PR視点のツクリカタ 〜PR=パブリシティってもったいなくないスカ?〜
prologue. はじめに
僕がこのようなコラムを書こうと思ったのは、
いつでもPRという仕事を辞めてもいいと考えていること。
そして、PRに向き合っていても、本質的に地味な仕事だけに、
陰日向に咲いていて、評価をされてない、すべてのPRに少しでも光が当たればいいなと考えたからです。
たぶん、そういう人って、あまり群れないし、常に何かと戦っていて、孤独を感じている。
だからこそ、少しでも力になりたい。そう思うのです。
このコラムで書く内容は、とてもシンプル。
PRとは何か?の解説。そして、その使い方と設計の基本的な考え方を。
つまるところ、タイトルにもあるように「PR視点の作り方」です。
PR会社の人たちやPRに関わる人たちにありがちなのが、定義が不明確な言葉を用いて、PRというものをマジックワードにしてしまうことです。
それによって、本来、企業の経営者がやること、企業の担当者が努力すれば取り組める可能性の芽を摘んでしまっているのではないかと常々思っています。
そして、意外と現代のPRの概念は、広告会社出身の方々が作り上げてきたカルチャーが大きく、PR会社出身の方々が下地になっているカルチャーは実なそこまでないのが現状です。
僕自身のPRキャリアは、クライシスコミュニケーションをはじめに、大手PR会社、広告代理店、デザイン会社等々、様々な視点からPRというものに向き合ってきましたという、PR会社出身だからこそ、直面した現実から何かお伝えしたかったのです。
環境、業務によって、PRというものの定義や求められるものは異なります。
そのたびに壁にぶつかり、もがきながらも見つけられた、
僕なりの「解」を少しでも皆さんのお役に立てれば幸いです。
そして、はじめにぶっこんどくと「広報」とか「マーケ」とかそんなセクションの話はクソほどにどうでもいいので、まずはPR視点を持った方が共通言語ができるし、そのあとに役割分担すれば良くね?っていうのが本音です。
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dayama@goodstory.co.jp
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episode1. 「PR」とは、本当はなんなのか?
PRパーソンにこの問いを投げかけると、だいたい返ってくる言葉は、
「社会との良好な信頼関係づくり」です。
では、これって具体的にどういうことなのか?を十分に定義して、
言語化できている人は意外と少ないのではないでしょうか。
つまり、この時点で、PRというものの解釈は、人の数だけあり、曖昧なものであることがわかります。
しかも、ググっても、そんな感じのことしか出てこないですし。
様々な試行錯誤や失敗、小さな成功から僕が導き出した答えは、
「PRとは、参画をしてもらうためのストーリーをデザインすること」だ、
ということです。
なぜなら、信頼関係なんて、関与するきっかけがない限り、絶対に生まれるはずなんてないのです。
そして、関与して、参画してもらうためには、そうなるべくしてなるためのストーリー、わかりやすくいうと導線の設計が必要です。
それは、日常生活を想像してもらえば容易に理解できるはずです。
参画しているという状態は、相手のことを認めている、同意している、
という前提条件をクリアしているからです。
なので、「PRが成功している状態というのは、求めている人たちに参画してもらえている状態」と言えます。
そして、そのためには、
「あなたの会社が解決したいイシュー(課題)とビジョン(参画したことにより得られる未来)を理解」してもらうことが必要です。
※ここについては、後ほど、細かく書きますね。
つまるところ、”拡散”することや多くのメディアで取り上げられて”パブリシティ”を獲得することが、PRではないというのが僕の主張です。
あくまでも、それは、求めるパブリックが参画してくれた1つの結果に過ぎないからです。
では、次に参画をさせるためのストーリーをデザインの仕方について、
書いていこうと思います。
だーやまmemo:
PRとは、参画をしてもらうためのストーリーをデザインして実践すること
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episode2. 「明確なパブリック」の設計が最初にするべきステップ
最近、マーケティングやPR業界でバズワードとなっている「ストーリー」という言葉。大半の人は、「耳障りの良い物語」程度にしか、考えていないのではないでしょうか。
僕が考えるストーリーとは、「社会を舞台にした脚本を書く」ことです。
それは、どういうことかというと、
「人は誰しも自分という物語を生きている」ということを前提にしなければいけません。
ぶっちゃけ、一般生活者は広告も基本的に見ないし、パブリシティ(記事やニュース)も見ない、そして、自分の行動範囲にないものには接触していきません。
だからこそ、
「誰に参画して欲しいのか?どのように参画して欲しいのか?」と、明確な対話者いなければ、どんな施策を行っても、ただのノイズもしくは水ものと一緒で流れていってしまいます。
だって、企業や人の全ての行動は、「コミュニケーション」だから、「誰のための」がないともったいないでしょ?
