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新任管理職が、部下に信頼されるために「スグ取り組むべき5つのこと」

今回は、管理職の社外メンターサービス「Good Team」の鈴田美穂子メンターの登場です。
ご自身が新任管理職だった時代の、マネジメント失敗経験から得た、管理職としての大切な学び(ナレッジ)をお話ししてくれます。

1. 【事件】突然の「辞めます!」
エース社員からの退職宣言

ある日、役員や管理職など決済者も集まる朝礼で事件は起きました。
チームで一番の戦力のエース社員が突然「もうこれ以上は無理です。辞めます」と、退職を宣言したのです。

「え?今なんと?」隣りにいた私はキョトンとしていたと思う。
上司である私を飛び越えて、役員に直接口上するという、まさに「事件」でした。

この出来事はあっという間に社内を駆け巡り、私は「あーあ」という目で見られることになりました。それは落胆、同情、励ましなど様々な目線でしたが、会社にとって大事なエースを失うという事実の前にはどんな言葉も無味乾燥。

(「突然のひどい裏切り」のような感覚・・)

「一体何が起きたのだろう?昨日まで普通に仕事してたのに…」

何なら、よく相談にも乗って大切に向き合ってきた部下でした。3日に1回は帰り道でも話を聞いていました。個人的にも、このエース社員は、元々先輩社員だったこともあり、とても尊敬していたし、成果にも最大限の敬意を払っていたつもりでした。

だから、ひどい裏切りだと感じてしまいました。今考えても、当時の私は、自分の中に憤りの気持ちが沸々とあって、冷静に向き合える状態じゃなかったと思いますね。

2.  新任管理職に必要な視座の変容

ひどく傷ついた気分になりながらも、自分の中の「憤り」に目をこらすと、いくつかの思い込みが見えてきました。

まず、私はエース社員の話を寄り添って聞いてはいたが、「変化や改善をもたらすようなアクションをしていなかった」し、管理職として「環境や仕組みに働きかけるような具体的なアクションもしていなかった」ことに気づきました。

私のスタンスが「同僚」や「後輩」のままだったのです。
元々、エース社員が先輩だったこともあり「先輩の話をなだめながら聞く後輩」のまま過ごしてしまったんですよね。

結果、エース社員の先輩に「いくら話してみても、きっとこの状態はもう変わらないんだろうな…」と、思せてしまった。その結果が、朝礼での事件を引き起こしたと思います。

(役割変化を正しく理解することの大切さ)

私は、メンバーから管理職に役職が変わって「責任が変化すること」を理解しておらず、メンバーと同じ視座で課題を捉えていたんですね。

当時、会社では、新任管理職に対して管理職研修など用意されていませんでした。
その為、管理職としての役割の正しい把握や切り替えのタイミングを自分で行う必要があったのに私はその必要性に失敗してから気づきました。

特に、今振り返って感じる厄介なポイントは、私自身もエース社員だったことで「自分のやり方のままでいい」と思い込んでしまっていたことです。

私の場合は、メンバー一人一人がパフォーマンス高くあれば良いという「個の結集」が大切という1人のメンバー視点でマネジメントしていました。しかし、管理職として求められていたことは、組織力を向上するためにメンバーの強みを有機的に結びつけることでより生産性高く大きな成果を出せる環境と仕組みづくりでした。

様々な企業で若くして管理職になる方は、エース社員でしっかりと実績を残されている方が多いのではないでしょうか?
私は、このようなエース社員から管理職になった方こそ、ご自身が管理職として活躍し部下に信頼されるためにも、管理職としての役割理解と切り替えが必要だと感じています。


3.  新任管理職が「着任後、スグ取り組むべき5つのこと」

これらの経験から、私が新任管理職の方々へおすすめしたい、着任後スグに取り組んでいただきたい5つのことをご紹介します。


⑴ 役割理解
メンバーと管理職では求められている役割が違うことを理解することが大切です。もちろん期待値も異なります。

メンバー時代と求められることの違いを正しく理解することで、管理職としてやるべきことが明確になり、自分自身のマネジメントに正しい課題設定を行うこともできるようになります。

⑵部下から求められていることを正しく認識する
部下が上司の自分に相談してくれることで、信頼してもらえていると「勘違い」してはいけません。また、話を聞き、共感しているだけでは、管理職の責任は果たせません。

メンバーが管理職に求めていることは、ただ聞いてもらうだけではなく、組織や部下自身を働きやすく成果を出しやすい状態にしてほしいという願いが込められていることを忘れてはいけません。

⑶部下と課題設定を行う
部下から聞いた課題を一時的な不満ととらえず、一緒に因数分解してネックとなっているポイントを見つけましょう。能力があるメンバー個人に自己解決を求めすぎず、組織課題として扱うことが大切です。

今回の私の失敗事例の場合、退職宣言をしたエース社員の仕事の詰め込み方を丁寧に分解し、その課題を突き止め、改善できるポイントを共有し、互いにその立場と責任のもとにやれることをやる、というステップを踏むべきでした。
一見「できているようにみえる」という状態でも、本人が違和感を訴えているシグナルに対して、ともに因数分解してみようと呼びかけてみることが、部下との本当の信頼関係を作る第一歩となります。

⑷(仕組み化) 部下の状況や想いを定期的に知る場を持つ
定期的に部下の状況を知るための場作りを行いましょう。また、継続して部下の状況が分かる仕組みを作ることが大切です。

