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ETV特集「緊急対談 パンデミックが変える世界~海外の知性が語る展望~」を観て感じたこと。

みなさん、ちゃんとこの番組見ましたか。
私は、この番組は過去10年で最も重要な1時間番組であり、これから10年の指針になる1時間だと思いました。
必見だと思います。

インタビュイーはこの3名。
イアン・ブレマー(国際政治学者)
ユヴァル・ノア・ハラリ(歴史学者)
ジャック・アタリ(経済学者、思想家)
世界を代表する知性です。この3名に、この時期に同じテーマのインタビューができたこと、私はNHKを誇りに思います。また政治、経済、歴史、の観点からの見通しを私なりに答え合わせできたことは幸いでした。

3人に共通していたテーマ

それは
・世界は分断し利己主義におちいり、新たな枠組みを必要とするだろう
・経済的には格差が急拡大する。歴史上は、そのとき民主主義の危機となる
・独裁/全体主義から世界を護る方法は、新たな連帯と知性の獲得である

ということでした。
私がここ数年考えているテーマにも近く、また方向性にも大きな違いはないなと感じました。しかし「世界は連帯できる」という楽観論と、民主主義を守れ、という部分については私なりには疑問符がありました。

とりとめなくアウトプットしてみます。

分断化、あらたな枠組みについて

事実、この危機にあたって、世界は国際連帯を忘れています。温暖化対策とか、持続的開発目標とか、誰もが忘れています。暇で金余りだったから言えたことだったんです。疫病対策についても既存の国際的な枠組みであるWHOの無能ぶりが明らかになり、新たな枠組みを模索する動きも出てきています。世界はより、孤立主義・自国主義へ揺り戻していくでしょう。
ただ、それは悪いことばかりではないように思います。私は在宅勤務をして外部との接触を遮断したことで、より家族との関係性が深まり、なにが大事なのか?を見つめ直す機会となったからです。
重要なのは 人間性 である、だから犬を飼いましょう。とブレマーは言いました。冗談ではなく、一度そういった人間性の世界に立ち戻る重要性を示唆しているのだと思います。温暖化で世界が批判しあう世界を一度リセットして、新たな結束が求められていると思います。バネは、一度縮む時間が必要です。

民主主義の危機について

各国で非常事態宣言が出されるなど、人民の権利が一時的に制限される事態となっているので、懸念は当然出てくるでしょう。その前から、民主主義の限界が指摘され、ポピュリズム政治が世界各国で発生しています。歴史的に見ると民主政からの貴族政、からの王権政、独裁と、革命による民主政の獲得というサイクルが、何度か繰り返されていて、現代もその帰路にあるということかもしれません。
ただし、民主主義を護るということで本当によいのかどうかは、個人的には疑問符をつけたいです。大衆は愚かであり、民主主義国家が先の大戦を先導したこともある、民主主義でよいのか?という疑問はある。
事実、市場経済型全体主義である中国の強さが際立っています。
ただ、強い指導者と民主主義は両立する(第二次世界大戦下のイギリス)、とアタリは指摘します。この疫病下、イギリスの民主政治における国民の連帯の強さは、さすが革命で権利を獲得した国だと思います。
私は、民主主義を放棄する方向にいく国が出てくるのではないか、とも考えています。集中管理による生産性・国土の強靭化は、第二次世界大戦後の日本の経済成長そのもの。その原動力は、先進国化という目標をアメリカにぶら下げられた、いわば日本はアメリカによる独裁下にあったからだと感じています。ただ、それは悪いことばかりではなかったはずです。

新たな連帯と知性の獲得

民主主義を強く保つには、国民が正しいデータを見抜くことが大事、そのためには、国から国民へだけでなく、国民から国への監視がうまく成立していくことが大事とハラリは述べています。
教育が大事とはいうが、時間はかかります。また教育するということは、いわば高い知性から低い知性への教化です。ここを重要視するのは、すでに高い知性を持っている人の権益を護ることに他ならないなと思いました。
民主主義を標榜しながら、教育による教化スタイルをとること、これは民主主義の構造よりも全体主義に近いものであると感じました。
アタリのいう利他主義は究極の利己主義、というのも、知性のある人にしか理解できないでしょう。
そしてそういった連帯という抽象度の高い目標を掲げること、すなわち人びとを経済という無思想から思想性の世界へ持っていくことは、過去に宗教がやってきたように、ある種の強力な「個」によるリードが必要に思えてなりません。
民主主義が本当に人類にとって最善なのかは、今後見えてくるかもしれません。

これからの生き方について

そこから自分自身がしなくてはいけないことは、これまでと変わらず
・歴史から学ぶ
・学び続ける
・自分自身の意見をもち、それを自分で説明できる
ようにすることと、その向き合い方を次世代に渡していくことだと思います。

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