よく勘違いされがちなのが、「パブリックとは社会すべて!」という認識。
パブリックとは、自社/自分自身が設計するものです。
そして、わかりやすい言葉に言い換えると、"ステークホルダー"です。
すべての人に愛されようとしても、すべての人の趣味嗜好は違うわけで、
本当に参画して欲しい人たちに参画されないという本質からずれたコミュニケーションになります。
本来、PRパーソンたちこそ、マーケティングの視点が必要で、戦略的に人を動かすということを考えて、行動していかなければいけません。
しかしながら、パブリシティを獲得し、広く報じるという手段が目的化しているケースが大半ですし、僕自身もPRの仕事をやり始めた当初はそれが成果だと思っていました。
だからこそ、そんな状態になっていると危機感を感じるPRパーソンがいれば、まずは、「明確なパブリック」の設計をすること。
パブリックの顔や性格、行動まで想像して、話せるくらいまで明確にしてください。
そこがなければ、関与はもちろんのこと、参画には到底至りません。
次に、参画をしてもらうために必要不可欠な要素について書いていきます。
だーやまmemo:
パブリックは、社会全体ではなく、自社/自分自身で設計する
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episode3. 参画を促すのは、解像度の高い「イシュー」と「ビジョン」
人が行動を起こす時に判断する点は、自分の悩みや課題がそこに関わることによって、プラスになるのか?という点に限ります。
ここで何が言いたいかというと、企業/プロダクト/サービスは「明確なイシュー」を設計するべきということです。
「イシュー」は何かというと、解決したい(すべき)課題を指します。
この自分たちが掲げるイシューとパブリックが求める課題の解決を一致させること。
ここがまず参画に至るまでの重要な要因となります。
個人的にいろんな人の話を聞いたり、リサーチをしていて思うのが、
イシューの設計が全くできていないため、
「何者であるのか?」を見失っている企業やサービスが比較的多いということ。(これは、企業が掲げるミッションにも紐づいてくる部分なのですが、それはまた別の機会に。)
具体的にイシューを作る手法をとてもお行儀の悪い言葉で書くと、
「撲滅したい、にっくき敵」を作り出すことです。
(よっぽど適当な思いつきでなければですが、)
多くの企業やプロダクト、サービスは、何かの課題を解決したいと思って誕生しています。
まずはその原点に立ち返ること。つまり、誕生した「いつまでも変わらない普遍的な背景」を認識することです。
大切なことなのですが、人が変われば、その伝承もされなかったり、
目先の利益を追っていたりすると見えなくなってきてしまうものです。
強いイシューがあればあるほど、普遍的なイシューがあればあるほど、その求心力は高まります。
だからこそ、まずはその「本来倒すべき相手」をもう一度定義してみてはいかがでしょうか。
次に、ビジョンの話です。
これは何を指すかというと、参画をした後に訪れる風景。
つまり、どんなハッピーエンドが待ってますか?ということです。
最初に書いたように、人は自分にとってプラスになるというイメージが描けなければ、関与も参画もしてくれません。
そして、ここはよく見落とされがちなのですが、
「人は自分が知っていること以外想像できない」ということです。
だからこそ、参画をした後に訪れる風景。
つまり、どんなハッピーエンドが待っているのか。を
具体的に、パブリックが想像できる言葉で定義・設計する必要があるのです。
PRパーソンに求められる技術の一つに、「行動の出口を予想する」という力があります。
それは、施策を展開したあと、人がどう動いて、どのような結果が現れるのか?を予測する力です。
そして、それをデザインする力です。
いわゆる戦略と呼ばれるものですが、多くのPRパーソンは、そこを描くのが苦手です。
というより、訓練をするというカルチャーがないのかもしれません。
「結果をデザインする」ということにもっとこだわれば、また新しいアイデアも浮かびます。
だからこそ、とことん想像して、妄想して、様々な事例に触れるべきだと考えています。
次は、ストーリーをデザインすることについて、僕が普段考えている方法を交えてご説明します。
(長いから、テキトーに呼び飛ばして欲しいけど、ちゃんと理解しないと、
ただの小手先論になっちゃうので、できれば読んで欲しかったりしなかったり。)
だーやまmemo:
「イシュー」と「ビジョン」は、パブリックが頭の中で確実想像できるぐらい明確に設計する
=====
episode4. ストーリーをデザインすることは脚本を書くこと
