしいな。遅刻なんて。」 社長の鎌田さんは、いつも物静かで余

      • 【小説】40才のロックンロール #5

        " 最終電車でこの街に着いた。背中丸めて、帰り道。何も変わっちゃいないことに気がついて、坂の途中で立ち止まる " 清志郎の歌声に浸りながら、昨夜はなんとか家に辿り着いた。本当に、いい事ばかりはありゃしない。 ひどい二日酔いだ。もう二度と酒なんて飲まないと、心に誓った。 松島と別れた後も、ゲームセットとはならず、家でひとりで壮絶な延長戦を繰り広げたのだ。哀れだ。 俺はなんでいつもこうなっちゃうんだろう。俺はなんで、こうなると分かっていながらも、こうなっちゃうんだろう。ほ

        • 【小説】40才のロックンロール #4

          " 人間だから、欲もあります。人間だから、恥もあります。花じゃないんです、人間は。いろいろあるんです " 「日本の夏ロックンロール」は、ベスト・オブ・サマーソング。マーシーの傑作だ。 「生2つと枝豆。あ、あとおまかせ5本ね。」 松島は、僕に確認することもなく、席に着くなり注文した。すぐに運ばれたキンキンのそれをぶつけ合い、お互い信じられない量の一口を消費した。 「え、今日休みだったの?」 「いや、サボった。今日はサボタージュがバレない日なのよ。4時から暇だった。」

        【小説】40才のロックンロール #7

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        • 【小説】40才のロックンロール
          7本
        • もしも僕が家を建てるなら
          4本
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        記事

          【小説】40才のロックンロール #3

          " 平気だよって言ってくれよ。大丈夫だって言ってくれよ " 今日もどうでもいい一日が終わろうとしている。脳内では、ミッシェル・ガン・エレファントの「I was walkin' & sleepin'」が流れている。無敵のギターリフ。 アメリカンドリームは24:00までの営業だ。僕は週に2回、閉店までいる。あとは19時で退勤することが多い。週のうち、あと2回は谷岡さん、あと3回はベテランアルバイトの高木くんが、閉店まで頑張ってくれる。アルバイトの方が忙しいのが、この店の特徴だ

          【小説】40才のロックンロール #3

          【小説】40才のロックンロール #2

          "今日は最高!今日は最高の気分だー!" 朝起きる。軽く掃除する。軽く筋トレする。朝食は長年食べてない。両耳にイヤホンをぶっ刺して、クロマニヨンズの「ギリギリガガンガン」を聴く。オールスターのハイカットに足を突っ込み、紐を固く結ぶ。そして、鈍く家を出る。 これが、僕のルーティーンだ。ルーティーンと言うと、なんだかかっこいい雰囲気が漂うが、ただの日常だ。 僕は近所のアミューズメント施設に勤務する、普通の店員だ。普通の店員って何なのかよく分からないけど。お客様を怒らせることも

          【小説】40才のロックンロール #2

          【小説】40才のロックンロール #1

          " どうして僕いつも一人なんだろう " 夜道のイヤホンから、銀杏BOYZの峯田の声。何か、僕にとっては好ましくないものが込み上げるのだが、それを必死に押さえ込む。蓋を開けようとしてくる何かに、無意識に抗う。 蒸し蒸しする夏の夜。梅雨も明けそうだ。 " 気付いたら、あの娘を思ってた " 湿度の高い空気に、さらに峯田の声が絡みつく。すっかりぬるくなった缶ビールの最後の一口を、喉奥に放り込む。 ふと、今日何も食べてないことに気がつき、目に入ったなじみのラーメン屋に行くこと

          【小説】40才のロックンロール #1

          もしも僕が家を建てるなら 第4話

          第4話は、「キッチンにこだわりたい」です。 僕は料理が好きなので、キッチンにいる時間を大切にしたいなぁと思います。 オープンキッチンか、それとも独立キッチンか。 対面なのか、壁付なのか。 そのあたりは、全体のプランの中でバランスを見ながら検討したいですね。 でも、いずれにしても、動線は大切にしたい。 家事で使う裏動線とつながっていて、さらには家族の居場所ともつながっていたい。 キッチンって、裏と表のちょうど真ん中くらいなんですね。 だから、家の中でもおもしろい性格を持っ

          もしも僕が家を建てるなら 第4話

          もしも僕が家を建てるなら 第3話

          第3話は、「木製サッシを入れたい」です。 木製サッシって何かと言うと、木の窓ですね。 日本では、ちょっと前まではアルミサッシが主流でしたが、今は樹脂サッシ、あるいはアルミ樹脂複合サッシなんていうのもあります。 木製サッシは、これらのサッシに比べて、価格が高いわけです。 本当は全部の窓を木製にしてもいいんだけど、予算がかかってしょうがない。 だから、リビングやダイニングの大きな窓を、ひとつだけでも木製にしたいなぁって思うんです。フルオープンできたらいいなぁ。 木は熱

