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そうか、最近は食べることが楽しみではなくなっているんだ

料理が苦手な理由をつらつらと書き出してみてもうひとつ思ったのは、そもそも「おいしいご飯を食べたい」という欲求がカラカラに乾いているということ。

食事は休憩ですらなく、ただの義務

幼い乳幼児のいる家庭ではよくあることだと思いますが、私にとっていつからか食事は「母乳を作るための栄養補給」もしくは「子どもをケアするためのエネルギー源」でしかなくなっていました。とりあえず食べられればいい。どうせゆっくり味わう時間もないのだから。

食事が自分のためのものでないことを決定づけたのは、今思えばインドネシアで暮らしていたときだったように思います。

私の食欲や気持ちと関係なく、義母や親戚が良かれと思って料理や果物、お菓子をいつもたくさん用意してくれるのですが、お腹いっぱいになったところで、

「それだけしか食べないの?」
「お腹いっぱいだから」
「もっとしっかり食べないと、母乳出なくなるよ!」

毎日のようにこのやりとり。超過保護でベッドの上にしか居させてもらえない状況、言葉が通じない孤独の中で、自分の好きなものを好きな量食べる自由すらない。

彼らにとっては、食事を用意することは最大のおもてなしであり、愛情で、産後の何もできない私にとっては大きな大きな助けでした。でも、産後のホルモンバランスの乱れも手伝って、それはだんだん私を苦しめました。食べたいと思っていないのに食べる。母乳のために。それはすごくストレスのかかることでした。

おまけに、帰国後に本格化したパンデミック。度重なる外出自粛。子ども連れでの外食はハードルが高くて楽しみきれないとはいえ、完全自炊を強制される息苦しさ。

美味しいものを食べる。それは、かつての私にとっては楽しみのひとつでした。今は楽しみどころか義務感しかありません。

長男が幼稚園に行くようになって少しは余裕が出てくるのかな。職場復帰したら変わるかな。

おいしさの価値観が噛み合わない

我が家は夫がインドネシアのマナド出身。マナド男子は料理上手な人が多くて夫も例に漏れず料理上手です。そして、日本人がドン引きするほどの辛いもの好き。

夫と暮らすようになって舌が鍛えられて、私も相当な辛いもの好きになりました。もともと私はストライクゾーンが広いので、夫が好きな食べ物は私もだいたい好きです。

でも。時々やっぱり和食が食べたくなります。味噌汁、梅干し、納豆というあからさまなもの。おだしがきいたおでん。煮物。おひたし。煮魚。

けど、それを夫は食べてくれるけど、2人揃ってほっとして「おいしいね」とはなりません。むしろ、「ここに唐辛子入れればインドネシア料理の〇〇みたいになっておいしい」とインドネシアに寄せようとされる始末(笑)。

確かに私はあなたの作るインドネシア料理が好きで美味しい美味しいと喜んで食べるけど、いまは和食が食べたくてこれを作ったし、「いつでも」インドネシア料理が食べたいわけではないし、インドネシア料理「だけ」が美味しいと思ってもいないんですよ。

と仮に言ったなら、「じゃあ、インドネシア料理嫌いなの。もう作ってあげなーい」という明後日の議論に発展することは目に見えているので、適当に流しています。でも、自分の故郷の味を共有できないのはそこそこ辛い。

いや、普通の暮らしならきっと、友達や職場の同僚とランチに行けば満たされるのだけど、このご時世、夫と子どもたちとしか食卓を囲めない状況においては、なかなか辛いことです。

おいしいものを食べたいと思えた本

「料理を楽しめるようになりたい」と思ってから、一年前に買ったままになっていたこの本を久しぶりに開いてみました。

なんて素敵な本!

前の記事で挙げた「私に足りない引き出し」に入っているべきものが詰め込まれているような本。

この本はレシピではなく、料理の作り方の考え方の部分を料理研究家の有元葉子さんが話しかけるようにまとめた変わった料理本です。きっと本当なら親の背中を見ながら、時には手伝いながら、自然と身につける料理への姿勢や知識、テクニックを学ぶことができます。

そして、この本を読んでいるとおいしい料理を食べたくなるし、作りたくなる不思議。

今日のランチは、久々にパスタを作りました。うちのマナド男子は「米を食べないと食べた気がしない」人なので遠ざけていたのだけど、どうしても食べたくなって。

結局、仕上げのタイミングで寝ていたはずの次男、それに釣られて長男が起きてしまって夫に仕上げてもらうことになったし、夫は「おいしいけど…パスタはカルボナーラが至高、次はイカスミパスタ」と譲りませんでしたが、私はおいしかったからいいや!

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