部下の状況を知るためのミーティングを設定する管理職も多いと思いますが、継続的に部下が状況を話しやすいチームの関係性や場の雰囲気作りも意識して行うように配慮しましょう。

この配慮が欠けていると、部下の状況をタスク管理をして終わってしまう形だけのミーティングになりがちです。タスク管理だけでは部下の想いや本当の状況は確認できません。

⑸(仕組み化) 上司も部下も孤立する状況を作らない
部下同士はもちろんのこと、管理職と部下同士もヘルプを出したり出されたりという仕組みを入れることで、支え合うチームの仕組みを作りましょう。


いかがでしたでしょうか?
次の第4章「組織課題を「チームで把握する」仕組みづくり」では、これら5つのことを活かして取り組み組織成果を上げた土台となった事例をご紹介します。

4. 【解決編】 組織課題を「支援し合う」仕組みづくり

私の10年間のマネジメント経験上、今回の事件含め、メンバー個人の能力に頼るだけの組織は疲弊します。

「もうこれ以上頑張れない」というメンバーの悲鳴は、突然起きるものではありません。本当は、日々働く中でメンバーの声に耳をすませば届いているはず。

成果を出すことはもちろんですが、メンバーの些細な揺れを見逃さず、チームとして機能させるために自ら働きかけていくことがマネジメントの中で最も大事なことです。

そして、それらをきっかけに、メンバーが働きやすい環境で成果を出しやすい仕組みを構築していくことがマネジメントの仕事だと考えています。

ここからは、今回の事件をきっかけに、1人のメンバーに業務が偏りすぎず、またメンバーが個人商店化しないよう、メンバーと共にチームの仕組みを改善した一部をご紹介します。


メンバーが抱える仕事量を把握する

  • 予算規模だけでなく、業務の難易度を測る指標を入れて仕事の全体感を知る

  • 年間のざっくりとしたスケジュールをカレンダーにしてもらう

  • 直近のやるべき仕事は毎日チームの朝礼で報告し合う

サブリーダーとの情報共有

  • 毎週金曜日朝30分必ず顔を合わせて話をする

  • クレームや事故対応の共有や先の予定を知らせておいたり、モヤモヤを聞く

  • 個別対応にするか、チームのルールとすべきか相談する

メンバー同士が支援しあう環境づくり

  • 外出や不在時に社用電話を預けるバディを決める

  • バディが負担にならないように受け答え用のシートをチーム共通で使用する

  • よく受ける質問については、回答を導く手順を全員でシェアする



このようなステップを経て、管理者である私自身がメンバーの今の状況を把握しやすい環境を整え、逆にメンバー側もヘルプを出しやすい仕組みを利用し、支え合いながら仕事を行えるようになりました。

現代は、テレワークや業務過多などで、業務以外の会話が減少している組織も増えていると思いますが、お互いの声が届きやすくする定例の場などの仕組み作りは、組織の生産性向上に向けた大きな一歩だと感じています。

お互いの声が届かない状態は、組織内での連携ミスなどコミュニケーションコストが逆に増えるパターンが多くなります。マネジメントで成果を追求するあまり組織活動の本質を見失ってはいけません。

「急がば回れ」ですね。

5.  信頼される管理職になるために

新任管理職がメンバーのエンゲージメントを高めるためには、課題を個人のものとして終わらせず、組織運営の仕組み・構造のアップデートを常に意識することが重要です。

ただ、そのためにはメンバーが今どんな状況なのか知ることができる仕組みも必要。

部下や組織の課題を、管理職が一人で抱えず、支え合う構造にすること。
それを日々アップデートするために最新情報が管理職に届くような組織マネジメント設計ができると、きっと管理職も孤独ではなく、チームの有効なピースとして機能しやすくなると感じています。

部下が相談してくれることはありがたいし、寄り添って聞くことは大事。
でもそれだけで満足せず、チームの課題として解決できたとき、上司と部下の本当の信頼につながります。

鈴田 美穂子
管理職の社外メンターサービス「Good Team」メンター


ファッション系の卸売会社に入社後、バイヤーを経てマネジメント職に就く。5名から始まり、最終的には90名を超えるチームを率いた。その後社内で人材育成の部門立ち上げ時の責任者として研修設計やセミナーの企画運営、コンテンツ作成、講師役を担う。自身の知識や経験値以外の向き合い方の幅を広げたくてコーチングを学んだ。スクール卒業後プロコーチとして活動しつつ、社内で管理職を含む人材開発や組織支援を行いながらコーチング提供を行っている。

https://www.goodteam.jp/mentor-suzutamihoko

最後に

いかがでしたでしょうか?
新任管理職が部下に信頼されるために、着任後、スグに取り組みたい5つのことをご紹介させていただきました。

もし、これから管理職として自分自身のマネジメント軸を作っていきたい、部下とのコミュニケーションを改善していきたい、組織の仕組みをアップデートしたいなど、忙しい中で効率よくチャレンジしたい場合は、是非Good Teamの体験セッションをご利用ください。

管理職として多様なピープルマネジメントの経験を持ち、人間の可能性を最大化し意識の変容を起こすプロである、Good Teamの社外メンターが、あなたの管理職としてのスタートを全力で支援します。

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