          もしも僕が家を建てるなら 第3話

          もしも僕が家を建てるなら 第2話

          第2話は、「自然素材がいい」です。 床は無垢の杉、壁は漆喰がいいですね。 家具も建具も、無垢の木でつくりたいです。 いろいろな種類の樹木を使ってみるのもいいですね。 自然素材の良さは、いろいろあります。 表面の温かさや調湿効果など、性能に関わること。 なんか落ち着くなぁっていう、心理的なこと。 暮らしの中でどんどん味わい深くなっていく、その姿に愛着もわくでしょう。 そしてなにより、生きもの同士の付き合いが、そこにはあるように思います。 汚せば汚れるし、その汚れは完全に

          もしも僕が家を建てるなら 第2話

          もしも僕が家を建てるなら 第1話

          さて、第1話の今回。 もしも僕が家を建てるなら、「小さな家」がいいなと思います。   必要十分な広さの部屋がいくつかあって、リビングやダイニングはワンルーム的に。 天井も低い。だけど、ここぞというところに大きな窓をひとつ。   小さな家は、いろんなものとの距離が近いですよね。 素材、外部空間、そして家族。 距離が近ければ、変化にも気づきやすく、暮らしに深みが出るのでは。 ひとりになれる空間を散りばめておき、時には心地よい距離感を保つことも大切ですね。   小さな家は、掃除をす

          もしも僕が家を建てるなら 第1話

          休むということ

          仕事が忙しい。やることが減っていかない。そんなこともあります。 土曜も日曜も休めない。そんなこともあります。 先日、やることがたんまりあったけど、土曜日だから思い切って休んでみた。外も土砂降りだから、映画を観て、音楽を聴いて、本を読んで、料理をした。 それが、すごく良かった。 普段、頭ばっかり使ってるのかなぁと思った。だから、心を使うと、休憩になるのかも。感性を働かせるといいのかも。 同じタイミングで、一田憲子さんの文章を読んだ。何かに気づくためには、「今」から距離

          休むということ

          アナーキーインザ高田馬場

          汗だくの現地調査。とても前向きな話。ポジティブっていいな。なにかがはじまるときのエネルギーは、いいよな。 僕は汗っかきなので、夏に現場へ行くときは、着替えを持っていく。 駅のトイレなどで着替える。何食わぬ顔で。とてもスッキリするのだ。 今日は高田馬場駅だ。灼熱だ。五輪だ。 トイレに向かう途中、ふと、缶ビールを飲んでる人が目に入った。 あ、いいな。いいな、それ!絶対正解! 足早に着替えをすませ、キオスク的なところで缶ビールを購入。高田馬場のわりにはすいてる。アナバだ

          アナーキーインザ高田馬場

          目的としての建築

          建築は手段。 建築を手段として、社会をより良くする。異論はない。 小野寺設計店のミッション(仮)は、「建築の力ですべてをよりよく」だ。 でも、思うのだ。半分くらい、「目的」なのかも、と。 手段が目的になるのは、多くの場面で、良くない。 いつの間にかそうなっていくという特徴も持ち合わせており、より厄介である。 でも、僕が大好きなヒロトは、ロックンロールは、ロックンロールバンドは、「手段」ではなく、「目的」なんだと、言っていた。ような気がする。 つまり、バンドを組んだ時点

          目的としての建築

          引渡し後にお邪魔して、きれいに暮らしているのを見せてもらうのは、本当にうれしい。 #マンションリノベーション #自然素材 #無垢 #建築 #天然住宅 #ソウルサウンドライアー

          引渡し後にお邪魔して、きれいに暮らしているのを見せてもらうのは、本当にうれしい。 #マンションリノベーション #自然素材 #無垢 #建築 #天然住宅 #ソウルサウンドライアー

          情緒のない高性能住宅

          高性能な住宅のことをいつも勉強している。高断熱・高気密・耐震性能、などのことだ。 勉強していると、もちろん頭では納得し、それを目指す設計をしようと思ってくる。でも、なんか消えない違和感もある。特にそれは温熱性能のところで。 高断熱高気密は、なるべく一年中快適な環境で暮らしましょうということなのだと思う。快適と言われるのは、温度とか湿度が関係してくる。冬では20℃40%、夏は25℃60%、みたいなやつ。窓を開けて気持ちがいいのは、5月と10月くらいなもんで、あとは窓

          情緒のない高性能住宅