さて、ここまで長々と書いてきましたが、具体的なPRの設計について、
僕なりの手法をご紹介します。
<ストーリーを設計する上で必要な要素>
ぶっちゃけこの4つだと考えています。
この4つに配役と性格を決めて、その登場の仕方、
どのように行動するのか?その先にどんなハッピーエンドがあるのか?を規定していきます。
○物語の主役(=パブリック)
○助けてくれる脇役(=企業/プロダクト/サービス)
○倒すべき敵(=イシュー)
○待っているハッピーエンド(=ビジョン)
ここで、多くの方が、「え?主役は、企業/プロダクト/サービスっしょ?!」という疑問を持たれると思うのですが、
主役はあくまでも「パブリック」です。
なぜなら、これは、PRだからです。
PRは主観ではなく、あくまで第三者の視点で設計する必要があるからです。
人に参画してもらうのに、自分たちが主役というのは、
パブリックの行動導線が明確かつ綿密に設計する上で弊害となります。
あくまでもパブリックを主語にする。
何度も何度もくどいようですが、人は自分に関係ないものには関与しません。
だからこそ、主役=主語にしてストーリーを設計する必要があるのです。
そして、どのように参画させるか?の設計をすることで、完成です。
参画のさせ方は、「体験」という言葉から紐解いていきます。
だーやまmemo:
あくまでも「パブリック」が主役の脚本を書く。
=====
episode5. 「2種類の体験」×「参画ハードルの低さ」
UXデザインだったり、CXだったり、最近では「体験」という言葉に焦点が当たるようになってきました。
僕自身、PRの視点から、参画をさせるという視点から、体験は2種類しかないと考えています。
1.情報的体験
いずれかの方法で、情報として入手して、脳内で想像することで得られる体験
2.物理的体験
身体的に触れること/接触することで得られる体験
このいずれかの方法に参加してもらい、関与させ、参画してもらう。
この設計こそが、PRパーソンの力が試されるところです。
これを考えるにあたって、やはり必要なのはパブリックのことをとことん知っていること以外ほかなりません。
どうすれば参画してもらえるのか?は、やはり相手のことを知ること以外近道はないのです。
ぶっちゃけ何が言いたいのかというと、
「PRパーソンはもっと戦略家であるべきだし、もっとマーケターであるべき」だということです。
そもそも、PRなんて、戦争のために生まれているわけで、
アメリカという多民族国家で戦争を肯定化するためのイシュー開発から始まっているからです。
参画をしてもらうということは、一緒になって進んでいくことです。
そして、仲間になってもらうことです。
だからこそ、すべてがファジーではダメです。明確な言葉で描くことが必要なのです。
だーやまmemo:
体験は「情報的」と「物理的」と分けたうえで、ストーリーを設計する。
=====
epilogue. 最後に
全体的に感情的になりながら、殴り書きなのですが、
とにかく「"パブリティ万歳なPR"やめませんか?」というのが裏メッセージでした。
現実的にPRがうまいと言われている会社は、イシューも明確ですし、パブリックも明確です。
そして、その先にあるビジョンも魅力的です。
その判断軸がしっかりしているからこそ、企業のあり方やプロダクト、サービスの体験もそれに寄り添ったものになっているケースが多いと感じています。
ぶっちゃけた話、経営者が、そして戦略を描く人たちがPR視点を持たないとPRなんて成功しません。
イケてる会社ほど、ナチュラルボーンのPR視点を持ったリーダーがいるケースが珍しくないのです。
「日経新聞でた!すげー」「WEBでインタビューされた!やばい」とか、PRパーソンたちを疲弊させる以外なにものでもないんですよね。。。
どんなパブリックと、どんなストーリーを共有して、自社はどんな存在としてあり続けたいのか。
ここを考えることが、「PRをしていくこと」なんじゃないかなって、思います。
つまるところ、イシューなきPRは、PRじゃないぞって思っています。
そんでもって、「広告」と「PR」の違いとか聞かれることがありますが、広義の意味でのPRで言えば、広告はその手法の一つに過ぎんぞと。
とはいえ、冒頭にも書いたように、PRに関わる人の数だけ、PRの解釈があります。
僕の場合、ブランディングに傾倒しているから、こんな感じの考え方となっています。
この記事を読んで、まずは考え方をインストールしてみてください。
そして、その上で不要なところは捨ててみてください。
何かが混ざり合って、新しい視点が得られるかもしれません。
いつかどこかで、あなたのストーリーを聞かせてください。
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